代替療法の世界 第9回 錦の御旗 | カイロプラクティックジャーナル

  代替療法の世界 第9回 錦の御旗

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代替療法の世界 第9回 錦の御旗

日本人は権威と舶来に弱い。WHOでの基準ガイドラインは「錦の御旗」とされているが、本家アメリカでの扱いは全く違うらしい。WHOガイドラインは日本人にとって、これからも錦の御旗なのだろうか。

本家アメリカは「ガイドライン不要」

カイロ-ジャーナル紙発行時の編集長、櫻井京さんが、10月に東京で開催された日本カイロプラクティック徒手医学会(JSCC)の学術大会で、教養講座「カイロプラクティックと禁忌症」の講師を務めるというので会場に駆けつけた。長く同紙編集長として業界を見てきた彼女の「禁忌症」の切り口はどのようなものか、と期待して聴講した。禁忌症の日米両国での取り扱いの差を論じることで、カイロプラクティックにおける禁忌症の位置づけが鮮明になった。

要約すると、日本における禁忌症の定義は世界保健機構(WHO)が定めている禁忌症を焼き直したものである。日本カイロプラクターズ協会(JAC)がそれに倣ってガイドラインなるものを作成している。しかしながら本家のアメリカでは、ガイドラインなるものは存在していない。とっくの昔に、業務範囲が縮小されるから、という理由でWHOの決めているガイドラインを捨てた。

経緯はこうだ。アメリカの保険請求において、禁忌症のガイドラインは支払いを拒否するだけの根拠を保険会社に与えてしまう。カイロプラクティック業務においては、無条件に禁忌症が独り歩きすると都合が悪い。そのため早々にガイドラインの使用を止めた。国連の下部組織であるWHOの基準には従う必要はないということらしい。国連での決めごとよりも自国の都合を大事にする米国らしい振る舞いだ。

WHOガイドラインを「錦の御旗」に

一方、日本人は権威と舶来に弱い。WHO基準は日本にとって大事なものだ。厚労省もそれに倣いWHOの決定事項に逆らわない。それをいいことに錦の御旗よろしくWHOの権威を後ろ盾にしてガイドラインに乗っかった。岩倉具視は錦の御旗を立てて維新は成功した。勝てば官軍、負ければ賊軍。岩倉らは勝ち組になった。時として権威にすがるやり方もいいだろう。しかし日本も米国も法治国家ではなかったか。であるならば、お互いの主権を尊重するべきであろう。WHOの基準はあくまでWHOの基準であって、日本は日本なりのやり方や基準があるはずだ。しかしながらJACはWHOの基準を尊重した。安全基準と言えば格好はつくが、主体性ということでは疑問符がつく。

学位が出せるのは、大学か学位授与機構だけ

それに主体性を捨てると色々な問題も起こる。例えば、国際基準であるCCEが売りのカイロプラクティックの学校があるが、日本で学位が出せるのは大学か学位授与機構だけである。それ以外の教育機関では不可能。勝手に学位を出すと、ディプロマミルかディグリーミルになる。いわゆる学位商法である。「ディプロマミル」は偽(非認定)大学から「正式な」学位を授与されるものをいう。実在する大学の学位(学位記、すなわち卒業証書)を偽造して授与するのが「ディグリーミル」である。こういった学位商法とか資格商法をサムライ商法とも言う。資格は○○士という名称が多いからサムライ商法と呼ばれるのだ。

日本なりの基準を

自国の基準(法律)を無視した教育に価値はあるのか? むろん次世代に技術を継承するという意味では、価値もあるし必要だろう。しかし日本においてはカイロプラクティックにせよ、オステオパシーにせよ、法律が存在しないのであるから教育は寺子屋のようなものになる。それらは「無認可校」としか言いようがない。根拠になるのは学校教育法である。その中で定義される1条校に入っていない場合は、大学はおろか幼稚園ですらない。ましてや都道府県知事の認可もなければ83条校とも言われる各種学校でもない。学校と名乗ると法律違反になるので、多くは学院、スクール、アカデミー、カレッジという名称で活動している。簡単な見分け方を一つ。学割を使って通学定期券が買えなければ無認可校である。

学ぶ側、教える側に共通認識がないと

それでも無認可校ならではのメリットはある。「独自の教育が可能になる」ということだ。学ぶ側と教える側の双方がこうした現状を知っていることが無用のトラブルを避けるには必要である。それを知らないで入学し、「何らかの資格あるいは学位が手に入る」という期待をしては裏切られる。いくらカイロプラクティックがアメリカ発祥だからといって、学位商法までもアメリカ基準を真似てどうする。かつては侍の国といわれた国でサムライ商法をする。笑えない冗談だ。

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