代替療法の世界 第10回 カワウソは治療家を救う!? | カイロプラクティックジャーナル

  代替療法の世界 第10回  カワウソは治療家を救う!?

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代替療法の世界 第10回 カワウソは治療家を救う!?

ワイル曰くオリジナリティ溢れる治療法ほど効果が高い

アンドリュー・ワイルがその著書の中で、古今東西の治療術を詳細に研究した結果を載せていた。それによれば各治療法はお互いつじつまが合わない。草創期の治療法ほど良く効く、とのことである。つまり、オリジナリティに溢れる治療法ほど効果が高いということだ。オリジナリティとは独創性と同義である。独創性のある治療を考え出せば、良く効く治療を行うことができるのである。

示唆に富むヤングの「アイデアの作り方」

独創性とは独自のアイデアとも言い換えることができる。アイデアを出すには一体どうしたらいいのか? ヒントになるのが、ジェームス・ヤングの「アイデアの作り方」である。ページ数は少ないが、非常に示唆に富んだ内容ばかりだ。要約すると、集めて、寝かせて、取り出すのである。言い方を変えると、多くの情報を集める、次にそれらを統合する、そして必要なことが自然に浮かび上がるのを待つ、となろうか。

酒の話じゃない、「獺祭」の意味

さて、ヤングのアイデアの出し方にもう一歩踏み込んでみよう。ヤングの方法論に似たやり方で、獺祭(だっさい)法というものがある。最近とみに有名になった、山口県に「獺祭」と言う純米酒があるが、これはその酒の話ではなく、ここで言う「獺」とは「カワウソ」のことである。彼らは獲物を取ると、戦利品として川辺に並べると言う。そうしたカワウソの習性を人の行う神祭になぞらえて、「獺祭魚」と言った。転じて、詩文を上梓する際に多くの書を並べ、散らかしながら考えをまとめる作業を「獺祭」と呼んだ。元は唐代末期の詩人、李商陰の詩の作り方を揶揄した悪口であった。しかし正岡子規は、この逸話を大層気に入り、自身を獺祭屋主人と号した。

まずは情報を集める

具体例を挙げよう。まずは情報を集める。

カイロプラクティックから、ターグルリコイル、アトラスオーソゴナル(AO)、トムソン、ピアーズ、ガンステッド、ディバーシィファイド、アクティベーター、磁気、SOT、モーション・パルペーション、カイロプラクティック神経学など。

オステオパシーから、関節の遊び、直接法、間接法、筋膜リリース、筋エネルギー、カウンターストレイン、内臓マニピュレーション、頭蓋、チャップマン反射、スティル技法、リンパ、傾聴、靭帯性関節ストレイン、ファシリテッド・ポジショナル・リリースなど。

その他の療法から、NAET、野口整体、O-リングなど。

医学書から、解剖学、生理学、整形外科テスト、運動学、栄養学など。

要約して紙に書く

それらを紙に一つひとつ書く。ポイントはそのテクニックや理論を要約して書くということだ。自分なりに要約することが肝要である。例えばターグルリコイルだと、特異的に頚椎の1番、2番を治療する方法。自然治癒力にすべてを任せた治療法。イネイトの存在を疑わない。患者の症状にはとらわれないなど。トムソン・テクニックだと、独特な分析方法。ディアフィールド下肢長分析、頚椎症候、メジャー・サブラクセーションの選定方法など。アクティベーターだと、ストレスおよびプレッシャー・テストによるサブラクセーションの方向性の確定など。筋エネルギー・テクニックだと、直接法、関節の可動化など。カウンターストレインだと、間接法、圧痛点を指標としたポジショニング、90秒など。傾聴だと、前に引っ張られると内臓、後だと脊柱、側方だと四肢、術者の感覚が優先される等々。すべては書ききれないが、それぞれのテクニックごとに要約していくのだ。

並べて一気に目を通し、執着せずに湧き上がるのを待つ

次に、それらを床に並べる。並べ方は自由にする。適当に散らせば良い。そして、メモのすべてに対して一気に目を通す。メモがたくさんあればあるほど良い。そしてメモから離れて、自然にアイデアが湧き上がって来るのを待つ。待つときは何も考えない。湧き上がって来ることに期待もしない。それを忘れるぐらいで丁度良い。映画やショッピングなどに行くのも良いだろう。要は執着しないということだ。

まとめると、

  1. 今まで勉強してきたことを要約して個別に紙に書く。
  2. 適当に並べて一気に目を通す。
  3. アイデアが浮かぶのを待つ。

ただこれだけである。

キーワードを「可視化」

獺祭法により浮かび上がったキーワードは「可視化」であった。整形外科テストは、身体に負荷をかけるテストである。当然負荷をかけるわけだから、損傷していれば痛みや症状の悪化をみることができる。これは患者、術者ともに可視化できる。損傷部位が特定できれば、そこに対してどのように影響を与える要素が存在するか?である。その特定に、ストレスおよびプレッシャー・テストを用いる。このテスト方法も可視化できる。これで3点交差のチェックができる。しかもすべて可視化できるので検査としてはわかりやすい。患者は身体感覚を通じて、術者と共通の認識を持つことができる。可視化できれば治療が上手く行ったか、行かなかったかをチェックするのは容易だ。組織にどのような刺激を加えれば良いのか? 患者の体が教えてくれる。主観的な診かたから客観的な診かたに変化する。オステオパシーの技法を使って治療し、再チェックする。効果の判定、治療の止め時もわかる。

紙とペンさえあれば

獺祭法は紙とペンが用意できれば簡単に試せる。今まで自分が学んできたものを見返すだけである。金はかからないが効果は大きい。有料セミナーに参加したぐらいの価値は見出せるだろう。自分の中に眠っている治療技術を掘り起こして欲しい。すべては治療家自身のため、患者のため。ここで「獺祭法」を使って導き出した治療法は、引き出した治療家だけのものであることを強調しておく。なぜなら、新しい治療の方法は、治療家本人のオリジナルによるものだからだ。自分で見つけた治療法の効果に驚くだろう。今までの治療よりは格段にレベルアップしているはずだ。時には、自分が作った治療法を他の治療家から批判されることもあるかもしれない。しかしながら批判は笑って受け流しておけば良い。アンドリュー・ワイルの言葉にあるように「各治療法はお互いにつじつまが合わない」のであるから。

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