2009 3月カイロプラクティックジャーナル

  2009  3月

カイロプラクティック、オステオパシー、手技療法の最新情報、セミナー案内、関連書籍・DVDの販売

カイロジャーナル TEL.03-3434-4236 〒105-0013 東京都港区浜松町1-2-13江口ビル別館

新 動きの解剖学

投稿日:2009年03月23日

newanatomy_l

<主な目次>
各章をクリックするとサンプルページ(PDF)が開きます。(準備中です)
第1章 序説
第2章 体幹
第3章 肩関節
第4章 肘関節
第5章 手関節と指の関節
第6章 股関節と膝関節
第7章 足関節と足


著者紹介
ブランディーヌ・カレ-ジェルマン (Blandine Calais-Germain)幼少の頃からダンスを始め、生涯を通じてダンサーとして、また教師として活躍する。そのダンスを通じて、身体構造に興味を持ち始め、次第に身体の複雑な動きを研究するようになる。一方、フランス・パリの整形外科・マッサージ学校で理学療法を本格的に学ぶ。ダンスと理学療法の両面からアプローチして、人間の動きと身体構造との関係について画期的な解剖学の理論を確立した。現在、フランスだけでなく、世界中で関連セミナーを行っている。著書として、 “Anatomy of Movement” をはじめ、“Anatomy of Movement: Exercises”、“The Female Pelvis: Anatomy of Exercises”、“Anatomy of Breathing” などがある。


<序文>
何世紀もの間、解剖学は、身体の構造を精密に記述することによって、ほとんど専門家の間で研究が行われてきた。
例えば、身体機能があまり知られることもなく、また単に構造についてのみ記述されるなど、内臓器官と同じ手法で運動器を対象として研究が始められたのは当然のことだった。
20世紀の初めに、解剖学者はようやく筋肉や関節の動きにも注目するようになった。ただ、数十年間は、その身体機能に関する研究がきわめて基礎的なレベルで行われていたにすぎない。
最近になって、一部の研究者が、運動器の生体力学的な特性(例えば、伸縮性や抵抗など)に目を向けるようになった。だが、これらの研究は、筋肉や関節が「実際の生活」の中でどのように使われるのかというものではなく、研究所の中で身体の個々の部位と向かい合ってきたのだ。
機能的な側面は、例えば、どうすれば身体をさまざまな訓練の従順な器官とするかというように、しばしば「効率」によって評価される。
理学療法では、治療効果の定義および実際的な動きのメカニズムを明らかにしながら、身体の動きが神経生理学と骨格の両方によって分析研究されている。ダンス、マイム、芝居、ヨガ、リラクゼーションなどの身体的な訓練に関わる多くの人々は、運動を促進するための質的かつ量的分析による研究を行う理学療法にたどり着いた。
同様に、ブランディーヌ・カレ-ジェルマンは幼少の頃からダンスを学び始め、やはり理学療法を本格的に学ぶことになった。両方とも人間の身体の動きを扱うという点で相性がいいことは明らかである。
彼女は、ダンサーが身体の「内部」をもっと理解すればきっとダンスに役立つであろうと直感した。そして、ダンサーの身体の動きをより発展させるには、身体の構造と動きの可能性を同時に解明するということが必要だとの考え方から、新しい教育方法を考案した。
ダンサーに限らず、ほかの身体訓練における専門家たちが、彼女の講義に耳を傾け始め、その数は次第に増えてきた。その講義においては(もちろん本書においても)、解剖学だけをマスターするのではなく、身体の動きをもっと深く理解することに力点が置かれた。
彼女の考え方の原点や最初の講義を知る私は、彼女がダンサーとして教師としての長年の彼女の経験をすべて盛り込んだ本書の出版を目のあたりにして、大きな喜びを感じる。まさに貴重な経験の結実ともいうべき本書が多くの人々に読まれることはまことにうれしい限りだ。
私は、理学療法を学んでいた頃の彼女と一緒に仕事をしてきたので、彼女のセラピストとしての技術、知性、そして教育に対する情熱を高く評価する。
本書はすべて彼女の理論に基づくものであり、一貫して、身体の自然な体勢や動きを正確に表現し、より深く理解することに重点を置いている。したがって本書は、特に職業として、身体の複雑な動きや統合的な動きを扱う人たちに大いに役立つことだろう。またいかなる目的であれ、人間の解剖学を扱う人たちにとっても、画期的な情報源となるであろう。本書の出版が成功されんことを願う。
フランス整形外科・マッサージ学校 校長 医学博士 ジャック・サミュエル


