2012 11月カイロプラクティックジャーナル

  2012  11月

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自分で治す側弯症

投稿日:2012年11月22日

scoliosis

側弯症を正しく理解し、自分で側弯症を矯正するための画期的な治療法。この本は、側弯症を正しく理解し、側弯症を自分で改善するための方法を紹介しています。著者のドクター・エサギが開発した「エサギ側弯症治療プラン」(The Esagui Scoliosis Protocol: TESP) という脊椎エクササイズをわかりやすく解説するとともに、健康になるための食生活指導や生活習慣改善の提案をしています。

同時に、側弯症の患者が自分の心情を率直に表現できるように、また治療に対して積極的になれるように、親身になって勇気づけています。

主な目次
  1. 脊椎と側弯症を知る
  2. 側弯症矯正のための脊椎エクササイズ
  3. 食生活と生活慣習を改善する
  4. 自分を見つめる
著者のプロフィール
ベロニカ・エサギD.C.
ポルトガル生まれ。1962年渡米。97年ライフカイロプラクティックカレッジウエスト卒業。側弯症患者の治療経験をもとに、ストレッチとエクササイズを組み合わせた独自の治療法を考案し、側弯症の改善に成功。アメリカだけでなく、世界的に知られ、広く活躍している。

訳者のプロフィール
奥墨 友章D.C.
1960年生まれ。85年日本指圧専門学校卒業。渡米して、ロサンゼルスのジャパン・シアツ・センターに勤務。91年米国永住権取得。97年ライフカイロプラクティックカレッジウエスト卒業。著者のドクター・エサギとは同期生。98年帰国。現在、埼玉県戸田市でクリニックを経営。

<第31回>酸欠で痛むわけ

投稿日:2012年11月04日

カイロジャーナル75号 (2012.11.4発行)より

ATP産出の経路には酸素を利用する系(好気性解糖)と、利用しない系(嫌気性解糖)とがある。自動車で例えると、最初のエンジンの駆動に使われるエネルギーは、筋肉中にわずかに存在するATPで、約1秒程度の瞬発力に使われる量である。

この筋肉中のATPが消費されると、次にはやはり筋肉中にあるクレアチンリン酸(CP)からATPを産生することになる。このときの瞬発力は10秒前後のフルパワーとなるが、これらは酸素を必要としないエネルギー産出系である。クレアチンリン酸(CP)は、筋肉中にATPの5倍の量が有るとされている。つまりATPの貯蔵物質としてクレアチンリン酸が存在している。

例えば、瞬発力を使った競技には100m走ダッシュ、相撲、野球のピッチングやバッティング、テニス、ジャンプなどなどがあり、いずれも数秒の短い時間の間にエネルギーは消費される。こうした運動のエネルギー系は酸素を利用しない解糖系で賄うことができる。筋肉の収縮力・瞬発力は強いが持続性のないエネルギー系であり、限界のある ATP産出系に依存しているのだ。

筋肉内に貯蓄されたクレアチンリン酸(CP)が使い尽くされてしまうと、今度はグリコーゲン(糖質)を分解してATPを合成するのだが、この経路でも酸素を使わない。こうした素早い解糖系では酸素を使わないでATPを産出する。グリコーゲンが乳酸に分解される過程で、3分子のATPが作られるのである。かつて、この乳酸が筋肉を収縮させるという仮説(乳酸学説)が主流だった。この学説はノーベル生理医学賞を受賞(1919年)している。ところが後に、乳酸は筋肉の収縮に直接関与しないことが判明した。「乳酸学説」は破綻したのである。その後に、筋肉を収縮させる直接の物質はATPだということになった。実際には、筋肉の収縮や弛緩に関与するのはATP濃度であることが判明したのである。

ATP濃度が増加すると、収縮した筋肉が弛緩するからで、そこに働くのが「エネルギーリン酸結合」を触媒する「クレアチンキナーゼ」や「アデニル酸キナーゼ」ということになる。

解糖過程でピルビン酸を経て乳酸が蓄積されると、その乳酸から解離した水素イオンがタンパク質と結合する。それまでくっついていた陰イオンは、タンパク質から離れて細胞膜を通過して細胞外に流れ出す。カリウム・イオンも流出して細胞外液の濃度が上がる。通常は、ナトリウム/カリウム・ポンプによってナトリウムを排出しカリウム・イオンを取り込む。この細胞内外のバランスを保つためにATPのエネルギーが使われる。ここからミトコンドリアに入って、酸素を利用したクエン酸回路(TCA回路)から電子伝達系で多くのATPを合成するようになるのだが、筋肉に酸素の欠乏が起こると、この経路の活動に支障が起こる。結果的に、ATPの産生が減少する。

