2005 7月カイロプラクティックジャーナル

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<第1回>どこに行く? 日本のカイロプラクティック

投稿日:2005年07月11日

手技療法こそが本質
カイロジャーナル53号(2005.7.11発行)より

早いもので、私がカイロプラクティックの世界に足を踏み入れて17年になる。DCになって14年だ。10代で渡米し、それ以来アメリカで暮らしてきた私には日本の常識が欠落しているところがあり、時折周囲の皆さんに迷惑をかけることになる。しかし、こんな私でもアメリカの日系社会の中では確固たる地位を築いてきたし、社会の中で並み以上の貢献もしてきた。それも、愛するカイロプラクティックを仕事として持てたお陰だと感謝している。業界でも中堅どころという立場になり、かねてから行ってきた後進の育成、業界への恩返しに、より一層力を入れたいと思うようになった。

昨年、今年と日本でセミナーをさせていただき、多くのカイロプラクティックプラクターや学生たちと話をする機会を得た。私の教え子たちも日本に一人二人と帰国し始め、日本のカイロプラクティックの学校で教鞭をとるようになり、彼らからも日本の業界の現状に関しての話を耳にするようになった。そこで感じた日本の業界の行く末に杞憂を持たずにはいられない。私の一番の心配は「カイロプラクティックの在り方」である。日本の業界の社会での認知度や平均的な教育レベルはアメリカに比べ50年は遅れていると思う。アメリカだって100年かけてようやく今の段階まで熟成されてきた。昔の教育内容は今のそれに比べれば、はるかに劣るものだった。だから、日本も少しずつ教育レベルや認知度を上げていけばいいと思う。

ところが今の日本のカイロプラクティック業界はもっとシンプルにカイロプラクティックの本質を追求すべき段階にあるはずなのに、成長したアメリカのカイロプラクティック業界の、今の日本にはふさわしくない側面が、強く流れ込んでいる気がしてならない。そのためカイロプラクティックの定義、サブラクセイションの定義や重要性、アジャストメントの意味や重要性、カイロプラクティック哲学などへの意識が希薄で、カイロプラクティックのアイデンティティーを失いつつあるように感じる。

昨今のアメリカでのカイロプラクティックのテクニックの多様化には様々な負の側面があることを認識して欲しい。学位や業種としての認知が確立されたアメリカでさえアイデンティティーの喪失に警鐘を鳴らす声が高まっている。法制化もされていないし教育レベルもまちまちな日本の業界が今の段階で目指すべきものは、新しい派生的な療法やテクニックではなく、カイロプラクティックの本髄であるサブラクセイションを手によるアジャストメントで治療するということではないだろうか。

近頃では、サブラクセイションを手でアジャストすることに否定的な考えを持っている人々も増えていると聞く。それはそれで結構である。それぞれ信じるものや好むものは違うものだ。しかし、その方たちは、たとえどんなに優れた治療家であってもカイロプラクターではない。D.D.パーマーが創り出し、多くの優れたカイロプラクターが人生を賭けて血のにじむような努力の末に築き上げ守り抜いてきたカイロを、勝手に変えないで欲しいと思う。サブラクセイションを手によるアジャストメントで治療し、人間の持つイネート・インテリジェンスを呼び起こし、人間を健康にするという単純明快なカイロ哲学が分からない者は、カイロプラクターではなく別の種類の治療家なのである。

患者の治療に対して自分の限界を感じたり、もっと良い方法はないかと模索したりすることは治療に携わるものなら誰もがぶつかる問題である。その結果、多くの新しい療法が編み出され、より多くの患者が救われる。そのこと自体は何の問題もない。だが、カイロプラクターと名乗るからには、あくまでサブラクセイションを手でアジャストすることを基本に持っていなければならない。そのために、たゆまない努力を重ね、涙を流すような悔しい思いをしながらアジャストメント・テクニックの習得に励むのである。カイロは週末だけのセミナーやビデオによる独学だけで学べるような簡単なものではない。ナメてもらっては困る。日本にはもっと確固たるカイロプラクティック哲学を持って、しっかりとサブラクセイションをアジャストできる本物のカイロプラクターがもっとたくさん必要なのだ。

多くのカイロプラクターが命を賭けて守り抜き、私たちに継承してくれたカイロプラクティックの本質、アイデンティティーを学び実践し、後世に伝えて欲しいと思う。そのために私もこれから出来る限りのことをしていこうと思うのである。

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