2013 10月カイロプラクティックジャーナル

  2013  10月

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吉田美和 『アメリカンスタイル・トリートメント』

投稿日:2013年10月26日

miwayoshida
日時 2013年10月26日(土)10:00~17:00 27日(日) 9:30~16:00 2010年8月、

2年半のブランクを心配しながらセミナーのため帰国した吉田美和D.C.。しかし、そんなブランクなど全く感じさせることなく、あっという間に参加者を吉田美和ワールドに巻き込んでいた。

<第26回>「目指せ、東京オリンピック!」  

投稿日:2013年10月25日

目指せ、東京オリンピック!
カイロジャーナル78号 (2013.10.25発行)より

変革の波到来、活躍の機会は7年後

今年の日本の夏は本当に厳しい暑さだったようですね。きっと秋の訪れを皆さん心待ちにしていたことでしょう。気候も良く食べ物も美味しい秋は、カイロプラクティック界でも各種イベントやセミナーなど、目白押しなのではないでしょうか。

私も先月の終わりに東京で恒例のマイプラクティスのセミナーを行ってきました。このセミナーではテクニック的なものの指導ではなく、クリニックの経営や患者のマネジメント、自己啓発や夢実現などについて、カイロプラクターの立場から倫理的に精一杯お話しさせていただいています。テクニックをカバーしないといっても、考え方やマネジメントが良くなれば治療効果が上がることは間違いありません。下手なテクニック・セミナーを受けるより、よほど治療が上手くなるはずです。またカイロプラクターだけでなく、治療院のスタッフ教育にも最適ですし、奥さんやご主人を連れてくれば家族の協力もぐっと増して治療院も大きく発展するはずです。

今回のマイプラクティス5では、今まで考えたこともなかったビジョンを得て、自分の可能性を再発見できた方も多かったのではないでしょうか。きっと希望で心が一杯になったことでしょう。患者さんの治療にも一層気合が入るはずです。

幸せな人増やしたい

私がこのシリーズ・セミナーを始めたのには理由があります。それは、日本のカイロプラクターの方たちを見ていると、テクニックセミナーには非常に熱心に参加するし、勉強もよくされているようですが、残念ながら治療院が盛業と呼べる方の数はそれほど多くないように感じられたからです。それではせっかくのテクニックや知識を十分に発揮するチャンスがありません。

私のカイロプラクターとしての大きな目的は世の中をカイロによって健康にするということです。そのためには、多くの方たちに健康の大切さやカイロができることを知っていただき、実際にカイロで健康管理をしていただかなければなりません。その大きな目的のためには努力を惜しみません。小手先の経営理論やマネジメントではなく、大きなカイロプラクターとしての情熱と目的を持っていないと、絶対に幸せなカイロプラクターになれません。私は幸せなカイロプラクターを増やしたいと思ったのです。

残念ながら、今の日本でカイロプラクターを職業として選択しようという方の数は極めて少ないと聞いています。カイロ学校では近年入学者数が軒並み減少している状況だと聞いています。国内カイロ教育の最高峰である学校でさえ、存続を危ぶまれるような人数だと聞いています。これは柔道整復(柔整)の学校がたくさんでき、多くの学生を受け入れるようになったことも大きな原因だったのでしょう。やはり日本では国家資格として正式に認められた柔整に安定を求めるのは、今の世相では当然のことなのでしょう。どうせ高いお金を出して学校に行くのなら、国家資格のほうがいいに決まっていると判断する人が圧倒的に多いわけです。

そして、カイロがやりたければ卒業後、または在学中にカイロのコースを取ればいいと思うのでしょう。要するにカイロには資格がないのだから、専門の学校に行くほどのことをしなくても学べるという考えに至るのです。そんな甘い考えでは実際にカイロを本格的に習得することなど無理な話ですが、学校を選択する時点でどれだけの人がそのような判断ができることでしょう。きっと頑張れば大丈夫ぐらいに考えるはずです。

