代替療法の世界 第19回 「楢山節考(ならやまぶしこう)」 | カイロプラクティックジャーナル

  代替療法の世界 第19回 「楢山節考(ならやまぶしこう)」

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代替療法の世界 第19回 「楢山節考(ならやまぶしこう)」

コロナの啓示

コロナはいろいろな意味で気づきを与えてくれたように思う。各国の文化の違い、もとい考え方の違いとでも言ったらいいのか。例えば、スウェーデン。この国はロックダウンせずに集団免疫の獲得という施策を取った。その結果、ある一定数の人(主に高齢者)がコロナにかかって亡くなっている。高福祉国家で知られるスウェーデンでは、福祉国家を支えるために経済活動を止めることはできない。言うなればロックダウンができないと同じことだ。福祉国家を維持するためには、コロナで亡くなる人はある程度は仕方ないということである。人の命の大切さを説きながら福祉大国を作り上げた国の選択が、経済優先という皮肉。まぁ社会主義や資本主義経済においては、イデオロギーの違いはあっても経済活動がすべてであり、命は二の次なのだから仕方がないのかも知れないが。

鮮烈な描写が今なお記憶に残る「楢山節考」

もっともこうした考えは、今村昌平監督による「楢山節考」にも見られる。この映画で描かれるのは架空の貧しい農村である。貧しいがゆえに年寄りは山に捨てられる。仕事ができなくなって家族の荷物になるくらいなら死を選ぶ。人の命と経済を天秤にかけた考えさせられる作品である。老婆は丈夫な歯を岩に打ち付けて歯を欠けさせる。ニッと笑って欠けた歯を見せる描写は特に記憶に残るシーンだ。年寄なのに歯があることに対する負い目、歯をなくすことで食事を取れないようにすることで死の準備をする。貧しい農村の若者たちの暮らしを維持していくための覚悟が垣間見える描写である。

治療家はマクロ経済の中では

日々の生活は経済学ではミクロの経済になる。政治の介入はマクロ経済に重点を置くから個人への援助は手厚くない。これはわれわれ治療家にとっても同じことで、個人経営がほとんどである治療業界では国家の十分な援助はまず望めない。せいぜい雇用調整助成金、持続化給付金、国保税の減免などであろう。一般的に商売には仕入れがあって、それを加工することで余剰価値を生み出し利益を得ている。例えば飲食店だと、食材を仕入れ、調理して、客に提供する料理に付加価値(利益)を乗せて提供している。客が来なければ仕入れた材料が無駄になる。いわゆるフードロスというやつだ。幸いなことに代替療法には飲食店のような仕入れがない。腐って捨てなくてはならないということがないから、その分のロスはない。しかしながら、固定費といわれる家賃や光熱費、人件費は事業を継続していく上には必要なのである。

代替療法における仕入れとは! 岡井Webセミナーから。

代替療法における仕入れとは、セミナーに参加して新しい知見を取り入れること、本を買って知識の上積みをすることになろうか? コロナの影響でセミナーの開催は軒並み中止、延期がほとんどである。では、どうするか? コロナがもたらした習慣、文化の変化に対応するしかないであろう。岡井DCがZOOMを使ってセミナーを開催した。第1回のテーマは「ピンチはチャンス」である。日本のみならず米国でもコロナの影響は大きい。この状況をどうとらえるか? ピンチととらえるか? チャンスととらえるか? 現象は同じだが解釈の仕方で全く違うものになる。

主旨を要約すると
1. 全体を整理する。
2. 最悪のパターンを想定し、その時のダメージをシュミレーションする。
3. 自分がコントロール出来ることと、出来ないことを判断する。

特に3.が重要であり、これを分析することでピンチをチャンスに変えるのである。コロナをコントロールすることはできない。では、どうするか? 今やるべきことは何か? 迅速な情報収集、それに基づく判断が重要になる。

早い者勝ちのアメリカの補助金

カリフォルニア州では、昨年度の収入に対して1カ月の2.5倍の補助金(給付金)が早い者勝ちで受給できるという。早い者勝ちとは・・・ビックリする制度だ。日本では到底受け入れられないだろう。申請で受給できるかどうかは自分ではコントロールできないことである。しかし早い段階で申請することは、自分でコントロールできることなのである。結果、岡井DCは受給に成功した。経済的に安定できると安心感が生まれる。これは患者にも有形無形で伝わる。

辛いことも楽しいことも総量は同じ

岡井DCは底抜けに楽観的である。未来に希望は持てると言う。ただ、やみくもに未来は明るいと言っているのではない。つらいことは立て続けにやってくるが、相応に良いこともやってくる。つまり良いことも悪いことも総量は同じである。総量が同じであるということを信じる力が運やチャンスを呼び込む。信じる力は観察力と同義であるということだ。観察力が高ければ、何気ない情報からでもチャンスを拾えるのである。人は聞きたい情報を集めてバイアスをかける。つまり、自分が聞きたくない情報を聞かなくなる。岡井DCは「人はそうしたバイアスをかけるものだと認識するのが大切だ」と説く。これは重要な示唆を与えている。「情報を自分の都合の良いように解釈するな」とも言える。より客観的に情報を吟味する必要性があるだろう。それがピンチをチャンスに変えるのである。

大事なものを捨てざるを得ないときも。でも、そうすれば

ネタバレになってしまうが、件の作中で、息子が母親を山に置いて帰る道すがら雪が降り出す。「おっ母は運がいいな、雪が降ってきた」と息子がつぶやく。一晩で凍死することを知っているから運がいいと言ったのだろう。悪いことも良いことも含めて運の総量は同じであるという意味が内包されているように思う。怖くて悲しい物語の印象に残るもう一つのシーンだ。時と場合によっては、大事なものでも捨てざるを得ないということをこの作品は示す。徒手療法にとって必要不可欠な面受、いわゆる対面セミナーを捨てなくてはならなくなるかもしれない。そうすると当然、手取り足取りということは望めない。

リモートのメリット

しかしながらメリットもある。遠隔地でも時間差なくセミナーが受講できるという点である。また自宅にて受けられるから旅費、宿泊代等の経費も削減できる。地方の受講生にとっては大きなメリットであろう。海外セミナーをウェビナーで行うことも考えられる。もっとも言語の壁があるから日本人講師に限られるだろうが。理由は座学中心のウェビナーはどうしても間延びするし、外国語だと倍の時間がかかるから。コロナが収束しなければ、今後はこうしたウェビナーが主流になっていく可能性は高い。

対面、ウェビナーの両刀で

和泉宏典氏による「カイロプラクターのための栄養学」、丸山正好氏による「局在神経学講座『神経局在診断を読む』」(第Ⅰ期)がウェビナーでスタートした。対面セミナーは丸山正好氏による「局在神経学講座」が東京、大阪でそれぞれ再開される。また榊原直樹氏による「スポーツカイロプラクティック セミナー2020(AKT-R編)」も再開されている。カイロジャーナルでは対面、ウェビナー、どちらにも対応できるように構えているようだ。さすがだね、カイロジャーナル。映画じゃないが二本立てで行けば、どちらか転んでも片方は残るから。

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