2013 6月カイロプラクティックジャーナル

  2013  6月

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インナーフィジシャン

投稿日:2013年06月27日

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残念なことに、日本語改訂版の出版を待たず、ジョン・アプレジャーD.O.は逝去されましたが、その功績は永遠です。本書には、アプレジャーD.O.の探求の道のりと臨床哲学、臨床体験が綴られており、頭蓋仙骨・エネルギー療法の古典として、また常に臨床に役立つ真理の書として、世界中で読み継がれている名著です。


目次
  1. 誘惑の罠が仕掛けられた
  2. その罠とは?
  3. 命の「芯」を垣間見た
  4. 罠の正体がわかった
  5. それは頭蓋仙骨系だった
  6. 頭蓋仙骨セラピーを始めた頃
  7. 視野が広がる
  8. 頭蓋仙骨セラピーの応用
  9. うつ病の治療に効果
  10. 知られてきた顎関節症候群
  11. 慢性疼痛と障害
  12. 洞察
  13. 組織記憶だって!
  14. エネルギー嚢を解放する
  15. 組織記憶のこと
  16. 体性感情解放法とは何か
  17. ヒーリング・エネルギーの利用
  18. 意思とタッチの治療の結果
  19. イメージ・対話療法とは何か
  20. 結果が最終的な結論である
  21. この治療を施せるのはだれか
  22. 頭蓋仙骨系の構造
  23. 頭蓋仙骨系の診断と治療法
  24. 頭蓋仙骨セラピーの応用
  25. CST‐SERに感謝
  26. 患者からの質問と回答

本書について

本書は、まったく新しい身体のシステムの発見について、どのようにして発見に至ったか、どの分野に応用され、それが人にとって何を意味するのか、について述べたものである。

このまったく新しい身体のシステムを頭蓋仙骨系と呼んでいる。この発見によって、どのような活動レベルにある人でも、生活の質を向上する機会が得られるようになった。

頭蓋仙骨セラピーや、さらに技術が進んだ体性感情解放法や、それから派生したイメージ・対話療法などを利用すれば、どのような活動レベルにある人でも、治癒や健康増進の可能性が得られるのである。本書では、その概念体系の展開と、生体エネルギーや自然治癒への利用のために開けられた門戸について、身をもって体験した話を詳しく述べている。

<はじめに>より

<第8回>腹臥位での静的な骨盤触診はいらない?

投稿日:2013年06月27日

カイロジャーナル77号 (2013.6.27発行)より

 臨床では腹臥位で骨盤を静的あるいは動的に触診する機会は少なくない。カイロプラクティックを勉強し始めた当時、SOTで、骨盤のカテゴリーⅠとⅢでは腹臥位、カテゴリーⅡでは仰臥位で触診を行うのは何で??と疑問に思っていた。
 理由はシンプルである。仰臥位では、仙骨がテーブルに接触して基準となり、仙骨に対する寛骨の歪みを検出できる。逆に、腹臥位では、両側の寛骨を基準とする、仙骨や腰椎の歪みが検出できるのである。テーブルに腹臥位になっている状態では、比較的やせている患者は恥骨結合がテーブルに接触する。かなりやせている患者では、ASIS(前上腸骨棘)がテーブルに接触する(下部腰椎の伸展と股関節伸展の可動性が必要であるが)。この場合、フィクセーションがない限り、左右の寛骨はテーブルの上で変位を保持することなく、寛骨のゆがみは最小限になり、寛骨に対する仙骨の歪みが明らかになる。
 患者が肥満傾向にあり腹部突出のため、ASISはもとより恥骨結合でさえテーブルに接触しないケースがある。この場合、腰椎の回旋、腹部、腹腔内組織の差、股関節屈筋、特に大腰筋、腸骨筋、大腿筋膜張筋などの硬縮による股関節伸展制限などにより骨盤の変位が起こる。これでは寛骨に対する仙骨の変位を検査することは不可能になる。
 腰椎の回旋フィクセーション、あるいは変位は腹臥位で骨盤全体にねじれ(棘突起回旋側の骨盤が前方回旋)を加えることになる。これはSOTでいうカテゴリーⅢということになる。股関節屈筋硬縮により寛骨が前方回旋を起こしている場合では、立位でも同じような変位が起こる可能性は高いが、腹部の圧力の左右差の場合、立位での変位とは異なる場合もある。
 腹臥位での触診では、ASISとテーブルの間に隙間が触診できるか調べるべきである。ASISが完全にベッドに付いている場合では、寛骨のゆがみは最小限に補正されている状態である。このような状態では、かなりの股関節屈筋硬縮の存在も疑われる。ASISとテーブルの間にスペースがある場合、腰椎や腹部などの影響を考慮すべきである。
 しかし、腰椎、胸椎、頚椎への力学的な影響(例えば、骨盤前方回旋変位による腰椎回旋変位など)を考慮して、骨盤の変位に対してアプローチする場合、腹臥位での骨盤の触診はフィクセーションの有無をチェックするためのみで有効である。仙腸関節の可動性が正常、または亢進しているような場合では、腹臥位での変位は、頚椎、胸椎、腰椎に影響を与える立位での変位と必ずしも一致するわけではない。
 例えば、骨盤の変位による、立位での腰椎の回旋変位を改善するためには、立位で骨盤の状態を触診する必要がある。骨盤を脊柱の基礎として重要視する場合、腹臥位、さらに座位での触診はあまり有益ではなく、立位での触診は必要不可欠である。また、起立時や立位で症状が出現、悪化する場合でも同様である。

