フレキシブルに原点回帰 第9回 | カイロプラクティックジャーナル

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フレキシブルに原点回帰 第9回

多様で柔軟なカイロプラクティックの世界「ヒト」に有益ならばOK
カイロジャーナル91号(2018.2.26発行)より

「カイロプラクターは治療をしない」と少々過激なフレーズとともに開始しましたこちらの連載も、カイロジャーナル終了と同時に最終回を迎えることとなりました。寄稿のご依頼をいただきました当初は「3回ほどの連載」と伺っておりましたが、お陰様で、最終号まで継続させていただくことができました。

こちらの連載では、毎回、私の率直な思いを綴らせていただきましたが、最終回でも「これからのカイロプラクティックのあり方」について、私自身の視点から思いを叫ばせていただきます。

国内外を問わず、様々な方がネットや業界誌などを通じて、カイロのあるべき姿について述べておられます。考え方やベクトルは異なるものの、その情熱には頭が下がります。しかしながら、時に違和感を覚えることもございます。例えば、科学を前面に出すあまり、カイロをモダリティの一つとして捉えておられる方、カイロというプロフェッションが「本流」から脱線し婉曲してしまうことを危惧するあまりにご自分の考えを押しつけるように感じ取れる方、手技以外をカイロと認めることに抵抗を示す方などです。

どなたのご意見、考え方にも一理はあると思いますが、本来であれば、哲学、科学、芸術が調和をなし、三位一体であるはずが、偏りのある主張をされているように見受けられることがございます。その度に、大事なことをお忘れになっているような気がしてなりません。「ヒト」に対する思いがあまり伝わってこないからです。極論になってしまいますが「カイロというプロフェッションが大事なのか、ヒトが大事なのか」という疑問が払拭されないのです。

例えば、器具を用いるテクニックについて批判をされる先生がいらっしゃいます。カイロがギリシャ語で「手」を意味することから、手技のみのアジャストメントは、その技術や治癒過程も含めてアートであることは正論でしょう。しかしながら、カイロ発祥時から120年以上の月日が経過し、時代背景の変化とともに、テクノロジーにも大幅に進化が見られます。「ストレート」と呼ばれる方々がご使用になるサーモグラフィーなどの分析機器もコンピュータ化され、着実に進化を遂げています。また、X線写真撮影などで病院との連携をお取りになっている先生もおられることと思いますが、X線撮影装置もデジタル化され、低被爆線量でも鮮明な画像を得られるように改良されています。それらの進化を否定し、クラシカルなものにこだわりを持つ方は少ないと思われます。

では、なぜ、カイロはテクニックを含むアプローチにバリエーションを持ってはいけないのでしょうか。私は、この連載を通じて何度かお話して参りましたが、カイロプラクターとして「超えてはいけない一線」、つまり、投薬や手術行う行為など、明らかにカイロ業務から逸脱し、哲学に反するものを除けば、ある程度のバリエーションは許容されても良いのではないかと考えます。それは「ヒト」を中心に考えることを大前提とするからです。

ここで「ヒト」という表現を選択した理由は、疾患や症状を伴う患者のみならず、症状が表面化せずに水面下でサブラクセーションが進行している方、そして健康の維持、増進を目的にメインテナンス・ケアをお求めになる方々まで、カイロ適用者が非常に幅広くおられることにあります。カイロの提供者として忘れてはいけないのは「ヒト」ありき(アニマル・カイロプラクターの先生は「動物」ありき)であり、軸としてサブラクセーション及びアジャストメントのコンセプトにブレが生じない限り、カイロが多様性もしくは発展性を有しても構わないと思います。

誤解していただきたくないことは、例えば、カイロを手技のみで行っている方々や、上部頚椎に特化しておられる先生、科学的に分析を行っている方々など、選択肢が多く存在するカイロ業界で、現在行っている、あるいは将来的に行うアプローチを否定するつもりは毛頭ございません。「ヒト」への貢献を目的に実践するカイロのバリエーションに含まれると考えるからです。

カイロのプロフェッションを護ることはもちろん大切ですが、ご自分の考えこそが正しいと主張しているように捉えられても仕方のない表現や、他の方々を批判、さらには中傷することは、カイロ業界に不利益をもたらす危険性を伴うことでしょう。それ以前に「ヒト」に有益であるか否かを優先的に考え、カイロプラクターとして適度な柔軟性を持ちながら原点を再考することが、今後は重要になると思います。

最終回まで、私の小声の叫びにお付き合いくださいまして、感謝を申し上げます。短いようで長い間、お読みくださいまして、ありがとうございました。

後藤 雅博D.C.
(ごとう・まさひろ)

後藤カイロプラクティックオフィス院長(北海道帯広市)
1991年、パーマー・カイロプラクティック大学卒業
D.C.ドクターオブカイロプラクティック

日本統合医療学会会員

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