さて、酸欠によるATP産生不足が起こるとカリウム・イオンを取り込めない。ますます細胞外液のカリウム・イオン濃度が上昇する。この細胞外のカリウム・イオンが神経線維を興奮させることになる。また、局所の酸素欠乏はアシドーシスを招く。すると血漿プレカリクレインが活性化され、ブラジキニンがつくられる。ブラジキニンを分解するキニナーゼⅡが阻害されると、ブラジキニンは蓄積する一方になる。これが筋肉の痛覚線維を刺激する。こうして虚血による訳あり筋は、痛みを発症することになる。


カイロジャーナル75号

投稿日:2012年11月04日

  • 75号(12.11.4発行)
  • 第14回徒手医学会学術大会
  • ロンドン・オリンピックでカイロプラクターが活躍
  • 「世界最速」ボルト選手もカイロケア
  • 年に1度“真剣な祭り”

<第23回>「私たち一人ひとりが考えなければならないこと」 

投稿日:2012年11月04日

覚悟して日々過ごす
カイロジャーナル75号(2012.11.4発行)より

ジャーナル読者の皆さん、いかがお過ごしですか? 日本は今、一年で最も過ごしやすい秋を楽しんでいるのではないでしょうか。私が暮らすアメリカでは大統領選挙のニュースで賑わっています。カイロプラクターとしては、やはり健康保険改革の公約のことが気になりますが、いずれにせよ、この国の健康保険システムは崩壊していくような気がします。やがて保険対象外となる日が来るかもしれません。そうなれば間違いなく保険頼みのカイロプラクターは次々と廃業していくでしょう。日本と同じ自由診療となった場合、どれほどのカイロプラクターが生き残るのでしょう。私はいつそのようなことが起こってもいいように、覚悟して日々過ごしていかなければならないと思っています。

カイロが保険の対象外となるような業界としての大きな危機が訪れれば、まとまりをなくしてしまったアメリカのカイロ業界も、初心に立ち返りカイロプラクティックのあるべき姿を再確認することができるかもしれません。人間というものは頭をガツンとハンマーでぶっ叩かれないと気がつけない生き物なのでしょう。誰しも良かれと思って一生懸命頑張っていたのに、時が経ち、ふと自分の軌跡を見返してみると、なんと見当違いな方向に向かって進んでいたのかと、愕然とすることがあるものです。そのようにカイロの業界も迷走を続けてきたのかもしれません。業界の発展とはそもそも何なのか、と考え直す時期に来ているのかもしれません。

日本のカイロ業界はと見回してみると、この迷走ぶりもなかなかのもではないでしょうか。日本であれアメリカであれ、大差はないのかもしれません。業界内の多くの方が一生懸命にそれぞれの信じる道をひた走っているわけですが、結果も思うように現れないし光も見えてこない状況でしょう。やがて落胆し、虚無感とともにわかり合える小さなグループ、または一人でできることをコツコツとやる方が、傷つくことなく幸せだと感じるようになるのでしょう。それはそうだろうなと私も正直思います。業界内では相手のことをよく知らないくせに、取りあえず悪口を言ったり敵意や偏見を持つ人が多過ぎるように思います。それどころか、自分が正しいと思うあまり他の人の妨害を企てる始末です。

ときには悪口を言われてもしょうがない人もいますが、大概の人は実際に話してみると実にいい人で、一生懸命にカイロプラクティックのことを考えていたりするものです。私などもきっと会ったことも話したこともない人から悪口を言われていることでしょう。このような困った人間の習性も利害が一致したときには驚くほど急速に姿を消します。人間の防衛本能とでもいうのでしょうか、敵対するものには牙を剥き利害が一致するものとは徒党を組むのです。これは本能的なものでもあるので悪いことばかりではありません。それならこの防衛本能を利用して業界がもう少し団結すればと思います。

カイロが好きだ、患者のためにできる限りの努力をして素晴らしいカイロを提供したい、カイロのことをもっと世の中の人に理解してもらい利用してほしい、カイロプラクターという仕事が社会的認知を受けることなど、日本のカイロプラクターの多くが考え望んでいる大きな構図の下に力を併せ、業界のスタンダードを上げる道を模索できないものかと願います。基準ができてしまうと、制約を受け自分の好きなようにビジネス展開ができないと思う方は、スタンダードが上がり効果が知られ安全性が高まれば、もっと多くの方がカイロプラクティックの治療を受けるようになるので、今よりもっと盛業するとは考えられないでしょうか。

