2011 6月カイロプラクティックジャーナル

  2011  6月

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<第19回>「結束力と奉仕精神」

投稿日:2011年06月26日


カイロジャーナル71号 (2011.06.26発行)より

<第22回>「末梢神経の圧迫痛はあり得るのか?」

投稿日:2011年06月26日

カイロジャーナル71号 (2011.06.26発行)より

末梢神経の周膜と上膜にも侵害受容器が存在することが明らかになってきた。

それは、軸索から周膜と上膜に枝を伸ばした「神経の神経(nervi nervorum)」の終末に存在する。

この侵害受容器は1963年頃から論文に登場するようになり、1995年にBoveとLightが免疫・組織化学マーカーを活用して組織学的に明らかにしている。

このことはJ.P.Barral著『末梢神経マニピュレーション』(2010年、科学新聞社刊)に記載されているが、実際、その役割の詳細は謎でもある。

ただし機械的刺激では、圧迫よりも伸長される刺激に敏感に反応するようである。

さて、この「神経の神経」の侵害受容器の存在が、末梢神経の圧迫痛の根拠にされるようになった。確かに、侵害受容器が存在するのであるから、神経幹の圧迫は「痛む」と考えるのは常套であろう。

しかし、侵害受容器はセンサーではない。だから「閾」がある。その「閾」も一様ではない。個体差もある。その設定をどこが行うのか、それもまた謎である。

同じ受容器でも固有受容器とは意味合いが違うのである。最近の研究では、非常に高い「閾」を持つ侵害受容器の存在も明らかにされているようだ。

これらは「silent(sleeping) nociceptors;沈黙の(眠れる)侵害受容器」と呼ばれており、通常は化学感受性で機械的刺激には非感受性という特徴がある。そう考えると、「神経の神経」の侵害受容器が常態時にはサイレントな受容器であってもおかしくはない。むしろ、そう見たほうが生体における反応との喰い違いを納得できる。

それに侵害受容感覚(nociception)は「痛み症状」ではない。「痛み症状」とは、侵害受容感覚によって起こり得るひとつの結果なのである。あくまでも推測に過ぎないが、この末梢神経上膜の侵害受容器は、末梢神経が損傷したときに、例えば末梢神経が限界域を超えて引き延ばされたりすることで、神経に損傷が起こると作動するのではないかと思える。そうなると、当然、化学的要因も発生する。

だから、周膜や上膜の侵害受容器は神経損傷に伴って作動する受容器ではないだろうか、と思う。

末梢神経幹を圧迫しただけでいちいち「痛み症状」が起こったのでは、スポーツも格闘技も成り立たないし、日常生活にも支障が起こるだろう。ましてや徒手療法は治すよりも傷める手法になりかねない。


<第21回>「「椎間板ヘルニアガイドライン」の不可解」

投稿日:2011年06月26日

カイロジャーナル71号 (2011.06.26発行)より

日本整形外科学会は、日常の診療で頻繁に遭遇する疾患と重要度の高い11の疾患を選び、2002年にその診療ガイドラインの作成に着手した。そして2005年には、「腰部椎間板ヘルニア」をはじめとする5疾患の診療ガイドラインが出版されている。

その「腰椎椎間板ヘルニア・ガイドライン」の前文には、「患者と主治医がよりよい解決策を探っていこうとするときに、その手引きとして傍らにあるのが診療ガイドライン」とある。つまりは診断基準ということであるが、最初に腰椎椎間板ヘルニアの突出が坐骨神経痛を引起し得ると考えたのは、1911年のGoldthwaitに遡る。ところが、腰部椎間板ヘルニアという診断名が統一されたものではないことに気づいた。そんな事情から診断基準として提示されたのが、表1に示したものである。

表1 腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン策定委員会提唱の診断基準
1 腰・下肢痛を有する(主に片側、ないしは片側優位)
2 安静時にも症状を有する
3 SLRテストは70°以下陽性(ただし高齢者では絶対条件ではない)
4 MRIなど画像所見で椎間板の突出がみられ、脊柱管狭窄所見を合併していない
5 症状と画像所見とが一致する

この診断基準によれば、腰部椎間板ヘルニアに特有の症状は腰・下肢痛ということになっている。麻痺症状はどこにも出てこない。ならば、ヘルニアで麻痺を起こすことはないのだろう。ヘルニアで痛みが起る生理学的機序も明らかでなく、そのうえ麻痺も起こさないとなれば、結果的にヘルニアは無害だということにならないのだろうか。実際、無症候性のヘルニアに関する論文や報告も多いのである。

