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関節の三次元アプリ、世界に先駆け開発

10月のJSCC学術大会で基調講演者、菅本一臣教授インタビュー
関節の動きへの興味尽きず
カイロジャーナル89号 (2017.6.19発行)より

10月21日、22日の両日、兵庫県宝塚市の宝塚医療大学で、第19回日本カイロプラクティック徒手医学会(JSCC)学術大会が開催される。基調講演者の菅本一臣教授は、今回の大会テーマである「骨・関節の動きを科学する」のまさに達人。整形外科医、大阪大学大学院医学系研究科・運動器バイオマテリアル学講座教授として、関節の三次元動態の解析研究に携わる。中川貴雄会長、中川達雄大会長が研究室にお伺いしてインタビューした。
中川達雄大会長、菅本一臣教授、中川貴雄会長
左から中川達雄大会長、菅本一臣教授、中川貴雄会長

肩と膝を中心に治療

中川達雄 この度は、第19回日本カイロプラクティック徒手医学会学術大会の基調講演をご快諾いただき誠にありがとうございました。
本日は、カイロジャーナルという業界紙に第19回JSCC学術大会について掲載するにあたり、菅本先生をご紹介させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
はじめに、菅本先生は整形外科医として、これまでどのような分野に携われて来られたのでしょうか?

菅本 整形外科3大疾患である腰、肩関節、膝関節の中で、肩と膝を中心に老化疾患やスポーツ疾患の治療をしてきました。この3大疾患は、厚労省が毎年行っている国民生活基礎調査で、有訴者率の上位を占める症状であり、この数十年間変わっていません。

バイオマテリアル学講座のある最先端医療イノベーションセンターの写真
バイオマテリアル学講座のある最先端医療イノベーションセンター
――肩関節と膝関節の中で、どのようなことを中心に研究をされていたのですか。
骨や関節は皮膚の下で、大きくまた細かく動いています。例えば、肩関節の動きに伴い、肩甲骨は10センチ以上動いています。しかし、私たちは皮膚の上からその動きを見ることはできません。そのため、関節が正常に動いているのかわからず、皆が困っておりました。実のところ、肩や膝、腰の調子の悪い人において、「関節の動きがおかしいために痛くなったり、動かなくなったりしている」ことすらも分かっていませんでした。
そこで、まず、骨や関節がどう動いているかを明らかにする方法を作るということに研究を集中させました。
――どのような方法で関節の動きを明らかにしていかれたのでしょうか。
皮膚の下で骨や関節が動いているのを見る方法は、レントゲン、MRI 、CTの3つです。その3つの利点と欠点を工夫しながら、関節の立体的な動きを解析しました。

関節の動きを動画化

――iPadの解剖アプリの先駆けであったteam Lab Body-3D Motion Human Anatomyを作られたきっかけと、その目的を教えてください。
「生きている正常な人の骨や関節がどのように動いているのか、世界中の誰もが見たことがないことから、一度見てみよう」というのが研究のきっかけでした。実際に研究を始めてみると、教科書に載っている関節の動きは、ご検体の関節を適当に動かした動きだったのです。そこで実際に生きている正常な人間の骨や関節がどのように動いているのか見てみました。すると、ご検体の動きと比べて、全ての関節が微妙に違っていることが分かりました。このような違いは、是非とも医学分野の人だけではなく、世界中の人々に発信していかなければという思いに至りました。その思いで作ったのが、このteam Lab Body-3D Motion Human Anatomyです。
また臨床医学において、一例を挙げると、健常な膝関節と変形性膝関節症では、どのように動きが異なるのかなどを解析して、疾病による様々な関節の動きの特徴が分かってきました。また、手術後の関節の動きがどう変わったのかを患者さんに説明する、つまり「見える化」ができるようになってきています。
――仙腸関節の研究について被験者を募集されていたのを先生の研究室のHPでお見かけしましたが、それについて現在はどのような研究をされていますか? 私どもを含めまして、仙腸関節について興味や関心をお持ちの方がたくさんおります。
まず仙腸関節が動いているのかどうかという研究から始めています。これがその動画です。
《実際に動画を見せていただきました》
中川達雄・中川貴雄 おーすごい! 動いていますね!
仙腸関節では、動きの小さい方と大きい方がいるのも特徴です。
――我々のところに来られる腰痛患者で仙腸関節部の痛みを訴える方は多数いるのですが、これについてはどうお考えでしょうか?
その因果関係については、これから研究していこうと思っています。
――この仙腸関節の動きの動画を学会の基調講演でお見せいただけますでしょうか? ぜひお願いいたします。
分かりました。大変興味をお持ちなのですね。