教育レベルが低い悪質なカイロプラクターが、世の中に悪いイメージを与えているので排除したいと思う方は、いくら排除しようと思っても、知識、技術、倫理観のレベルが低いカイロプラクターは決して消えていなくならないことを認識しなければなりません。それならいっそ、彼らがもっとレベルの高いカイロプラクターになれるような道を考えてはどうでしょう。その方たちだって、自分たちが受け入れられレベルの高いカイロプラクターと成長していけば、プライドを持ち長年に渡りやりがいのある仕事をし、人々に感謝され恵まれた生活をすることが可能になるのです。

自分がやっているテクニックが一番だ、自分たちのカイロ哲学が本物で他のカイロプラクターが許せないと思う方は、世の中には一つのものがすべての人に最適で好まれる、ということは唯の一つも存在しないということを受け入れる度量が必要です。様々なテクニックが存在し、哲学にも幅が出てきているのは否定できない事実なのです。自分のポリシーや考えを曲げる必要はありませんが、他の考えを持った真面目なカイロプラクターを認め、力を併せることができなければいけません。

多くの優秀なカイロプラクターが集まれば、もっとカイロプラクティックが知られ、あなたが一番と思っているテクニックや哲学で、多くの人を救うことができます。また他のテクニックの方と交わり、彼らに影響を与えて自分が情熱を持っているテクニックや哲学を伝えていくことができるのです。そんな風に建設的に考えることはできないでしょうか。あなたが自分のテクニックにプライドを持つように、別のテクニックの方も自分のテクニックにプライドを持って一生懸命頑張っているのです。

業界なんかどうでもいい、自分は自分の道をコツコツと極めたいという方は、自分に与えられた使命を考え直してみてはどうでしょう。あなたには、思っているより、もっと大きな使命を与えられていると思います。狭い自分の世界の中でどれだけの成長があるのでしょう。世の中にはあなたが知らない、もっと素晴らしいことやすごい人がたくさんいます。そんな出会いから、あなたが学ぶものや得られる幸せに背を向けるのは実にもったいないことです。それに、あなたの助けを必要としている仲間もたくさんいると思います。自分だけが真摯に粛々と頑張っているといっても、やはり人とのつながりや社会の中で生かされているのです。

そしてカイロと出会えたのも先人が頑張って伝えてくれたからです。そのギフトを受け取ったのなら、それを次の人、次の世代に伝える使命があるのです。そのためには業界が少しでも良くなっていることは大切なことなのです。

近年の日本のカイロ業界は、バブルの時代から凋落し、長期景気低迷に落ち込む日本社会と一緒に元気がなくなっていると聞きます。どんな時代にも元気に頑張って成長している業界はありますが、カイロ業界では学校の生徒は激減し、廃業率は鰻登りと聞き及んでいます。そんな小さな元気がない業界内で反駁し合ったり、ネガティブ・キャンペーンをはったり、足の引っ張り合いをしたり、妨害したり、レベルの低い誹謗中傷をしている場合ではないと思います。また、業界の出来事は自分たちには関係ない、自分が一生懸命に目の前の患者のために頑張ってさえいればいい、という認識不足からも脱却するべきです。業界が元気で繁栄することは業界全体にメリットがあるのです。

正しく長く繁栄するためにはどうすべきか? 私たち一人ひとりが大きなビジョンを持って何をすべきなのかを考えるところから始めてみるべきだと思います。そのことに一人でも多くの方が気づいてくれることを願って、これからも微力ではありますが活動していきたいと思っています。今はまだまだですが、まずは自分自身が人の心を動かせる人間として成長していかなければとも思っています。そしてカイロプラクティック業界が、この少し暗くなってしまっている日本へ、明るい光を照らす業界へと発展して欲しいと心から願うのです。

<第6回>筋紡錘テクニックを考える 

投稿日:2012年11月04日

カイロジャーナル75号 (2012.11.4発行)より

臨床で筋の過緊張や短縮などを扱うケースは少なくない。しかし、筋の過緊張の原因を考えなければならない。1つの原因として、筋紡錘を含む筋の神経支配の異常がある。この部分を理解するために神経学的な機能を考えることにする。

筋は、筋線維の束が筋膜により包まれている。しかし、これらの構造だけでは何も起こらない。神経による刺激が必要である。それならば、筋が神経によりどのように刺激され、コントロールされるのかを理解する必要があるのではないであろうか。

まずは筋をコントロールするためには、筋の状態をモニターする必要がある。筋の状態をモニターするためには、受容器が必要である。これらは、筋紡錘とゴルジ腱器官である。ゴルジ腱器官は、筋線維が腱に移行する部位に存在し、筋に加わる張力をモニターする。ゴルジ腱器官は、過度の伸長、特に急激な強い伸長から筋線維を守るために、筋の収縮を抑制して、弛緩させることはよく知られているが、ゴルジ腱器官は、過度の張力が加わらない状態でも、常に刺激を受け筋の緊張度を調整するために上位中枢にその情報を提供している。特に上位中枢による筋の緊張度のコントロールに重要な役割を果たしている。これは筋の緊張度にかかわるため、過緊張筋に対する治療で考慮しなければならない部位である。