日本の残念な現状

このことによって起こり得る現象は、2年生のカイロの学校よりはるかにレベルの低いカイロのコースを取った方たちがカイロの看板を上げることです。やがて大量の卒業生を輩出する柔整の業界も飽和状態を迎えることになります。そこで彼らの目には自由診療のカイロが魅力的に映るはずです。そのとき、どれだけの人がしっかりとしたカイロ学校へ行って学ぼうと思ってくれるかです。

法制化されていない悲しさで、専門の大学を出なければカイロプラクターになれないというわけではないのです。多くの柔整の方たちがカイロを行うというこの流れを止めることはできません。カイロ学校も生き残りをかけて、柔整の有資格者対象のプログラムに力を入れていくことでしょう。そこで大切なのは、カイロをやるからには情熱を持ってやってもらうということでしょう。

いくら国際基準を取るように叫んでも、さらに何年も学校へ行く人は稀ということです。これでは4年制の学校が生徒獲得に苦戦するのはしかたのないことです。私もできれば日本のカイロプラクター全員が国際基準を満たすようになってほしいのですが、法制化がなされる日までそれは無理でしょう。何か大きな波がやってきて、業界が一枚岩にならなければ大きな変革はできません。

ところが今、その波が訪れているのを感じているのは私だけでしょうか? いや、たぶん皆さんも感じておられることでしょう! そうです、その波とは東京オリンピックのことです。アメリカをはじめ多くの国では、オリンピック選手のサポートにカイロプラクターがついています。優秀な選手は専属のカイロプラクターさえ帯同しています。カイロプラクターはカイロを提供しなければなりません。オリンピック選手のメディカルスタッフには、アスレチックトレーナーやマッサージセラピストもいます。そんな中でカイロプラクターはアジャストをすることが仕事になります。さらにアスリートの治療には、四肢のアジャストメントが非常に大切になってきます。私がオリンピック陸上の選手をケアした経験から、四肢の治療に強いカイロプラクターは活躍の機会が圧倒的に増えます。しかし肝心なことは、やはりアスリートの背骨のサブラクセーションをアジャストし、神経の流れを整えてアスリートの体からエネルギーがほとばしるようにすることなのです。

目標は国際基準到達

アメリカでは当たり前のこととなっているカイロプラクターによるオリンピック選手のサポートも、そこまでこぎ着けるには大きな努力と苦労があったはずです。カイロ後進国の日本では、さらなる努力を必要とします。そのためには自分たちの知識や技術を国際基準レベルに引き上げる必要があります。今のようにカイロの学校の存続さえ危うい状態では優秀なカイロプラクターが育ってくる確率はどんどん下がってしまいます。

今、日本のカイロ界のマジョリティーを占める国際基準を持たないカイロプラクターの中から、ひとりでも多く国際基準に引き上げることのできる、現実的な教育プログラムの構築が必要になってくるのではないでしょうか。JACやTCCが勇気を持ってやってくれれば、そのようなプログラムが盛況となり、業界ももっと元気になり魅力的になるのではないでしょうか。最初は少しレベルが低めになるかもしれませんが、柔整に負けないような勢いをつけて少しずつさらなるレベルアップをしていけばいいと思います。アメリカのカイロ界がそうであったように、年月をかけレベルアップし成熟させていくことを考えないと、いきなり高すぎるハードルを設けても環境が整っていなければ上手くいかないでしょう。

元気のある業界、バランス感覚のある倫理的なカイロプラクター、国際基準に準ずるレベルに多くの仲間を引き上げる教育プログラムが揃ったときに、この大きな波に乗って日本でのカイロの普及を果たすことができるのではないでしょうか。多くの日本のカイロプラクターが、より大きな目的を持って日常のレベルからさらに脱皮していく覚悟を持ってくれれば、5カ年計画をもって業界を発展させれば、われわれの業界は皆さんが想像するよりはるかに大きな成長と国民からの認知を受けることでしょう。

JACにその決意と覚悟があることを願っています。そして、JACが本気で国民のことを考えて大きな心とビジョンで業界を大きく発展させる決断をし行動を起こすのなら、カイロ界が一丸となって迷わずそれをサポートしていかなければならないと思います。7年はアッという間に過ぎていきます。一刻も早く業界全体の意識を高め、行動に移していくことができればいいですね。私も少しでもお役に立てることができればと願っています。目指しませんか、東京オリンピック!!