この状況を整形外科医なら知らないはずはない。にもかかわらず臨床の現場では、ヘルニアを下肢痛の原因とする診断がなくなる気配すらない。それは兎ともかくとして、SLRはヘルニア診断にとても有用な所見らしい。なにしろ、「推奨度B」に挙げられている。ところが、「神経学的所見としてヘルニアに特異的なものはない」とさらに注釈を付けているのだ。一方ではそう言いながら、「SLR70度以下陽性」とする項目をしっかりと診断基準に挙げている。その根拠はどこにあるのだろう? 確かにSLRは神経学的所見を診るものではない。股関節や仙腸関節周辺の軟部組織のスパズムや緊張の亢進を示しはするが、坐骨神経との関与については否定的な意見もある。

項目4に至っては、椎間板の病理所見だけが注目されている。椎間板突出と脊柱管狭窄の両者の画像所見が同時に診られたら、何を基準にして分類するのだろう。おそらく、続いての項目5の「症状と画像所見が一致する」と言うのだろうが、画像所見はあくまでも病理所見を診るものであって、電気信号としての痛み症状を読影できるものではない。そもそも画像に一致する症状とは、どんな症状なのか。不合理なことが、臆面もなく書かれているのである。

では、下肢痛は椎間板ヘルニアに必発の症状なのだろうか。「推奨度C」とする注釈では、「腰痛のみで下肢痛を認めない椎間板ヘルニアの症例が存在する」としている。さらに続けて「坐骨神経痛は膨隆型に比べて脱出型椎間板ヘルニアにより強く認められ、発現機序としては圧迫より炎症との関連が考えられる」のだそうだ。つまりは椎間板ヘルニアの痛みは、髄核からの種々の炎症起因物質が関与した炎症症状だとする新興の仮説に含みを持たせているのである。

しかし、どんな仮説を持ち出してみようとも、受容器でもない神経根や軸索が炎症物質をどのように受容するのかを検証してみせなければならない。それも正常な神経で実証することが絶対条件となる。

椎間板ヘルニアなるものが「痛み」を生むのか、あるいは「麻痺」をつくるのか、それとも全く無症候性なのか、ガイドラインづくりの前に徹底的な生理学的検証や議論が必要なのではなかろうか。病理的分析ばかりしていても、本質を見誤りかねないだろう。このような診断基準で、「患者と主治医がよりよい解決策を探って」いけるとは到底思えない。このガイドラインには、ただ不可解さが残るだけである。


<第20回>「圧迫性神経障害の症状は「麻痺」か「痛み」か?」

投稿日:2011年06月26日

カイロジャーナル71号 (2011.06.26発行)より

菊池臣一教授は、神経の圧迫については「圧迫する側」からではなく、「圧迫される側」の視点が重要だとする(「腰痛」28頁)。圧迫された神経根の内部で何が起っているのか? そのような視点でみると、圧迫性神経根障害の病態は2つに分けられると述べている。ひとつは神経根の伝導障害としての「麻痺」であり、もうひとつは「痛み」である。根性痛は、神経根内部の変化として浮腫が生じ、そのために異所性発火によって下行性の「痛み」が認知されるという仮説である。

痛みと麻痺は生理学的にも全く異なった病態である。感覚受容器は身体組織における物理的・化学的・熱刺激を電気信号に変換する器官で、その伝達は脱分極と再分極に依存する。痛みはその分極活動が活発に頻発されるもので、麻痺はこの分極活動が起らない。この全く異なった生理学的変化が、同じ病態に共存するはずはない。もしも麻痺と痛みが共存しているというのであれば、違う病態が混在した状態と言わざるを得ないだろう。

この問題を考える上で、3年ほど前に話題になった医療過誤事件を参考にしたい。2008年9月3日、新聞各社は次のニュースを伝えている。鳥取県立厚生病院における医療過誤により、医療賠償4500万円を支払うという記事であった。

2005年3月、頚部痛と両手の痺れを主訴とする女性が鳥取県立厚生病院を受診した。検査の結果ではヘルニアによる「脊髄の圧迫」が原因とされ、減圧手術が行われた。手術は成功し脊髄を圧迫していたヘルニア組織は摘出されたが、右手足に麻痺が現れた。これは術後の浮腫によって「脊髄を圧迫」したことが原因とされ、再び減圧する再々手術が行われたのである。ところが再々の術後には、さらに浮腫が広がり、今度は両手足の麻痺が起こった。病院側は手術に落ち度はなかったと主張したが、結果的に両手足の麻痺になったことを認めて賠償することになったというのである。

さて、ここで疑問に思うことは、「脊髄の圧迫」という病態を「痛み」と「麻痺」という生理学的に正反対の症状で同列に考慮していることである。脊髄の圧迫症状は麻痺をもたらすのか、痛みをつくるのか、第一にその実態は明確にされていないが、実際には脊髄の圧迫で麻痺が起ることを認めた結果になった。