もう1つの受容器は、筋紡錘である。筋紡錘は筋腹に存在し、全長3~10ミリほどで、横径1ミリほどで紡錘形の構造である。骨格筋では1グラム中に5~10個以上存在する。

筋紡錘は、錘内線維と呼ばれる収縮性線維と受容器部位を含む数本の線維が紡錘状の結合組織のシートにより覆われ、液体で満たされている構造である。
筋紡錘の両端は収縮性があり、アクチンとミオシン・フィラメントを含んでいる。また中心部は収縮性の線維を欠き、この部位は受容器として機能する。

筋紡錘は、筋腹の筋線維の間に筋線維と平行に存在する受容器で、その両端は筋線維に付着している。筋紡錘は、筋が引き伸ばされることで興奮して筋紡錘を含む筋を収縮させるが、筋紡錘両端の錘内線維が収縮することでも興奮する。

筋紡錘には、2つの種類があり、これらは、核袋線維と核鎖線維と呼ばれる。核袋線維は中心部が膨らんだ形状で、核鎖線維は細長い形状である。筋紡錘は筋の長さの変化や緊張度などを調節する。核袋線維と核鎖線維は、それぞれ筋長の変化の割合、筋の長さそのものに反応する。

筋紡錘の受容器部位の伸長は、筋を収縮させることになる。筋紡錘が原因で筋が過緊張になる場合、筋紡錘の中心部が伸長された状態に維持される、あるいは持続的に刺激されるということになる。これは、錘内線維の緊張度が高い状態、あるいは、筋そのものが伸長された状態が持続しているということも考えられる。

錘内線維の緊張度が高い。これは高γゲインなどと呼ばれるが、これは、拮抗筋のゴルジ腱器官からの促進、あるいは中枢神経系からのγ運動ニューロンの刺激、相反性神経支配による拮抗筋のゴルジ腱器官からの促進では、拮抗筋もさらなる過緊張状態にあると考えられる。この場合、作用する関節は、相反する可動性の制限が起こることになる。錘内線維の緊張度が中枢神経系によるコントロールである場合、問題はより複雑になる。

 

過緊張状態で筋紡錘の中心部が伸長された状態が維持される場合は、錘内線維を包む膜構造の短縮、癒着、またはその中に含まれる液体の粘度の上昇が考えられる(図)。

筋線維と結合組織内の筋紡錘

筋線維と結合組織内の筋紡錘

AKでいう筋紡錘テクニックは、このような状態であると考えられる。通常、筋紡錘の触知は困難であるが、このような状態であれば硬縮として触知される可能性は高い。これら、錘内線維を包む膜構造の短縮、癒着、またはその中に含まれる液体の粘度の上昇などの変化がない場合、筋紡錘に近接方向の押圧を加える場合、その効果は一時的に筋紡錘を刺激するだけであり、持続的な効果は期待できない。徒手医学において、手で神経システムの異常を扱えるものとしては、神経システムの異常を起こす原因が短縮、癒着、間質液などの粘度の上昇などでなければならない。一時的な刺激により一時的な変化による改善は考えにくい。


ゴルジ腱器官についても同様のことが考えられる。ゴルジ腱器官が興奮しているため、前角細胞に抑制性の興奮が加わることになる。ゴルジ腱器官を含む筋の筋紡錘の錘内線維の緊張度は下がり、拮抗筋の緊張度が上昇する可能性がある。ゴルジ腱器官が原因でこのような状態にある場合、ゴルジ腱器官を興奮させるための原因がなければならない。これはゴルジ腱器官を含む腱の組織の硬縮である。ゴルジ腱器官は筋に張力が加わることで興奮するが、実際には腱のコラーゲン組織の間に存在する自由神経終末がコラーゲン組織への張力により圧迫されて興奮する。もしも、この腱自体に硬縮や退行性変性などにより圧迫が加わる場合、同じようにゴルジ腱器官を興奮させることになる。この場合、筋をストレッチしたり、自動収縮させたりしたとしても効果は一時的なものになる。協力筋や拮抗筋の腱の硬縮や退行性変性に対する治療が必要になる。


筋のストレッチや作動筋、拮抗筋などの自動収縮などによる緊張度の変化に持続性がない場合、これらの受容器を異常に刺激する結合組織や間質液の異常などを考慮するべきである。

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