<第9回>過緊張筋へのアプローチ

投稿日:2013年10月25日

カイロジャーナル78号 (2013.10.25発行)より

アプライド キネシオロジー(AK)などで使用されるマニュアルによる筋力テストは、筋を支配する神経機能を評価する方法として使用されている。この筋力テストには、いくつかの方法がある。それらのテストの中には、γ1筋力テストとγ2筋力テストというものがある。
 γ1筋力テストは、検者誘発性筋力テストで筋紡錘の核袋線維の反応であり、γ2筋力テストは被検者誘発性筋力テストで核鎖線維の反応である。この2つの筋力テストの方法は、検者の押圧から開始するのか?(γ1筋力テスト)あるいは被検者の筋収縮から開始するのか?(γ2筋力テスト)ということで異なる。
 臨床でどのように使い分けるのかということは、そのテストの方法から考えれば単純である。γ1筋力テストによる筋が伸長されることによる神経の反応は、身体の構造を重力に対して維持するための機能を評価している。一方、γ2筋力テストによる随意の筋収縮の神経の反応は、ボールを蹴るというような意識的に筋の収縮を起こすような運動の機能を評価している。
 しかし、随意運動においても、重力に対して姿勢を保持しながら随意運動を行う場合には、すでにγ1筋力テストにより評価される機能を使用していることになる。このためγ1筋力テストは、筋の神経学的機能を評価する上でベースとなる最も重要な筋力テストである。
 姿勢を維持するための筋の伸張反射が正常に起こらない場合、重力に対して身体を支える機能のある筋、抗重力筋(脊柱起立筋、胸鎖乳突筋、僧帽筋、腹筋、殿筋群、ハムストリング、下腿三頭筋など)においていは、γ1筋力テスト、伸張反射が正常に起こらない場合、網様体からの刺激がこの異常をカバーすることになる。この網様体には2つの部位、橋網様体核と延髄網様体核が関与する(図)。橋網様体核は抗重力筋を興奮させ,延髄網様体核はこれを抑制する。
栗原spinal section-Recovered
 延髄網様体核の抑制の低下は橋髄網様体核の抗重力筋の刺激(前角運度ニューロンの促進)の増加につながり、伸張反射の異常を小脳、前庭核などからの情報により補正するとともに、重力に対して姿勢を保つ。しかし、網様体による補正作用は、直接、前角運動ニューロンを興奮させるため、筋紡錘からの微調整の作用が低下しているため、過緊張傾向になる。
 これでは、このような原因による過緊張筋への対処法は上位中枢によるコントロールを変化させるのではなく、根本的な問題、正常な伸張反射を回復するための検査と治療が必要になる。つまり、γ1筋力テストの異常を修正すればよいということになる。抗重力筋において、過緊張が検出される場合、γ1筋力テストによる異常とこれに対する治療が「過緊張筋(抗重力筋)の緊張度を下げる」ために必要なものである。γ1筋力テストの異常を起こす因子には、筋紡錘(浮腫、硬縮)、ゴルジ腱器官(短縮)、起始停止(伸長、微小剥離)、その他多くの因子がある。しかし、γ1筋力テストにより伸張反射を正確に評価できれば、その原因を突き止めることはさほど難しくない。

カイロジャーナル78号

投稿日:2013年10月25日

  • カイロプラクターの最重要文献は?
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<第37回>関連痛のメカニズム

投稿日:2013年10月25日

カイロジャーナル78号 (2013.10.25発行)より


(”Principles of Neural Science”4th Edition. 471Pより転載)
(”Principles of Neural Science”4th Edition. 471Pより転載)

