安保徹氏のご逝去を悼む | カイロジャーナル

  安保徹氏のご逝去を悼む

カイロプラクティック、オステオパシー、手技療法の最新情報、セミナー案内、関連書籍・DVDの販売

カイロジャーナル TEL.03-3434-4236 〒105-0013 東京都港区浜松町1-2-13江口ビル別館

安保徹氏のご逝去を悼む

実際に会って縮まった距離
愛嬌ある津軽弁が懐かしい
カイロジャーナル88号 (2017.2.19発行)より


カイロジャーナル発行人 斎藤信次

昨年12月、安保徹氏が亡くなられた。あまり報道されなかったが、割と早い時期に知った。まだ69歳、これが氏の「ピンコロ人生」だったのだろうか。心からご冥福をお祈りする。

安保氏の存在を知ったのは、20世紀終盤、ミレニアムという言葉がやたらと使われ始めた頃である。あるライフサイエンス、バイオ関係の書籍を扱う会社の社長さんから、「この本、面白いから読んでみたら」と刊行間もない『未来免疫学』を紹介されてである。あなたは「顆粒球人間」か「リンパ球人間」か、カバーに非常に興味を惹くフレーズが書かれていた。

同時期、私は増田裕DCを静岡から引っ張り出し、「増田ゼミ」なる勉強会をスタートさせたところだった。「増田組」という、よく映画監督を中心に製作スタッフが名乗るチームが参加者によって結成されるなど、非常に思い出深いエピソード満載の勉強会だった。

この増田氏が読書の虫で、読書録をホームページで紹介するほどの人だったのだが、ゼミの講義中に安保氏と『未来免疫学』を紹介したのである。俄然、すべてが一つになり、「増田さんが絶賛するほどの本だったのか」と再度本気で読み返した。今となっては赤面する思い出だが。

当時、私は徒手医学会の設立(1999年10月)にも深く関わっていて、第10回大会まで事務局長を務めた。増田氏にも第1回から幾度となくご登場いただいたが、大会が東京で開催されるときは、実行委員の増田組メンバーと会場を押さえたり、懇親会を仕切ったり、また特別講演や基調講演の講師依頼も私の役目だった。その第4回大会のときに安保氏に依頼することになり、新潟大学まで直接依頼しに行ったことがある。

そのとき、当時私の最大関心事だった痛風について尋ねると、「そんなの、ストレスだぁ」と愛嬌のある津軽弁でひと言で言い切られ、妙に納得したことがある。が大会当日、なんと私は痛風を発症し車イスでの会場入りとなった。安保氏に挨拶に伺うと、その姿を見てしみじみ「ストレスの溜まる仕事なんだなぁ」と言われ、かえって恥ずかしい思いをしたことを思い出す。安保氏の声が聞こえてきそうな、とても懐かしい思い出である。

安保氏にはその後、パシフィック・アジア・カイロプラクティック協会(PAAC)での講演もお願いし、快くお引き受けいただいた。安保氏に限らず、これまで川島隆太氏、帯津良一氏、植村研一氏、篠永正道氏、東京以外の開催のときでも菊池臣一氏、大隅典子氏、学会以外でも渥美和彦氏など、数多くの先生方のところへ直接出向いて依頼してきた。旧知の方のときは尚更喜々として伺ったように記憶している。

なぜ当時、直接依頼しに行ったのだろう。もちろん各氏に対する興味があって、また本紙のネタにしようという気持ちがあってのことだったと思うが、それだけではなく、会って話すことによって何かが先に進むのではないかと期待してのことだったと思う。

最近、何につけネットに頼る傾向が多すぎるような気がする。既に関係ができている人たちとはネットでのやりとりでも構わないと思うが、初対面にもかかわらず直接会うことを面倒がったり、目の前にすると話もできないというのでは、いつまで経ってもより良い関係などできるはずもない。

これまでの経験で、知っている人がたくさんいたことでどれほど仕事を円滑に進めることができたか、身をもって味わい、つくづくありがたかったと思っている。治療は患者さんと接しないとできない。患者さんといかに上手に接するかで効果が大きく変わってくるはずである。であれば、労をいとわずに直接会って話す訓練をしないと、技術、知識をいくら磨いても、患者さんはおいそれとはやってこないだろう。

齋藤 信次(さいとう・しんじ)
2016年6月、科学新聞社の代表取締役社長を勇退、顧問に就任
カイロジャーナル発行人
今後はこれまでの経験を活かし、同社の出版事業をサポートするかたわら、広く手技療法界全体の活性化を目指し、独自の活動を展開していく

幅広い人脈を持ち、また人情味にも厚く、業界の良き相談相手であったことから、今後ますますの出番が予想される力強い助っ人

お問い合わせ:カイロジャーナル

住所〒105-0013 東京都港区浜松町1-2-13 江口ビル別館6F
TEL03-3434-4236
FAX03-3434-3745
E-mailbook@sci-news.co.jp
facebook公式ページへのリンク

長期連載中の記事

過去の連載記事