<本書の内容と構成>
本書の内容や構成については、以下のようになっている。
まず、本書は入門用テキストとして執筆・編集されたものである。
人間の身体の動きは解剖学的構造が関係してくるので、本書ではその基本的な解剖学的構造についての説明に力点が置かれている。
つまり、本書では、主に骨や筋肉、関節に焦点を合わせている。
したがって、頭蓋骨、内臓器官、循環器系統、神経系統などについては、説明していない。
本書では、できるだけ簡潔に説明し、また、繰り返しを避けている。そのため、章によって、記述の方法が多少異なっているかもしれない。
同じ筋肉によって影響される身体の部位が一緒に記述されることがある。また、特定の構造や機能に関してすでに詳しく説明がされている場合には、前述されている参照ページが示されている。
全体として一貫性を保ち、またわかりやすくするため、紹介している図は人体の右側から構造を示している。
ただし、例外については、その旨、明示している。接合部は、関節の表面がはっきりとわかるように、場合によって隣接する骨を除外して描かれている。同じように、筋肉についても、それぞれの機能が明確になるよう、周囲の筋肉を除外して、対象を単独に描いている。
第1章の序説では、基本的な考え方と本書で使用する専門用語を紹介しているので、最初に読むことをお勧めする。
第2章以降については、体幹からスタートし、腕、足へと、体系的な順序で紹介しているので、この順序で読むことをお勧めする。ただし、解剖学についての知識をすでにお持ちの方は、どの章からスタートしていただいてもよい。

<第12回>本場アメリカを感じに行こう!

投稿日:2009年03月18日

本場アメリカを感じに行こう!
カイロジャーナル64号(2009.3.18発行)より

人というのは実に飽きっぽく、また面倒くさがりだ、というのが常日頃からの私の意見である。いやいや、自分は勤勉だ、と言う方もいると思うが、それはごく少数派であろう。それに、勤勉だと言ったって、それは自分が好きなことに限ってのことであって、興味のないことに対しては、いたってずぼらだという人も多い。

私も飽きやすく、恐ろしいばかりの怠け者だが、好きなカイロプラクティックに限って言えば、自分でも驚くほどまめな部分を持っている。毎週、業界内の仲間に向けて「今週のトピック」というEメールメッセージを発信しているのだが、これは記録に残っている限り2005年の8月から現在まで、1回も欠かさずに続けている。

そのとき思ったこと、考えたこと、伝えたいことを書いて配信しているのだが、こんな地味な作業をなぜ3年半も毎週欠かさずに続けることができたのか、その理由をふと考えてみた。それはカイロプラクティックが大好きな仲間たちに、伝えたいことがあるからに違いないと思った。最初は30名ほどだったメールリストも、希望者には誰にでも送っているので、今では160人前後になっている。増えたり減ったりしながらも、その辺りで推移している。

私は元々、人に何かを伝えたいという欲求が人一倍強いほうである。お節介焼きで何か良い情報があると、つい人に教えたくなる。迷惑がられることもあるかもしれないが、性分なのでどうしようもない。いい情報を独り占めするより、皆で分かち合いたいと思うのだ。そして、私が苦労して得た知識や技術を、より多くの人に知ってもらい、無駄な苦労を減らすことができればと願うのだ。

日本では見せない姿

そんな私が最近特に日本の皆さんに伝えたいと思っていることがある。ぜひ本場アメリカのカイロプラクティック業界の雰囲気を肌で感じて欲しいということだ。これを日本カイロ業界のなるべく多くの人に経験していただきたいと願っている。

日本の狭い業界で生きていると、どうしても肩肘を張ったり、斜に構えたりしてしまう方が多い。不思議なことにそんな方も、海外でお会いすると実に素直な自分をさらけ出してくれる。日本にいるときとは違う、その方の素晴らしい側面を垣間見ることができる。

それだけ普段は鎧をかぶって生きていかなきゃいけない社会なのか、と可哀想になることもあるが、アメリカに来て開放感と新鮮な興奮に包まれることによって、素の自分が表に出てくるのだ。人間はそんな素直なときこそ感受性が高まり、より多くのことを吸収できるものだ。