「関連痛」の概念は、Martynが「炎症性疼痛における生理学的意味について」で論じた1864年の論文に始まるとされている。障害部位から離れたところにも現れる痛みの存在であった。

1893年には、H.Headが内臓疾患における関連痛として「ヘッド帯」なるものを学位論文として発表した。その中で、内臓疾患の関連痛は皮膚節(デルマトーム)に現れるとしている。

また、生食を筋肉に注入すると、注入部位だけでなく離れた部位に痛みが放散することを明らかにしたのはT.Lewisとされている(1938)。同じ手法で高張食塩水を注入して、関連痛は筋肉などの組織の過敏点から生じるとしたのはJ.H.Kellgrenである。この体性からの関連痛は、局所麻酔で治まることを両者が報告している。こうした関連痛の歴史的背景については、小山なつ著『痛みと鎮痛の基礎知識』上・下巻に詳しい。

関連痛のメカニズムには諸説ある。大別すると、末梢神経における機序にその根拠を求めた「末梢説」と、中枢神経での機序に求めた「中枢説」に分けられる。

例えば、腹筋下部に生じたトリガーポイント(TrP)は、虫垂炎の関連痛のように嘘をつく。虫垂炎で最初に出る痛みは、実際に内臓からの痛みである。ここからの痛み信号が脊髄に送られると後根反射が起こるとする。このインパルスが末梢に逆行して化学物質を放出し、周辺組織の皮膚や皮下組織に関連痛をつくり出す。これが「末梢説」の代表的 な仮説「腸膜皮膚反射説(Morley;1931)」である。しかしながら後根反射が起こるとするエビデンスは存在しない。痛み刺激が脊髄に送られたからといって、後根反射は起こり得ないのである。したがって、この仮説は怪しいと言われる。

中枢神経系に関連痛の根拠を求めた「中枢説」でよく知られているのはRuchの「収束―投射説(1947)」である。「収束―投射 (projection)説」は、脊髄における痛覚伝道路である二次ニューロンに内臓からの痛覚一次ニューロンと、皮膚からの痛覚一次ニューロンが収束しているために関連痛が起こる、とする説である。

皮膚はヒトの身体と外界との境界をなしている。そのために皮膚は多くの刺激を感受しているし情報網も多い。したがって、脳は皮膚からの情報を優位に結びつけやすいのだろう。ヒトの持つ学習能の所作なのかもしれない。

そもそも内臓疾患からの関連痛を、最初に脊髄における「収束説」で説明したのはMackenzieの「収束―促通(facilitation)説」(1893)だった。「促通」とは、「2つの刺激が組み合わさると、単独での刺激の効果よりも大きな効果が起こる現象」を指している。Mackenzieは、なぜ「投射」ではなく「促通」説を持ち出したのだろう。彼は、内臓からの痛み症状となるインパルスは脊髄視床路ニューロンに接続されていない、と見ていたからである。今となっては、この時点で誤りであったことになる。

それゆえにMackenzieは、内臓疾患による求心性インパルスが脊髄分節で収束されて「過敏性焦点」が作られるという推論を構築したのである。これで皮膚への関連痛に見られる痛覚過敏の病態が説明可能となった。Mackenzieの仮説では、関連痛そのもののメカニズムを説明しきれなかったが、それでも「過敏性焦点」を想定し、さらには「軸策反射説」を導入して、関連領域の痛覚過敏や炎症のメカニズムを説明することに貢献したと言えるだろう。

一方、Ruchの「収束―投射説」では、末梢での痛覚過敏や浮腫を説明することができなかった。この疑問を穴埋めしたのが、「過敏焦点」や「軸策反射」という病態機序だったということになる。

こうして見ていくと、発表されてきた関連痛のメカニズムは、内臓疾患からの関連痛を前提として構築されているように思える。どう見ても、筋・筋膜TrPがつくる関連痛の説明には成り得ていないからである。したがって関連痛のメカニズムは、内臓性と体性からの関連痛のメカニズムとは別に考える必要がある。


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