「きょうから使える中国伝統療法 刮痧」刊行 著者 孫維良さんインタビュー | カイロジャーナル

  「きょうから使える中国伝統療法 刮痧」刊行 著者 孫維良さんインタビュー

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「きょうから使える中国伝統療法 刮痧」刊行 著者 孫維良さんインタビュー

器具を使って経穴を刺激
カイロジャーナル86号 (2016.6.17発行)より

『きょうから使える中国伝統療法 刮痧』が今年3月、科学新聞社から出版された。刮痧(かっさ)と言えば、最近は美容法として注目を浴びており、本や雑誌で紹介されているが、治療法としての刮痧を系統立てて紹介している日本語の本はこれまでほとんどなかった。刮痧には他の徒手療法とは異なる特徴があり、併用療法として可能性が期待できる。著者の孫維良氏にお話を伺った。

多少ずれても効果あり

――刮痧とは一言で言うとどんな療法なのでしょうか。
(孫)中国では昔から民間療法として使われてきました。例えば、夏バテによく効くことが知られています。身体に暑気がこもっている場合、暑気は自動的にはなかなか外に出られません。それで、コイン、レンゲ、茶碗のかけらなどを使って、のどや背中をこすり、暑気や毒素を外に出す、という方法が使われるようになりました。
民間療法として発達してきた歴史がありますから、それほど難しくありません。中医学のメインの徒手療法である推拿(すいな)は熟練が必要ですが、刮痧は刮痧板という器具が手の代わりとして、ある程度の仕事をしてくれます。

推拿や鍼灸などの治療では、経絡、経穴の位置を正確につかまなければならず、少しでも位置がずれると十分な治療効果が上がりません。しかし刮痧では、位置が完ぺきでなく多少のずれがあっても、擦る(こする)治療法なので、経穴を刺激することが可能なのです。
――刮痧板はどのようなものがありますか。
良質で幅広い目的で使えるのは、水牛の角でつくられたものです。寒熱で素材を使い分け、熱タイプには石を使い、寒タイプは金、銀、銅のコインやスプーンを使う場合があります。家庭では代用として割れた茶碗だって使えます。

軽めは美容、強めは治療

――治療後に赤い斑点上のあざが出ることが気になる人もいるようですが。

刮痧の刮は「擦る」という意味、痧は「皮膚にできる粟粒のような吹き出物、痕」のことです。日本の人は刮痧治療の後のあざを怖がる人も多いですが、中国では広く知られた療法なので、みんなあざが出ないと効かないと思っています。あざが出ると、今まであった痛みが消えてなくなる場合もあるし、あざ自体が1週間ぐらいで薄くなり、2週間経てばほぼ消えてしまうということをよく知っているからです。
しかし日本では、あざが出る直前まででストップすることも多いです。治療としては不十分でも、美容法として利用したい人の場合にはそれで十分なのです。
――日本の場合、刮痧という言葉を知っている人も少ないですし、知っている人にとっては、美容法のイメージが強いですからね。治療家がこの療法を取り入れる場合、美容と治療の両方の目的で使えるということでしょうか。
そうですね。簡単に言うと、軽くやれば、美容や健康増進のためになり、強くやると治療目的になります。患者さんの状態によって、リズム、強さを変えることで、より効果を出すことができます。

――治療時間はどのくらいかかりますか。
刮痧だけの場合、20~30分ぐらいです。接骨院やカイロプラクティック院では、普段の治療法との併用にも向いています。
刮痧は毛細血管を拡張させ、毒素を排出させます。これにより血液とリンパの流れが改善され、新陳代謝が改善されますが、これは瀉血(しゃけつ)と同様の効果です。瀉血で血を出すことは、医師法違反に問われたり、衛生面の問題があったりするので、日本ではなかなかできないでしょう。刮痧による充血、内出血は、そのような問題がなく、安全で効果的な方法として使えるのです。

DVDで分かりやすく

――本書には、基本的な治療法や症状別の施術方法が詳しく書かれていますが、技術はこの本のみで習得できるものでしょうか。
本にはDVDが付いているので、初めてでも分かり易いと思います。後はセミナーや勉強会に出席して、体験して練習することでしょう。

私は、臨床中医推拿塾を主宰しており、推拿を中心に教えていますが、この中で刮痧コースも開講しています。ご興味がある方はお問い合わせください。
――刮痧は、擦る刺激により身体の内側に変化を起こして循環をよくするという、通常の徒手療法とは全く違った機序で健康を増進できるところが魅力ですね。孫先生は、推拿による骨格調整や筋肉のねじれ調整など、非常に繊細な手技を駆使した治療を行われているそうで、そういったお話もまたお聞きできればと思っています。本日はありがとうございました。

臨床中医推拿塾についてのお問い合わせ先=東京中医学研究所(電話03・3512・0202、www.tuina.jp)

孫維良(そん いりょう)
1954年中国天津生まれ
天津中医学院で学び、卒業後同第一附属病院の推拿科医師として臨床に当たる
1987年に来日し、大学や病院、治療家向けに推拿療法の教育活動を行う
現在、東京中医学研究所所長として、主に推拿療法による臨床を行うほか、臨床中医推拿塾塾長として後進の育成に当たっている。

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