先入観なく見てほしい

――先生が、これまでの関節の動きの研究で、一番印象的で驚いた部位はどこですか?
ほとんどすべての関節ですね。特に手首や首、肩などは不思議な関節です。我々が予測していた動きとは全然違いました。
――今回の学術大会の基調講演でお話いただくトピックスを教えていただけますか?
とにかく何の先入観もなく「生きた人間の関節が立体的にどのように動いているのか」、これに興味を持って見ていただければと思っています。それによって皆様の中で色々な発見があると思います。このような内容を、たくさんの動画を見てもらいながら、お話させていただこうと思います。
――先生の、今後の研究の展望を教えていただけますか?
現在、国内外の100人以上の研究者がこの研究手法で各関節の研究を進めています。これからは、体格による関節の動きの差、術後の関節の動きの変化、人種による関節の動きの違いなどについて、どんどん研究を進めて行こうと思っています。
――最後に我々セラピストに向けて何かメッセージをよろしくお願いいたします。
とにかく何の先入観もなく、生きた人間の関節はどのように動いているのかを見ていただいて、そこから出てきた疑問やアイディアを膨らませ、追求していただき、よりよい医療を目指していただければと思っています。
――お忙しいところ、長時間にわたり、ありがとうございました。学術大会で学会員や参加者の皆様に、菅本先生のお話を聞いてもらうのが楽しみでなりません。それでは、学術大会当日もよろしくお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました。

インタビュアー

中川 達雄 (なかがわ たつお)
治療家であった父、伯父、祖父の影響を受け、4代目として、治療家を志す。
大学在学中から、伯父である中川貴雄先生の中川カイロプラクティックオフィスで研修を積み、現在、大学教員として徒手療法の教育と研究、附属治療所での臨床を行っている。
2007年 明治鍼灸大学 鍼灸学部 鍼灸学科卒業(現:明治国際医療大学)

 

2010年 明治東洋医学院専門学校 柔道整復学科卒業
2013年 東亜大学大学院 人間科学専攻 健康スポーツ分野 修士課程修了

現在

宝塚医療大学 保健医療学部 講師
明治国際医療大学 保健医療学部 非常勤講師
日本カイロプラクティック徒手医学会 代議員
モーション・パルペーション研究会 世話人

中川 貴雄(なかがわ たかお)
昭和23年2月、三重県鳥羽に生まれる。昭和53年、米国カリフォルニア州ロサンゼルスのロサンゼルス・カイロプラクティック大学(LACC、現・南カリフォルニア健康科学大学SCUHS)卒業、ドクター・オブカイロプラクティック(D.C.)取得。
カリフォルニア州開業試験合格。同地にてナカガワ・カイロプラクティック・オフィスを開業するかたわら、母校LACCで助手、講師を経て、昭和62年まで助教授としてテクニックの授業を受け持つ。その間、昭和56年には全米カイロプラクティック国家試験委員も務める。
カリフォルニア州公認鍼灸師。
平成11年、帰国。大阪にて中川カイロプラクティック・オフィス開業。 
日本カイロプラクティック徒手医学会 会長
モーション・パルペーション研究会 会長
明治鍼灸大学(現 明治国際医療大学)保健医療学部 柔道整復学科教授
宝塚医療大学 柔道整復学科 教授

著書

脊柱モーションパルペーション
カイロプラクティック・ノート1
四肢のモーションパルペーション上
四肢のモーションパルペーション下

など 

訳書

関節の痛み
オステオパシー臨床マニュアル
オステオパシー・テクニック・マニュアル
カイロプラクティック・セラピー

など

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