皆さんも海外旅行などに行くと開放的になり、素直な自分を発見した経験はあると思う。そのような開放的で感受性の強い精神状態でアメリカのカイロ業界の雰囲気を肌で感じてもらい、十分に吸収して欲しいと思うのだ。

昨秋パーカーセミナークラブ・ジャパンのメンバーが、頑張って東京でセミナーを開催してくれた。その努力の灯を消すことなく続けていくためには、まず多くの日本のカイロプラクターが本場のパーカーセミナーに参加してみることだと思う。パーカーセミナー・ラスベガスは、パーカーセミナーの中でも最も大きく、毎年世界中から8000人規模の参加者が集まる一大イベントだ。

私も何回か参加したことがあるが、そのエネルギーたるや度肝を抜かれる。見渡す限りカイロプラクターやスタッフたち、カイロプラクティックを愛する人たちだらけなのだ。そんな状況に身を置いたときの興奮といったら、パーカー・ラスベガス以外では絶対感じることのできないものなのだ。

自分にはこんなに大勢の仲間がいるんだ、という実感から胸が熱くなる。あまりにもスケールが大きすぎて、普段自分がどんなに狭い世界で、狭い見識で、どうでもいいような見栄にすがって生きているのかと気づかされる。まさに井の中の蛙だ。

五感で感じる衝撃

世の中にはいくら言葉で説明されても、実際にその場で経験してみないとわからないということがたくさんある。パーカーセミナーもそのようなものの一つだと思う。言葉がわからないと躊躇される方も多いと思うが、言葉がわからなくても肌で感じるものがある。言葉がわからないからこそ五感で感じ取ろうとするのだ。

私もアメリカを初めて訪れたときのことを思い出す。英語が全くわからずに情けない思いもしたが、強烈な印象を肌で感じたことを20数年経た今も忘れない。見るもの聞くものすべてが新鮮で、あまりにも多くの情報が五感を通して脳に流れ込んできて、夜はクタクタに疲れて眠ったものだ。

通訳をつけて事細かに説明してもらうより、わからないなりに必死で理解しよう、わかろうとしようとする気持ちは大切なのではないかなと思う。そうやって五感を研ぎ澄ませて感じることは通訳を通して聞かされる話より大きな意味を持つと思う。

こんな私も初めてアメリカに来たときは、いつになったら英語がわかるようになるんだろう、と気が遠くなったことを覚えている。それでも絶対この国で何かを発見したい、違う自分の可能性を発見したいと強く思って留学へと進路が変わっていった。そして、そこでカイロプラクティックというものに出会い、多くの方の手助けを得て、今はカイロプラクターとしてアメリカの社会で生きている。

私は自分が感じたのと同じような衝撃を多くの方に感じて欲しい。そして新たな自分の可能性、カイロプラクティックの可能性、そしてこれからの日本のカイロプラクティックの方向性を考えて欲しいのだ。

狭くストレスの多い日本業界で疲れきった頭で考えるのではなく、新鮮な環境でより大きなビジョンの元に考えるべきことがたくさんあると思う。私のコラムも疲れきった夜に読むのではなく、清々しい朝日が射す中で読んでいただければ、より私の本意が歪曲なく心に伝わるはずだと思っている。

学位では判断しない

パーカーセミナーは来る者を拒まない。学位がどうのこうのと気に病むのは勝手だが、パーカーセミナーは気にしていない。パーカーセミナーに参加すれば学び続けることの素晴らしさや必要性を感じることだろう。もっと勉強したいと思うはずだ。自分の知識や教育が十分じゃない、ということを思い知るので勉強する意欲が湧いてくる。

この私だってそうだ。セミナーはただ学びにいくのではなく、刺激を受けて学んだものをもっと自分で掘り下げ、自分に足らないものを自覚し勉強していくためにあるのだ。これは使える、これは使えない、難しい、できそうだなどと選り好みをしに行く場ではないのだ。

そういった意味で、世界で一流の講師陣が勢揃いするパーカーセミナー会場を、自由に自分の好きなように歩き回って、大いに刺激を受けて欲しいと願う。困ったときは、私をはじめ仲間たちが親切にアドバイスするので途方にくれる心配もない。私たちは実に優しい仲間なので、遠慮せずに頼っていただければ最善のアドバイスをさせていただく。

