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徒手療法の世界に身を置いて <第19回>
可動域検査

徒手療法の世界に身を置いて 可動域検査

徒手療法の世界に身を置いて <第18回>「これまでを振り返って」

 今回は可動域検査のお話しです。可動域検査の目的は、可動域の制限因子を見つけるためや、可動域を計測することで施術の効果の判定などに使用されます。臨床では、特に可動域の制限因子がわからなければ、効果的な施術にはつながっていかないでしょう。

可動域の制限因子は3つ

可動域の制限因子は大きく以下の3つに分けられます。

1.関節の問題

2.関節運動を起こす筋の筋力低下

3.関節運動をする筋の拮抗筋の伸展性の欠如

です。

関節の問題

 関節の問題には機能的な問題と構造的な問題があります。機能的な問題は、徒手療法で扱える関節包内運動の異常が一番に挙げられます。構造的な問題としては、骨折や脱臼などがこれにあたります。

 これらの問題の鑑別としては、自動運動と他動運動の比較になりますが。ここで重要になるのがエンドフィール(最終域感)と言われる抵抗の「質」になります。このエンドフィールに関しては来月お話しさせていただきます。

関節運動を起こす筋の筋力低下

 関節はその関節に外力が加わらなければ、単独で動くことはできません。この外力の典型が筋力です。関節を動かすだけの筋力がなければ、関節は十分に動くことができません。これらも自動運動と他動運動の比較で鑑別できます。自動運動と他動運動の可動域が同じならば、関節の問題が優先され、自動運動よりも他動運動の方が良く動けば筋力の問題となります。

 筋力低下が神経的なものかどうかは、筋力テストや神経学テストで確認しなければ、筋の施術だけで良いのか、また支配神経の施術をしなければならないのかが変わってきます。なので、これも確認する必要があります。

関節運動をする筋の拮抗筋の伸展性の欠如

 関節運動は動作筋と拮抗筋の綱引きのようなものです。例えば、体を前屈する際に体幹の伸展筋である背筋群や、股関節の伸展筋になるハムストリングが十分に伸びなければ、体は前屈していきません。関節運動は常に動作筋と拮抗筋のバランスによって行われます。

 この拮抗筋の伸展性の欠如も、単純にその筋が硬くなっているだけではなく、他の筋の影響で伸びにくい状況に置かれているだけかも知れません。

 可動域検査を行うということは、関節運動の制限がどの程度あるかだけではなく、その制限因子が何なのか? それは直接かかわる筋なのか? また別の筋の影響なのか? それは筋単独のものなのか? 神経系がかかわっているのか? などを予想することが本来の可動域テストになります。

 これらを予想するためには、関節がどのように動くのか? という知識はもちろん、その関節がスムーズに動くためには、どのような他の関節の動きが必要なのかという、生体力学的知識と協力筋やアナトミー·トレインなどの筋連鎖の知識が必要となります。

 またこれらの知識がなくても、そこが一番の原因でないことがわかれば、他に目を向けることができますから、不必要な施術を行うことも少なくなるでしょう。少なくとも、自動運動と他動運動の比較はすぐにできると思いますので、日頃の臨床で使ってみてください。

 次回は関節のエンドフィール(最終域感)についてお話しさせていただきます。

辻本 善光
(つじもと・よしみつ)

現在、和歌山市で開業。
現インターナショナル・カイロプラクティック・カレッジ(ICC、東大阪市)に、22年間勤め、その間、教務部長、臨床研究室長を務め、解剖学、一般検査、生体力学、四肢、リハビリテーション医学、クリニカル・カンファレンスなど、主に基礎系の教科を担当。
日本カイロプラクティック徒手医学会(JSCC)学術大会でワークショップの講師を務め、日本カイロプラクティック登録機構(JCR)設立当初には試験作成委員をつとめる。
現在は、ICCブリッジおよびコンバージョン・コースの講師をつとめ、また個人としてはカイロプラクティックの基礎教育普及のため、基礎検査のワークショップを各地で開催するなど、基礎検査のスペシャリストとして定評がある。

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