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  フレキシブルに原点回帰 第4回

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フレキシブルに原点回帰 第4回

原因不明の小児の高熱が改善
役に立てた喜び噛みしめる
カイロジャーナル86号 (2016.6.17発行)より

2014年12月、私どもに定期的に通ってくださる患者様から相談を受けました。1歳11カ月になるお嬢さんが、約1年前から3カ月周期で発汗のない40℃前後の高熱を発するとおっしゃいます。発熱以外では、鼻汁や咳など風邪の症状はなく、その度に総合病院に入院し、検査を受けていたそうです。しかし、異常所見は見当たらず、ウイルス性でもないことが判明し、原因は不明のままでした。

それにもかかわらず、「取り敢えず」点滴により抗生剤を1週間ほど投与されるとのことでした。親御さんもそのような処置の繰り返しに疑問を呈したご様子で、ご自身のスパイナル・チェックの際にその旨をお話しくださいました。

恐らく藁にもすがる思いだったことでしょう。病院から親御さんに渡された血液をはじめとする諸検査や出産時のスクリーニングに加え、母乳により育てられたかなど様々な問診結果を元に、手がかりとなる解決策を見出すべく、まるで現代医学の医師のようにドクター“G”(某放送局の番組名に私の名字の頭文字を掛けたつもりでしたが、失礼しました…)として診断に役立つヒントとなる要素を探りました。そして、私の知識では限界を感じ、機能神経学の学位保持者であり、米国テキサス州で活躍しておられる同郷の池田奨DCに助言を求めたこともありました。ご多忙極める中、様々な観点から可能性のある疾患について親身に伺うことができましたが、神経学的諸検査を直接行えない状況下では、回答にお困りだったことと思います。

結局、総合病院の医師が明確な診断を下せなかったように、私も矛盾のない全ての条件を満たす診断に辿り着くことはできませんでした。しかし、私はMDではなくカイロプラクターです。私がすべきことは、サブラクセーションを見つけ、アジャストメントを施し、治癒に要するお時間をいただくことです。原点を見つめ直して覚悟が決まったある日、「よろしければお嬢さんを、私に診させていただけませんか?」と私は親御さんに申し出ました。親御さんも、果たしてカイロプラクティックで解決できるものなのか、初めは懐疑的だったかも知れません。しかし、このまま周期的に入退院を繰り返し、理由なく抗生剤を投与されることが解決に繋がるとも思われず、大きな不安と葛藤がおありだったことと推察します。

そして2015年2月10日、発熱したタイミングで、大切なお嬢さんを私どもにお連れになりました。高熱のためグッタリし、「見知らぬおじさん」である私に触れられても、思うように抵抗できない状態でした。少々苦戦しながらも、私はC1にサブラクセーションがあることを確信しました。慎重かつ可能な限り正確にアジャストメントを施し、その日はお帰りいただきました。

その翌日、親御さんから連絡をいただきました。それは「おかげさまで、昨晩はなんとか熱が出ず、今日も本調子ではないものの元気です」との嬉しいお知らせでした。

その2週間後、ご両親とともに再びお嬢さんが来院されました。「見知らぬおじさん」に触れられることに前回の分まで泣き叫び、全力で抵抗します。正確に触診するには四苦八苦しましたが、妥協は禁物だと自らに言い聞かせると同時に、「今日は抵抗できるほど元気だ」と確認でき、苦戦も喜ばしく思いました。その後も、私とお嬢さんとの戦いに親御さんが仲裁に入るようなやり取りを数回繰り返したのですが、一番の懸念事項であった不明熱は出ることはありませんでした。

そして「今日のバトルはどれくらいかかるかな?」と心の準備をしながらお嬢さんを迎えたある日のことです。それまでの泣き叫びや両手による抵抗が一切なくなりました。もちろん、不明熱もなく、至ってお元気そうでした。「見知らぬおじさん」から脱出でき、信頼関係が芽生え始めたような気がして嬉しく思いました。

その後も順調に高熱を生じることもないまま、通院を継続してくださり、いつしか言葉を少しずつ発するように成長したある日、アジャストメント後に「せんせい、ありがとう」とのお礼の言葉をかけてくれました。胸と目頭が熱くなるのを感じながら、お役に立てた喜びを噛みしめました。そして今春、健やかに幼稚園に入園し、現在も定期的にスパイナル・チェックに訪れてくださいます。

ここで親御さんが、ご自身のフェイスブックに投稿してくださったありがたいお言葉を引用させていただきます。
「あれほど不明熱を繰り返していたチビですが、まる一年発熱することなく健康でいてくれています。一昨年の最後の発熱時、後藤雅博先生に診てもらい、以来高熱がピタッと止みましたので先生のお陰だと思っています(後藤先生は米国の学位及び開業免許を持つ、日本でも数少ない本物のカイロプラクターです)。にわかカイロプラクティックがはびこる日本では、カイロプラクティック自体に胡散臭いイメージが付きつつあるのが残念です。一義的には病院に行くべきだと私も思いますが、医者が解決できない場合、本物のカイロプラクティックに掛かるという選択肢も大いにアリだと思います」。

過分なお褒めの言葉を頂戴いたしましたが、カイロプラクターとして最も大切なことは「私がお嬢さんの高熱を治療した」と勘違いをしてはいけないことだと思っています。私が行ったことは、サブラクセーションを見つけ、アジャストメントを施し、ヒトが生まれながらに持つ自己治癒力が正常に働くようにお手伝いをさせていただいただけに過ぎません。親御さんのご理解のもと、一人の少女から原点回帰の大切さを改めて教えられた症例となりました。

後藤 雅博D.C.(ごとう・まさひろ)

後藤カイロプラクティックオフィス院長(北海道帯広市)

1991年、パーマー・カイロプラクティック大学卒業

日本統合医療学会会員
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