骨盤の状態。上が仰臥位で下が腹臥位。

骨盤の状態。上が仰臥位で下が腹臥位。


 腹臥位での骨盤の変位の触診は、参考程度として捕らえるべきであり、腹臥位では主に、モーション・パルペーションを重要視するべきである。腹臥位での静的な触診による骨盤の変位の結果を基に治療を加えるべきではない。モーション・パルペーションにより可動性が検出される場合、ASIS、腸骨稜、PSISなど立位での触診が必要である。
 しかし、立位で変位がある場合、もはや骨盤は脊柱の基礎ではなくなる。股関節を始めとする下肢の異常は、立位での骨盤の状態を変化させる。これにより、股関節を始め、下肢の治療が腰部のみならず、脊柱に対して重要であるのが理解できると思う。
 骨盤の変位の治療により、上位の脊柱の状態を改善させるためには、立位での骨盤の状態を触診する必要がある。手技療法において骨盤の状態が重要になるのは、仰臥位、腹臥位、座位でもなく、立位の状態である。

カイロジャーナル77号

投稿日:2013年06月27日

  • 第15回は東京で11月開催 期待の講演 飛躍の糧に
  • 訃報 頭蓋仙骨治療の巨匠、アプレジャーDO死去
  • 訃報 腰痛エクササイズに革命をもたらしたマッケンジー氏、死去 
  • WFC世界大会、アフリカで初めて開催
  • カリフォルニアで法案合戦
  • 「腰痛への新しいアプローチ」 ジェイコブDCインタビュー

<第25回>「極めるという気持ち」

投稿日:2013年06月27日

必死に頑張る愚直さが人を変える
カイロジャーナル77号(2013.6.27発行)より

先日、日本のテレビを観ていると、作家の林真理子さんの新刊「野心のすすめ」という本にまつわる番組をやっていました。林さんが大学生のグループと対談をしていました。噂には聞いていましたが最近の若者の「がむしゃら否定思考」とでも言うのでしょうか、必死に頑張って何かに向かっていくというより、自分らしい(?)ペースで生活をすることを選び、冒険より安定を選ぶという風潮や意見を実際に聞いて、改めて違和感を感じてしまいました。

がむしゃら否定思考

一つには育った時代背景の違い、私のように日本の高度経済成長の中で育ち、バブル経済の恩恵を受けて留学し、仕事をはじめてからシリコンバレーバブルの中で生活してきた者と、生まれてからずっと不景気な世の中で育った人の感覚の差だと思いますが、その夢を見ることのない地味な意見に、若者らしさというかエネルギーを感じることができませんでした。「就職活動をしてもなかなか上手くいかない」と語る彼らの入社審査をしているのは、たぶん私と同世代の方々だと思います。当然、私と似た違和感を彼らに感じたことでしょう。

時代背景もあって安易に彼らを責める気にはなれませんが、もっとやる気やエネルギーを溢れさせ、がむしゃらに必死に何かを求める気持ちを持って欲しいと願ってしまいます。若いうちはどんどん冒険してチャレンジして、失敗して落ち込んで、またそこから這い上がってということをたくさん経験するべきなのです。必死に必死に頑張って、自分を追い込むことで自分の本当の可能性や能力を知ることができるのです。

私から見て、どう見ても頑張っていない人に「自分は自分なりに頑張っています」と言われたり、「できる人たちには、できない人間の気持ちなんかわからないですよ」とか、「上から目線で言われても困ります」などと言われたら、いくら彼らの気持ちをわかって上げたいと思っていても、正直なところガッカリして話をする気がしなくなります。若い人にそんなレベルで頑張っているとか、一生懸命やっていると言われたら、アドバイスする気にもなれませんし、手助けしようとも思えません。ましてや、本当に必死に頑張っていない人間に上から目線だと言われると、それは、自分自身を必要以上に卑下する情けないことだと周りから思われていることに気づかないのだろうか、せっかくの能力があるのにもったいないと思わないのか、と不思議に感じるのです。

