2012 2月カイロプラクティックジャーナル

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<第21回>国際基準を考える

投稿日:2012年02月29日


カイロジャーナル73号 (2012.2.29発行)より

<第4回>矯正やトラクションによる筋の弛緩

投稿日:2012年02月29日

カイロジャーナル73号 (2012.2.29発行)より

Dr.Wyle 関節受容器タイプⅢの機能的特徴
形態 分布 親繊維 反応性の特徴
筋紡錘(600μm×100μm)通常単体、2~3個の集族も 靭帯or腱 太い有髄繊維 機械的刺激受容体:高閾値、順応極めて遅い

関節の矯正やトラクションによる筋の弛緩は臨床でよく見かける現象である。以前、可動性制限と亢進について説明したが、筋の過緊張による可動性制限に対して、最大可動域からの高速なスラストは禁忌になる。

可動性亢進関節が、マッスルガードと呼ばれる代償作用によって、関節周囲の筋の緊張度が上がり関節の安定性を保っている状態で、最大可動域からスラストを加えると、可動性亢進の関節包が陰圧になる。さらに矯正音がするまで深いスラストを加えるとなると、既に伸ばされている靭帯などの結合組織を、さらに伸長させ関節の安定性を減少させることになる。

可動性亢進関節を安定させるため、筋が過緊張を起こし可動性を制限する。このため、矯正後は可動域の増加が観察されることになる。しかし、この可動域の増加は、可動性制限関節の正常な可動域の回復によるものではなく、可動性亢進関節がマッスルガードによって、その可動性の制限が解放され一時的に亢進した状態に戻っただけである。安定性が必要な姿勢になれば、再びマッスルガードが起こることは容易に推測される。

マッスルガードは関節周囲の筋の過緊張によるものだが、最大可動域からの高速なスラストが過緊張筋を高速に伸長することになり、筋のゴルジ腱器官(GTO)を興奮させるため十分な圧力が加わることになる。GTOは既に過緊張筋の筋腱移行部で圧迫され、さらに高速なスラストにより圧迫される。自原抑制によりマッスルガードを起こしていた過緊張筋は、その緊張度を下げ弛緩する(このとき関節は非常に不安定な状態になる)。これは患者に過緊張からの一時的な解放感を与えることになる。

ここで注意しなければならないのは、GTOは腱の線維組織の中に存在する圧力を感知する受容器であり、筋紡錘のように受容器そのものを伸長させることによって興奮するのではない。過緊張状態では既にGTOは興奮状態にあり、特に高速な伸長により、さらに興奮し自原抑制を起こすことになる。このようなケースでは、患者はマッスルガードによる凝りや不快感を味わうことになるが、自原抑制を誘発した状態では筋緊張は開放され、これらの症状は緩和される。患者は、スッキリした、楽になった、ということになるであろうが、繰り返し同じ部位に同じような症状が起こることは目に見えている。一時的な症状の緩和であり、繰り返し同じ症状が起こる場合、このような状態である可能性が大きい。

トラクションで過度の長軸上の牽引(8~10秒間)を加える場合、特に関節の可動性が亢進しているような状態では、GTOへの作用も考えられるが、ゆっくりとしたトラクションであっても、Dr.Wykeにより分類されるタイプⅢの関節受容器の刺激によって、この関節を横切る筋は抑制されることになる。トラクションは結合組織の短縮の伸長のため行うが、筋の短縮による可動域制限においても、GTOあるいはタイプⅢ関節受容器を刺激することで可動域は改善することになる。

しかし、トラクションが可動性の亢進した関節に加わることは、さらに関節を不安定にすることになる。むち打ち症の患者に対する牽引治療なども、マッスルガードによる過緊張を一時的に軽減することはあっても、繰り返し行えば過剰な頚部屈曲、伸展により伸長された結合組織をさらに伸長することになる。頚部はさらに不安定になり、症状を悪化させるだけである。このため、高速スラストやトラクションにより、筋の弛緩が確認され患者が開放感を感じる場合でも、可動性亢進関節周囲の筋の過緊張による制限がある場合、状態を悪化させることになる。

モーション・パルペーションでは、筋の過緊張による可動性の制限と、関節包や靭帯による制限を判別することが不可欠である。特に肋骨で、ある程度の安定性が保たれている胸椎を除く腰部、頚部では、特に注意する必要がある。治療のたびに、同じ椎骨にフィクセーションが再発するという場合、筋の過緊張によるものであるか、あるいは日常生活の中で結合組織が短縮する要素があるのかチェックする必要性がある。

<第26回>神経因性疼痛の基本的な仮定

投稿日:2012年02月29日

カイロジャーナル73号 (2012.2.29発行)より

神経因性疼痛の機序について、未だその詳細な真実は藪の中にあるようだ。私たちが知り得るものは、仮説とその証拠に過ぎない。ここでは定説的な概念を紹介しよう。神経因性疼痛を最初に発表したのは神経科医・ミッシェル(S.Weir.Mitchel・米国)だった。ミッシェル医師は、南北戦争時代にフィラデルフィアで病院を開いていた。そこで、南北戦争で負った末梢神経外傷の患者さんを、数百万人も診察治療している(1871)。その内の10%の患者さんは、外傷を負った神経分布領域に激しい灼熱痛を訴えていた。この時代に経験した症例から、基本的には2つの観察結果が私たちの神経因性疼痛の核心的な理解になっている。

1つ目は、末梢神経の部分的損傷は、完全損傷よりも痛みを起こす可能性がより高いということ。2つ目は、患者は鋭敏な過敏症をみせるということである。これらの痛みを起こした病変は、末梢神経の部分的な損傷が関与していたことが報告されている。

私たちが痛みの機序を考えるときに、仮定する経路はよく知られた痛み経路である。末梢の刺激に始まった痛覚刺激は、脊髄に入って反対側の脊髄視床路に渡り、視床に伝達されて皮質に広がる。

神経因性疼痛の基本的な仮定は「この経路に沿ったどこかの活動を増幅させる」あるいは「末梢の侵害受容器に極めて異常な活動がある」と仮定することである。この仮定は最も単純である。

もう1つは中枢神経系における下行性疼痛抑制系のルートである。何らかの抑制のポイントを阻むことによって、痛覚伝導ニューロンを抑制から解放することになる。当然、痛みの信号は発信され続ける。

また末梢神経、特に有髄線維が損傷されると、その線維に形質的変化を起こすことになる。すると通常は痛みを起こさないはずの有髄線維、例えば触神経そのものとリンクされて痛みを送信し続けることになる。C線維の小細胞にもノルアドレナリン受容体(α2受容体)が出来て、交感神経の影響を直接受けることにもなる。こうした神経の混戦状態が出来上がると、振動や触刺激の感覚が灼熱痛を引き起すことにもなりかねない事態になるのである。


カイロジャーナル73号

投稿日:2012年02月29日

73号(12.2.29発行)
竹谷内一愿氏死去
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