カイロ・オフィスだよりfromアトランタ 第4回 症例紹介1 難聴 | カイロジャーナル

  カイロ・オフィスだよりfromアトランタ 第4回 症例紹介1 難聴

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カイロ・オフィスだよりfromアトランタ 第4回 症例紹介1 難聴

姿勢改善で徐々に回復
60代女性の健康サポート
カイロジャーナル86号 (2016.6.17発行)より

4月14日に発生した「平成28年熊本地震」により被災された方々、被害に遭われたカイロプラクティックオフィスの皆様には心よりお見舞い申し上げます。皆様の安全と一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

1895年、アメリカの磁気治療師DDパーマーが、約20年間も耳が聞こえなかったビル掃除人のハーバー・リラードの背骨矯正を行い、難聴が劇的に改善したことがきっかけで誕生した学問、それがカイロプラクティックであることは、全てのカイロプラクターが知っていることでしょう。今回は、私のオフィスにリラードと同じ症状、難聴で来院された女性の症例を紹介します。

この60代の黒人女性は、30代での出産後、視力が落ち始め手術を受けるも、とうとう失明。そして、さらに5年ほど前からは、右耳の聴力も徐々に落ち始め、たくさんの医師の診察を受けても結局原因は分からずじまいで、途方にくれていました。その他にも慢性疲労や肩こり、腰痛、膝の痛みなど様々な症状を抱えていました。そんな折、たまたま聞いていたラジオでカイロプラティック、特に上部頸椎テクニックの一手法であるNUCCA(ヌーカ)が難聴に効果があるということを聞き、私の母校であるライフ大学にわざわざ問い合わせをし、紹介を受け、NUCCAとQSM3(Quantum Spinal Mechanics 3)の手法で治療を行っている当オフィスに来院してくれました。

私は彼女の初来院の日のことを今でもよく覚えています。盲目で難聴気味の患者さんということで、スタッフ一同、やや緊張して待っていました。すると、外から「カチッカチッ」という音が聞こえてきたと思ったら、入り口のドアに白い杖をついた女性が立っていました。私たちは先入観で、最初は当然誰かに付き添われて来るのだろうと思っていました。しかし、彼女は一人で電車とバスを乗り継ぎ、片道2時間以上かけて来てくれました。このエピソードだけでも彼女の想いの深さを理解していただけると思いますが、彼女はすでにいくつかのカイロ・オフィスで治療を受けたのですが、あまり効果はなく、それでも少しでも症状が緩和できれば、と藁をもすがる想いで当オフィスを訪ねてきてくれたのです。

早速、姿勢の計測を行ったところ、全体的に右側に傾いていました。さらに、右耳が聞こえないため、より左耳で聞き取りやすいように顔を右に曲げて、左耳を前に向けている状態でした。矢状面からだと、首が前に出ていて頚胸部前弯、腰の反りが大きい腰部後弯でした。足の長さは、左足が約1センチ短くなっていました。

姿勢測定装置(PMD131)で計測すると、体重が右に約10キロ傾き、肩の捻れは右後ろに12ミリ、腰の捻れも右後ろに10ミリと大きく歪んでいました(通常値は、体重差2~3キロ、捻れ3ミリぐらいです)。

上部頸椎用レントゲンで前面(Nasium)、側面(Lateral)、上下(Vertex)方向で確認したところ、前頭面から見ると頭蓋骨とC1の角度が左3度、C1とC2~7の角度が右12度の歪み(通常は、1度以内)、横断面から見ると頭蓋骨とC1の角度が左前3度、C1とC2の角度が左前3度の回旋(通常は、1度以内)でした。

この歪みのパターンは、左足が短く、左に体重が傾いている通常の状態から、何らかの外傷により体重が右に移動した圧迫型(Jam Pattern)で、このバランスを取ろうと体全体が右に歪み、そして頭は、右に歪んだバランスを取ろうと左に歪んでいます。この状態が長い間続いていたため神経が圧迫されて起きてしまったのが、難聴の主な原因の一つでした。この歪みのアジャストメント方法は、上部頸椎テクニックの一つQSM3を用い、まず体のバランスを整えることから始めました。最初は、右側の圧迫を除去することから始めました。人間の体は、いきなり真っ直ぐにすることはできません。体が左右のどちらかに傾いて、そして何かの外傷、もしくは長年の重力によって圧迫されていきますので、まずは背骨の除圧をすることが必須です。

二回目の来院時は、初診時よりも姿勢はかなり改善されていましたが、まだ歪みはありました。それでも、右耳の聴力は明らかに回復していたようで、彼女はとても嬉しそうでした。その後、アジャストメントするごとに姿勢は改善され、それとともにその他の症状も良くなっていきました。現在は3~4週間に1回の頻度で通っていただいています。今の目標は「視力の回復」ですが、30年の盲目を改善するのには、まだまだ時間がかかりそうです。

彼女はすっかりQSM3と当オフィスのファンになり、今では娘さん、そしてお孫さんも一緒に通ってきてくれています。私も一カイロプラクターとして、家族三世代の健康へのサポートができることに喜びを感じています。

矢島敬朗D.C. (やじま・よしろう)
和泉カイロプラクテイック・アトランタ(米国ジョージア州)院長
1970年東京生まれ
柔道整復師として働いた後渡米し、2009年ライフ大学卒業
上部頸椎調整をメインとしたカイロプラクテイック・ケアを実施する
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