一生懸命にがむしゃらに努力することができない人は本物のプロフェッショナルにはなれません。世の中そんなに甘いものではありません。「そこまで自分を犠牲にして頑張るのは幸せだと思えない」とある学生が答えていました。私も若くて大馬鹿野郎だった頃に「仕事は人生を楽しむために必要なお金を稼ぐためであって、別に好きな仕事につかなくても構わない」と偉そうに言って、ある方から呆れられたことを覚えています。その方は自分の仕事に命を懸けていたプロフェッショナルでした。今思い出すだけでも赤面してしまいます。楽で簡単な近道を探すことを考えていた私が、やがて「自分の知る誰よりも努力して頑張るぞ」と誓うに至ったのは神の啓示だと思っています。「一番の近道はビジョンを見失わずに、やるべきことを誰よりも必死に頑張る愚直さだ」と気づけたことは幸運でした。

「一生懸命頑張っている人を見て、あの人あんなに頑張って疲れ切って幸せなのかなと思ってしまうんです」という学生に対して林さんが、頑張って頑張り抜いてようやく立てる境地があり、見える景色、感じることのできる幸福感があるという意味のことを言っていました。まさしくその通りだと思いました。数人の学生が対談後のインタビューで「林さんの話を聞いて、自分を省みて考え方が少し変わりました」と言っていました。素晴らしいことです。その出来事は彼らの人生にとって珠玉の時間と言えるでしょう。今の若者すべてが今回の対談に集まった大学生のような考え方ではないと思いますが、多くの若者たちに林さんの本を読んで、これからの自分の生き方をもう一度考え直して欲しいと思いました。

カイロの世界を見回したとき、私が尊敬の念を抱く方は学位で決まるのでも、年齢や経験の長さで決まるものでもありません。テクニックの種類やフィロソフィーで決まるものでもありません。私自身は使っていませんが、アクティベータや上部頚椎テクニックでもその道で極めている方は、その陰にある熱意と努力がわかるので尊敬します。どんなに自分は正統派のカイロプラクターで、強いフィロソフィーを持っていると言っていても、その人が努力不足なら尊敬などできません。実際、人の学位やテクニック、フィロソフィーにケチをつける前に、自分自身をもっと磨いて欲しいと思う方が余りにも多いです。インターネットでくだらない匿名の書き込みで人を中傷する暇があったら、自分自身のレベルアップをしたほうがいいのではないかと心配になります。私はアクティベータを使おうが、アトラスだけしかアジャストしなかろうが、その人が必死の思いで努力をして極めたのなら素晴らしいし、その先生の患者はとても幸せだと思います。その道を極めるという揺るぎのない強い気持ちが大切なのです。

私は、カイロプラクターはアジャスト以外はするな、などという考え方ではないし、患者に必要ならいろいろな療法を組み合わせるのもありだというタイプです。しかし、カイロプラクターなら自分のテクニックをとことん研鑽し、最高のアジャストメントを患者に提供しなければならないと思っています。それにプラスして他の療法を取り入れる分はいいですが、アジャストメントが未熟なのことへの埋め合わせで他の療法に力を入れたり、他の療法へのオマケでアジャストメントを行う方をカイロプラクターとして尊敬することはできません。十分な努力をして患者の治療結果も優れているのなら、確かに素晴らしい治療家なのかもしれませんが、カイロプラクターという名称には値しないということです。カイロプラクターなら、カイロプラクティックが好きなら、勉強するのも当たり前だし、テクニックの練習をするのも当たり前なのだから、もっと努力をして欲しいと思うのです。その先にきっとカイロプラクターとしての幸せが待っていると思うのです。

日本の多くのカイロプラクターにもっともっと泥臭く、なりふり構わず没頭してアジャストメントの練習をして欲しいと思います。目標を高く掲げて切磋琢磨して欲しいのです。人によってセンスも能力も違うので、習得に要する時間は違うでしょう。でも常に上を向いて必死に頑張って欲しいと思います。アジャストメントが上手くいかなくて悔しくて眠れなかった夜を思い出します。学生時代、早朝まだ誰もいないテクニック・ルームでダミーを相手に黙々とボディードロップの練習をしてた日々を思い出します。自分より上手い人がいると、悔しくてもっと上手くなりたいと研究してカイロのこと以外考えられなかった頃のことを思い出します。そんな必死の日々の積み重ねが今の自分を、今の幸せを支えているのだと思うのです。

