選択理論を治療に生かす 2 小野永一 | カイロジャーナル

  選択理論を治療に生かす 2 小野永一

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選択理論を治療に生かす 2 小野永一

私たちを行動に駆り立てるものとは
すべては「5つの基本的欲求」満たすため
カイロジャーナル84号 (2015.10.21発行)より

人間は、本能の部分で、食糧を得るためと子孫を残すために行動していると思っていた。しかし、選択理論では「遺伝子に5つの基本的欲求があり行動の動機付けとなっている」とされる。

~5つの基本的欲求~

  1. 生存の欲求(運動、睡眠、飲食、子孫を残す)
  2. 愛・所属の欲求(愛し愛されたい、家族と一緒にいたい、仲間と一緒にいたい)
  3. 力の欲求(人に認められたい、勝ちたい、役に立ちたい)
  4. 自由の欲求(自分で選びたい、自分で決めたい、束縛されたくない)
  5. 楽しみの欲求(遊びたい、学びたい、楽しみたい)

5つの基本的欲求の一つ以上を満たす人、物、価値観、信条が入る特別な世界をクオリティワールド(上質世界)と呼び、一般的な日本語では「願望」に当たる。

私たちがこの世に生れて、願望に一番早く認知されるのが母親だと言われている。泣いたり怒ったりすると、すぐに抱っこしたりミルクをあげたり、自分を可愛がってくれるからだ。そんな存在であった母親も、中学生の頃になると、子供はやかましい母親を嫌いになり、隅っこに追いやり、遊び友達が願望のど真ん中にきてしまう。

患者さんから「ここの先生はすごい」と願望のど真ん中に認知されると、その患者さんはリピーターとなってくれるので、5つの基本的欲求を知っていて損はない。私たちは、この5つの基本的欲求の一つでも満たされないと不幸と感じてしまう。願望と現実のギャップが大きいと人はウツや病気になってしまう。

患者さんが来院したら、この人は何が満たされていないか、何の欲求が強いかなどを考えてカルテ取りし、治療をすることで、何が問題なのかが見えてくる。

ある日の夕方、甲子園に出場したことがある高校球児がやってきた。腰が痛いと訴えてきたが、なぜかお母さんがオロオロしていた。

話していく中で、監督とケンカしてやめると言って合宿所を飛び出してきたらしい。ここでは力の欲求(野球の取り組み方)と愛・所属の欲求(仲間と別れる)が満たされていないと思った。そこで質問してみた。

「00君は、1年生で甲子園で活躍したから応援している人はいっぱいいるよね。一番応援してくれる人は誰なの?」
「お爺ちゃん。そして家族です」
「今日とった行動は、応援している人を喜ばせる行動ですか? それとも悲しませる行動ですか?」
しばらく考えた後に
「悲しませる行動です」

彼は治療後、合宿所に戻り監督に頭を下げたそうだ。後日、母親から大変感謝された。彼はのちにキャプテンとなりチームを引っ張り甲子園を目指した。彼の中で自己評価が起こり、自分個人の問題ではなく、応援してくれる人を喜ばせるプレーヤーになると決めた瞬間だった。

世の中では、いろんな悲惨な事故が起こっている。私たちにとってとんでもないことが、その人にとっては最善の行動だとしたらどうだろう。例えば、朝からアルコールを飲んでいる人がいるとする。愛・所属の欲求を満たすためにアルコールが願望のど真ん中にきてしまうと、いくら家族が隠しても探し出して飲む行動に出る。アルコール以外の願望とすり変わらないと飲むことをやめない。パチンコなどのギャンブルもその人にとっては最善の行動をとなる。いくら注意しても効果はない。
このように人は効果があろうとなかろうと、欲求を満たそうと行動している。

また、5つの基本的欲求にはそれぞれ強い弱いがある。夫が愛・所属の欲求がそれほど強くないのに妻が愛・所属の欲求が強いと、夫は十分に妻に尽くしていると思っているのに妻の方は全然かまってくれないと不満タラタラになる。だからお互いの違いを知ることが大切である。

人はそれぞれ皆違うということ。自分の価値観(色眼鏡)であたりを見回すと、不平や不満がどんどん出てくる。ありのまま見ることで、相手を批判することなく認めることができる。

そうすることで心も体も健康でいられるので、ぜひお勧めしたいものである。

小野 永一(おの えいいち)
小野カイロプラクティック(青森県五所川原市)院長。日本カイロプラクティック師協会(JSC)顧問。「Drケリーの治療を考える勉強会」を主宰。

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