フレキシブルに原点回帰 第2回 後藤 雅博 | カイロジャーナル

  フレキシブルに原点回帰 第2回 後藤 雅博

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フレキシブルに原点回帰 第2回 後藤 雅博

FMSとカイロプラクティックの融合に手応え
動作の中に原因を探る
カイロジャーナル84号 (2015.10.21発行)より

「病院へ行きましたが異常はないと言われました。それでも痛いと伝えると薬を処方されました。効きませんでしたが」とおっしゃって、我々カイロプラクターに救いを求める患者さんは珍しくないと思います。その患者さんにサブラクセーションを見つけ、アジャストすることにより快方へ向かったとしたならば、それはカイロプラクティックが現代医学の盲点を突いたことになるでしょう。では、カイロには盲点はないのでしょうか?

選択するテクニックにより異なることと思いますが、カイロでは、インストゥルメンテーション、触診、X線写真などの画像分析によりサブラクセーションを見出した後アジャストするアプローチが一般的であり、そこには他に類を見ないカイロの独自性があると思います。それらに加えて問診を行うことは言うまでもなく、現代医学でも用いられる(はずの)バイタルサインや整形学/神経学検査等からヒントを得ることもあるでしょう。しかし、どれも被検者にあまり大きな動きを求めることはありません。私は、ダイナミックな動作の中に潜む「原因」を評価する必要性をいつしか感じるようになりました。それを探し求めた結果、ファンクショナル・ムーブメント・システムズ(以下FMSと略)に辿り着きました。

FMSの創始者は、カイロプラクターではなく、理学療法士と公認アスレチック・トレーナーです。このシステムは、主にアスリートに対する怪我の防止を目的としたファンクショナル・ムーブメント・スクリーンと、痛みを伴う患者さんを対象に行う選択的機能動作評価(SFMA)により構成されています。筋肉を個別に考え、損傷した部位が回復次第、患者をリリースする従来のリハビリテーションとは異なります。ヒトの一連の動作から、モビリティーやスタビリティー、非対称性などのバランスをスクリーンあるいは評価します。その結果、従来のリハビリで回復したとされる部位が、他の部位とともに動作を行った場合に機能障害が現れる場合や、機能障害の原因が損傷箇所とは別の部位に発見されることもあり、私はカイロで言うサブラクセーションのあり方と類似する概念があるような気がしました。もちろん、サブラクセーションとは異なりますが、自覚症状が現れぬままに隠れて進行している「原因」を見出す点などには、共通したものを感じます。現在私は、これまでに行ってきたカイロの諸検査に加え、動作の中から機能障害を見出すこれらのアプローチを臨床に導入し、サブラクセーションの限定に磨きをかけるように取り組んでおります。

また、FMSは、モーター・コントロールを考慮しており、その機能不全の改善をエクササイズで修正します。これは、サブラクセーション・フリーの状態維持にも一役買い、カイロとの融合に手応えを感じております。その他、スクリーンにより、アジャストメント前後の動作の改善度が、検者にも被検者にもわかりやすく、回復の指標として役立ちます。

「カイロプラクターがカイロのテクニック以外を学ぶのは筋違いだ」とご指摘いただくことも承知しております。しかし、主役は誰にあるでしょう。私は、患者さんであり、クライアントさんであると思います。人々に恩恵をもたらすのであれば、「動作」のコンセプトを取り入れながらも、カイロプラクターとしてサブラクセーションを高い精度で絞り上げてアジャストすることを、私は邪道だとは思っていません。ぶれない軸を保ちつつ、既成概念に捉われ過ぎずにさまざまなツールやコンセプトを柔軟に取り入れることにより、盲点を最小限に留め、人々を効率良く回復へと導く力になりたく思います。

後藤 雅博D.C.(ごとう・まさひろ)
後藤カイロプラクティックオフィス院長(北海道帯広市)1991年、パーマー・カイロプラクティック大学卒業。日本統合医療学会会員。
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