では、主訴であった「首の痛みと両手の痺れ」の病態とは一体何だったのだろう? 問題とすべきは「両手の痺れ」である。実際、ベッドサイドでは「しびれる」と表現する患者さんの訴えをよく聞くことがある。この日本語表現は複雑だ。正座のあとの「しびれ(知覚異常)」も、知覚鈍麻を伴った知覚脱失(神経麻痺)も同じく「しびれ」と表現されるからである。

新聞報道で見る限り、その痺れの実態も範囲もうかがい知ることはできないが、推論するならば椎間板ヘルニアによる神経麻痺(しびれ)の症状に、痛みという別の病態が混在していたのかもしれない。あるいは、主訴とした首の痛みも両手のしびれ(知覚異常)も、頚椎ヘルニアとは全く別の病態による症状だったのかもしれないのである。明らかなことは、血腫や浮腫による脊髄の圧迫で苦しんだ症状は、痛みではなく麻痺であったことは事実のようだ。

もうひとつ、次の報告も暗示的である。日本整形外科学会安全推進委員会が、2006年6月までの3年9カ月間で腰痛治療に頻繁に用いられる「神経ブロック」で3人が死亡、5人が両足の麻痺になっていると発表した。この発表は、整形外科関係の事故316例の分析結果に基づいている。2名の死者は、神経ブロック後に全身麻痺になり、呼吸困難により死亡した。もう1人は注射器を体内に埋め込む方法のブロック注射で、挿入口からの感染症により敗血症で亡くなった。2例は麻酔薬の挿入部位を誤ったわけだが、いずれも不測の事態に対する適切な対応の遅れが死亡につながった。

さて、両足の麻痺が起った5人のうち3人は注射のやり方に問題があり、あとの2人は注射による血腫が「神経を圧迫した結果として麻痺」が起った。こうした事例では、「神経の圧迫」という病態が「麻痺」症状を起こすことを示している。どこにも、神経圧迫と「痛み」症状の関連は取り上げられていない。


<第2回>可動性亢進はなぜできる?

投稿日:2011年06月26日

カイロジャーナル71号 (2011.6.26発行)より

前回はフィクセーション・モデルについて説明した。フィクセーションとは脊柱、骨盤、四肢の関節の正常な可動性が制限された状態である。通常、フィクセーションそのものが痛みを起こすことはない。このように考えると、フィクセーションに対する矯正は痛みがあるところに行うのではないことがわかる。脊柱矯正を始めたばかり、あるいは練習しているときに可動性検査をして、可動性制限(フィクセーション)のある関節を矯正する練習をしてきた方がほとんどだと思うが、可動性検査をマスターするにつれ、症状を現す部位にフィクセーションが検出されることはほとんどないことに気づいてくると思う。

組織損傷が必ず存在

それでは、症状を現す部位(関節)の可動性はどうなっているのであろう。ここで言う症状はコリやこわばりなどではなく痛みとする。例えば炎症が起こっている場合、その部位には必ず組織の損傷が存在するということになる。結合組織、靭帯の損傷は組織が伸ばされたり、さらに断裂したりすることによって起こる。関節からの痛みは関節面の損傷や退行性変性がない限り、靭帯が引き伸ばされていることにより起こる。可動性としては亢進している状態である。言い換えれば、安定性が減少している部位である。

身体を支える脊柱では、安定性減少は体重負荷により症状を起こすケースが多い。それでは安定性減少、可動性亢進関節はどのようにしてできるのであろうか? 前号でも述べたが、フィクセーションは結合組織の圧迫により起こる。可動性亢進は結合組織の伸長により起こる。これは外傷的なものも含んでいるが、根本的なものとして正常な最大可動域を超える、わずかな伸長の繰り返しである。

仮に腰椎5つの骨の間の関節の回旋の動きをそれぞれ等しく10とする。5つの腰椎で50の回旋可動域があるとする。1つの関節に持続的な圧迫が加わり、フィクセーションが起こる場合、その関節の可動性が6になったとする。この場合、今までと同じ50の回旋の動きを行うためには、フィクセーションを起こしている関節のために、他の4つの関節は11動かなければならない。

これは通常、代償作用と呼ばれるが、フィクセーションの関節以外の4つの関節に均等に代償作用が起これば、その影響はわずかであるが、これが1つの関節に起こるとすると、14動かなければならない。また、さらにフィクセーションがある関節の可動性が3であるとすると、17動かなければならない。こうなると代償作用を起こしている関節の動きを制限している靭帯などの結合組織は、限界以上に伸長され、関節を固定する役割を果たせなくなる。