最高のアジャストメントを最高の診断の下に最高の形で提供できる、知識、判断力、そして技術を持つカイロプラクターがもっと増えたときに、テクニックやフィロソフィーのちょっとした違い関係なしに、お互いを尊敬し合える業界ができ上がるのではないかと思います。私自身もまだまだ発展途上だと思っています。皆さんに偉そうに言うからには、これまでにも増して技術や知識の研鑽に励みたいと思っています。このコラムが一人でも多くのカイロプラクターの心に響いてくれることを願っています。まだ上から目線だなどとくだらないことを言っている人が一人もいないことを願っています。ぜひ皆で一緒に励まし合ってカイロプラクティックを極めたプロフェッショナルになれるように頑張っていきましょう。

<第35回>痛みの臨床的指標

投稿日:2013年06月27日

ジャーナル77号(2013年6月27日発行)より


様々なデルマトーム
図1 様々なデルマトーム

図1はデルマトーム(dermatome:皮膚節)として発表された主なものである。こうして見ると、デルマトームは必ずしも同じものが採用されているわけではないことがわかる。デルマトームとは求心性感覚神経の皮膚支配領域のことであるが、脊髄が形態的に分節構造を持っているわけではない。したがって皮膚節の境界も曖昧なわけで、あくまでも機能的な分節が31対の脊髄神経支配で区分けされている。

当然のごとく、その境界に定説はない。極めて不確定である。デルマトームに対して、遠心性の運動神経支配領域は筋分節(ミオトーム)と呼ばれている。

デルマトームの様々な図をみると、あくまでも臨床上の印象としてではあるがkeegan & Garrettの図がより合致しているように思える。デルマトームは、脊髄疾患がどの分節レベルにあるのか判断する上で有用である。しかし、末梢に放散する痛みをデルマトームに照合しても、ピタリ合致するケースには先ずお目にかかれない。

内臓疾患では、その病巣部上の体壁において筋・筋膜の緊張あるいは皮膚の変化が見られるとされている。つまり内臓疾患の関連痛はデルマトームに出現することが多いということであるが、筋肉からの関連痛はデルマトームに出現するわけではない。

臨床で有用性が高いのは、トリガーポイント(Trigger Point=TrP)パターンの図である。TrPによって誘発される関連痛を示したもので、その専門の成書にも掲載されている。またインターネット検索でも入手できる。このTrPパターンの図は、関連痛の発信源を探る参考としてベッドサイドでも便利に利用できる。それでも、こうした関連痛は必ずしもマニュアルと合致しないことがあり、関連痛のメカニズムは未だ全容が明らかではない。

そもそもTrPとは何か。侵害受容器が発痛物質によって感作され過敏状態になった病態で、その過敏点が引き金となって様々な痛みや関連痛を引き起こすポイントである。要するに、筋・筋膜由来の侵害受容性疼痛をもたらす痛み信号の発信源になっている。この関連する痛みは筋筋膜性疼痛症候群(Myofascial Pain Syndrome:MPS)として知られているが、通常は医科の診断名として使われることはない。そもそもMPSという診断名自体が存在しないのだろう。存在しないわけだから、MPSの病態は他の疾患名として診断されているのが実情のようだ。
例えば、椎間板ヘルニアによる頸部および腰部の神経根症、脊柱管狭窄症、変形性関節症などとされる痛み症状などはその典型であろう。そこには、適切な治療が行われることがないという実態も隠れているに違いない。

不幸なことに、MPSの病態は原因不明とされやすい。あるいは異常がないとされる。または詐病や心因性、神経症と扱われやすい。こうした患者さんが慢性痛になり、痛みの難民患者となっている実情も見過ごせない問題なのである。

また、骨膜痛点パターンも見逃せない病態で、運動機能障害の患者さんにはよく診られる。TrPパターンと同様に骨膜痛点パターンも押さえて置くと便利に使える。例えば、剣状突起や恥骨結合上縁の骨膜痛点は腹直筋の緊張に関わるし、大転子の骨膜痛点は股関節疾患や外転筋の緊張をもたらす。また、T5、6棘突起の骨膜痛点は下頸部疾患や胸腰部疾患に関与することがあり、脊柱傍深筋の緊張はL5棘突起の骨膜痛点の影響を受けやすい。こうした骨膜痛点の反射変化は30項目ほどある。それでも、例として挙げた関連性からもわかるように、多くは解剖学的位置関係からその関連性を想定しやすいものが多いようである。


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