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徒手療法の世界に身を置いて <第15回>
視診

徒手療法の世界に身を置いて 視診

徒手療法の世界に身を置いて <第14回>「問診 その2」

 人間の五感による知覚の割合は、視覚83%、聴覚11%、嗅覚3.5%、触覚1.5%、味覚は1%と言われています。つまり目に頼ることが多いわけですが、別の見方をすれば、ダマされやすいのも視覚からということになります。

4つの「みる」、まずは「見る」

 一般的によく書かれる「見る」ですが、これは漠然と見るときに使われます。われわれ徒手療法家が患者さんを診るときに一番必要のない「みる」です。視診は常に何を見つけるのか? 何を探すのか? という目的があります。ですから漠然と目的を持たずに見るというのは何の意味も持ちません。

「観る」

 よく聞くことかも知れませんが、患者さんの施術は患者さんが施術所に入って来たときから始まります。待合室での座り方や足を組む習慣、歩き方や立ち方など、普段の生活での状態を観ることができます。いざ、施術者を前にすると身構える患者さんもいますから、みておきたいポイントです。

「視る」

 何かを探るときに使われる「視る」です。視診という言葉でも使われるように、何かを探すという目的を持ってみます。視診においてのスタートがこれです。

「診る」

 病状や患者さんの状態をみるときに使われます。「視る」は患者さんの患部などの細部をみるときに使われますが、「診る」は患者さん全体を把握するために行われます。「視る」だけで患部の状態を理解しても、それが患者さんの体全体にどのように影響しているのか? また逆に患者さんの全体が患部にどのように影響しているのか? がわからなければ「木を見て森を見ず、森を見て木を見ず」となってしまうのではないでしょうか?

 患者さんの状態を把握するためには「観る」→「視る」→「診る」というつながりがなければ本当の意味での視診をしたことにはならないのです。

 冒頭にも書きましたが、人は視覚からの情報が8割です。そしてダマされるのも視覚からです。百聞は一見に如かずと言いますが、人の脳は自分に都合の良いもの、または欲しい情報あるいはよく目につくものを選択し、それ以外ものはシャットアウトさせてしまいます。騙し絵で言われても気づかないのがその典型です。

 騙し絵で遊んでいるうちはいいですが、視診での思い込みはその後の検査に影響していきますので、できるだけ中庸な立場で視ることが必要になってきます。

 次回はもう少し具体的に視診のポイントをお話しさせていただきます。

辻本 善光
(つじもと・よしみつ)

現在、和歌山市で開業。
現インターナショナル・カイロプラクティック・カレッジ(ICC、東大阪市)に、22年間勤め、その間、教務部長、臨床研究室長を務め、解剖学、一般検査、生体力学、四肢、リハビリテーション医学、クリニカル・カンファレンスなど、主に基礎系の教科を担当。
日本カイロプラクティック徒手医学会(JSCC)学術大会でワークショップの講師を務め、日本カイロプラクティック登録機構(JCR)設立当初には試験作成委員をつとめる。
現在は、ICCブリッジおよびコンバージョン・コースの講師をつとめ、また個人としてはカイロプラクティックの基礎教育普及のため、基礎検査のワークショップを各地で開催するなど、基礎検査のスペシャリストとして定評がある。

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