要するにフィクセーションの程度と代償作用の程度が問題であると言える。脊柱の中で可動性制限がある場合、正常な可動域を維持するためには、必ず他の部位の代償作用、可動性亢進、安定性減少が起こらなければならない。これが長期にわたると、この2つの差はさらに大きくなり、可動性亢進、安定性減少部分に症状が現れることになる。腰部の急性の腰痛、ぎっくり腰と呼ばれるようなもので、靭帯損傷、炎症が起こっているような場合、その原因を聞くと些細なことで起こっているケースは珍しくない。

これは、最終的に炎症を引き起こすに至る靭帯の伸長がすでに繰り返され、代償作用によって可動性亢進状態が進み、最後のトドメとなった動作はきっかけでしかないと考えられる。時に患者は「今まで、同じことをしてもなんともなかったのに」と言うが、なんでもなかったはずはない。それは症状として出ないだけであり、おそらく可動性の制限と亢進が存在していたと思われる。外傷的な捻挫にしても、症状を起こすことなく代償作用を起こしている関節や、可動性が大きい関節で起こる可能性が高くなる。

自覚症状がないだけ

脊柱の例で言えば、第5腰椎の屈曲可動域が亢進した状態で、第1腰椎の可動性制限がある場合、第5腰椎の屈曲による症状を軽減させるためには、第1腰椎の屈曲可動域制限に対する代償作用を軽減させれば良いことになる。これは第1腰椎の屈曲可動域制限を解除することである。患者が屈曲により第5腰椎部に痛みを起こす場合、腰椎だけではないが屈曲制限のある椎骨を検出して矯正することになる。第5腰椎の屈曲により繰り返し過度の伸長を受ける結合組織は、過度の伸長、組織の損傷を受けることはなくなる。

このような可動性制限と可動性亢進の関係は、脊柱において最も顕著に見られるが、四肢において起こるケースも考えられる。胸鎖関節の上方への可動性が制限される場合、肩甲上腕関節外転時に起こる鎖骨外側端の上方への可動性が制限されることになる。この状態で肩甲上腕関節の外転を繰り返す場合、肩鎖関節の可動性亢進が起こることになる。この場合、臨床的には直接、肩鎖関節の症状を起こすことは少ないが、肩鎖関節可動性亢進による上部僧帽筋や三角筋過緊張、これに続くインピンジメント症候群が起こることもある。

患部が可動性亢進の場合や結合組織の損傷によるものである場合、矯正は症状のある部分に行うことはない。これらの考え方は、脊椎すべり症、仙腸関節捻挫、一部の間欠性跛行、むち打ち症などに対する治療の一部として適用可能である。実際の臨床において初診時に可動域を検査する状態で、痛みの出現、悪化が起こる場合、この理論は適用可能である。側屈で痛みが出る場合、基本的に患部以外の部位で、側屈制限を起こしている部位にマニピュレーションを加え、回旋で痛みが悪化するのであれば、同方向の回旋制限に対してマニピュレーションを加える。

フィクセーションを探し出すための可動性検査を行う場合、このようなコンセプトは当然のことであるが、可動性検査を行わない場合、椎骨のズレが原因で症状が出ると考えてしまい、その部位にロータリーブレイク、ランバーロール、サイドポスチャーなどの矯正(通常は可動域制限がある関節に対し、いずれも関節の最大可動域を超えるスラストを用いる矯正法)を加えてしまうと、症状の悪化につながる可能性は大きいであろう。

できることたくさん

このように、フィクセーションに対する可動性検査と矯正により様々な脊柱、四肢の状態を治療するためには、各疾患を可動性を基に理解、分析していかなければならない。脊椎すべり症はレントゲン像では椎体が前方に滑っている状態が写るだけである。靭帯が写ることはない。しかし、その状態で結合組織はどうなっているのか、可動性はどうなっているのか、推測できなければ、矯正、マニピュレーションによる治療は難しくなる。

筋骨格系の問題はまずは整形外科的な疾患を、可動性を基に考えることが重要である。間欠性跛行で歩行時に痺れが出て、立位では症状が出ない場合、その違いは可動性である。一見難しいと思われる疾患でも、われわれにできることはたくさんある。なぜなら、他の医療分野にはフィクセーションというコンセプトや、そのための可動性検査の方法が存在しないからである。このため、われわれ手技による治療を行う者は、しっかりとこのコンセプトを理解し、患者の状態に適用させ、さらに発展させていかなければならないと思う。

カイロジャーナル71号

投稿日:2011年06月26日

71号(11.6.26発行)
論壇
日本にもトルクリリース・センター
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米海軍の筋骨格系治療

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