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フレキシブルに原点回帰 第3回 ヒントは患者の言葉の中に

コミュニケーション力が不可欠
カイロジャーナル85号 (2016.2.18発行)より

皆様もご存知の通り、国内においてはカイロプラクターに「診断権」が与えられておりません。しかし、それは「診断力を身につける必要はない」ということでしょうか?

「カイロプラクティックはメディカルのように診断を行う必要はない」とおっしゃる先生もいらっしゃることでしょう。「サブラクセーションに焦点を絞り、アジャストメントを施すことがカイロプラクターの仕事」とのお考えはごもっとものお話ですし、私自身も「カイロプラクティックによりカラダは自ずと治癒に導かれる」との信念を崩すつもりはございません。しかし、診断力を身に付けたり、情報を得る術を学んで、臨床に生かさない手はないと思います。「診断」と聞くと、メディカルが行うようなハイテク機器等を使用してデータを取得し、それ基に行うイメージが先行しがちですが、もっと基本的なところに私は重要性を感じます。それには、患者さんとのコミュニケーションが必要不可欠になると思います。

私は、カイロプラクティック大学に在学中に、ある講師が放った言葉をしばしば思い出します。それは「患者が発する言葉に無駄なものはない。故に注意深く傾聴すること」というドクターとしての基本的姿勢についてです。また、私が所属している日本統合医療学会の看護師の方々が「患者様に寄り添いながら手当てを行う」ことをしばしばお話になるのですが、私は大いに共感します。患者様が身構える前に、寄り添うように問いかけをし、先入観を絶って冷静に問題点を探ると、自然な形で問診を行えると思います。そのコミュニケーションから、疼痛などの症状を伴う患者様には、諸検査では現れることのない奥底に潜む原因追求の糸口になることもあることでしょう。また、自覚症状のない方には、防止対策の大きなヒントが得られるかもしれません。

ここで、身近に起こり得る臨床例をひとつ紹介させていただきます。42歳女性が、肋骨下部の疼痛の主訴により、私どものオフィスにいらっしゃいました。3カ月間ほど咳が続いたある日、仕事中に咳をしたときに激痛が走ったそうです。その日のうちに整形外科にかかった結果、異常所見はなかったとのことでした。そこで、整形外科医の「異常所見なし」を鵜呑みにして、安心してサブラクセーションを見つけ、アジャストメントを施したとしたら、一体どうなることでしょう。ソフトな上部頚椎のアジャストメントならともかく、先入観から「咳」をキーとして捉えて「胸椎や肋骨にマニピュレーションを施したとしたら」などと想像すると、ぞっとしてしまいます。年齢を考えますと、骨折の原因にもなり兼ねない骨粗鬆症を発症するには、少し早いようにも思えますが、子宮筋腫を患っていて、暫くの間、ステロイド治療歴があったとしたら骨折の可能性を排除できるでしょうか。また、ご存知かと思いますが、例えX線画像には骨折の所見がなくとも、10日から14日後に確認されることがありますので、128bpmの音叉で確認すべきことは、単純な検査ながらも事故回避に一役買うことになると思います。

カイロプラクティック大学では「問診をしっかり行うことで8割の診断が可能」と学びましたが、これは決して誇大表現ではないと思います。患者様は、時折「関係ないかもしれませんが」と前置きを加えてお話になることがありますが、それが意外にも重要なヒントとなるケースが少なくありません。また、それを引き出すコミュニケーション力も、私たちには求められることと思います。

患者様がお話される言葉の中に潜む「原因」を導く「問診」は、時としてハイテク機器では読み取れない情報までをキャッチできる強力な診断ツールとなり得ることでしょう。ピットフォール(見落とし)の回避にもなるコミュニケーションを通した問診の重要性に、今回は原点回帰してみました。

後藤 雅博D.C.(ごとう・まさひろ)

後藤カイロプラクティックオフィス院長(北海道帯広市)

1991年、パーマー・カイロプラクティック大学卒業

日本統合医療学会会員
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