私は皆さんを学位で判断しない。それよりも学ぼうとする真剣な姿勢で判断する。私の仲間にはそうやってやがてD.C.になった者が何人もいる。あのとき、D.C.じゃないからと相手にしていなかったら、ヘソを曲げて別の方向へ走っていたかもしれない。日本のカイロ界はまだまだ混沌としている。そんな中で頼りになるのは、自分が学んだ教育と身につけた知識と技術だけなのだ。

少しばかり偉そうではあるが、長年アメリカで苦労したこの私が心から日本カイロ業界に助言したい。心を素にして、肌で本場アメリカのカイロプラクティックを感じてみて欲しいと。そのためには、微力ながら私は協力を惜しまない。皆で2010年のパーカーセミナー・ラスベガスに参加しよう。

大勢で日本から参加すれば、パーカーセミナーもビックリして日本への認識を改めることだろう。なんと愉快な話だろう。特別扱いをしてもらうのではなく一参加者として自由に会場を闊歩し、肌で本場を感じて見て欲しい。そのとき、私が言っている本当の意味が初めてわかってもらえるだろう。

<第1回>今、なぜ痛みなのか?

投稿日:2009年03月18日

カイロジャーナル64号 (2009.3.18発行)より

今さら痛みなんて、と思われるかもしれないが「忌まわしきもの汝の名は痛み」で、いまだに未知の部分が多い。日々、臨床で親しんでいる症状ではあっても、手ごわい存在である。このことはすべての医療にかかわる者にとどまらず、研究者にとっても、社会経済上でも、今なお難題なのである。

そんなわけで、アメリカ議会は21世紀初頭の10年を「痛みの10年(Decade of Pain and Reserch;2001~2010年)」と位置づけるバイオメディカルサイエンス振興策を宣言した。アメリカ政府が如何に痛みの研究を最重要課題にしているかが窺えるであろう。

「痛み10年宣言」(米)のシンボルマーク

「痛み10年宣言」(米)のシンボルマーク

今なぜ痛みなのか。実は、アメリカでは痛み対策に莫大な国家予算が導入されてきた背景がある。それもこれも痛みの実体やメカニズムが本当はよくわからず、決定的な治療法もないという実情を反映している。痛みに対する不適切な治療など、社会経済の国家的損失は莫大で、損失推計だけでもなんと年額650億ドル(約9兆円)にものぼると言われている。そのためにアメリカでは1970年代から疫学調査を行い、適切な痛み治療を行うことで1996年には個人的医療費の約60%も節約できるだろう、という推計も発表した。

1998~1999年にかけて行われた全米における実態調査によると、高度の慢性痛に悩まされている患者は成人人口の9%に及んでいたのである。

同様の社会事情を抱えている日本やヨーロッパでも、痛みの調査研究はやはり重要な課題である。

こうした取り組みは、おそらくアメリカがさきがけであろう。このバイオメディカルサイエンス振興策が最初に宣言されたのは、クリントン政権化の1990年である。それは「脳の10年(Decade of Brain)」としたスローガンで、20世紀最後を飾るにふさわしい振興策であった。その成果が今日の脳科学ブームの下地になっている。なにしろ脳の研究が大きく展開した。

痛みの研究も、このアメリカの国家的プロジェクトによって進展することが予測される。それと関連して、整形外科領域では「運動器の10年」(Bone and Joint Decade)として21世紀初頭が位置づけられており、医科学に関する視点は活動性に向けられるようになっている。こうした研究が、国家的プロジェクトで進められていることには注目である。

日々、痛みを持つ患者と向き合うことが多いカイロプラクティックも、痛みのメカニズムを再構築するときが早晩くるように思われる。

人間の歴史と共にはじまった痛みは、研究、考察そして治療の対象であった。カイロプラクティックも人間の日常的な痛みを取り扱ってきたし、その解明にも自説を主張してきたように思う。しかし、カイロプラクテックが言及してきた痛みの根拠には、大きな疑問も見え隠れする。

痛みの生理学的な解明が待たれるところだが、21世紀に入って痛みは古くて新しいテーマとして浮上してきたのである。



カイロジャーナル64号

投稿日:2009年03月18日

64号(09.3.18発行)
カイロ事業開始40周年「It’s CHIRO ! 2009」にあたって
米オバマ大統領、カイロを重要視
「アプライド キネシオロジー(AK)シノプシス」改訂版の翻訳を終えて

facebook公式ページへのリンク

長期連載中の記事

過去の連載記事