小児カイロプラクティックの臨床 第2回 主訴そしてエッセンス 臼田純子 | カイロジャーナル

  小児カイロプラクティックの臨床 第2回 主訴そしてエッセンス 臼田純子

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小児カイロプラクティックの臨床 第2回 主訴そしてエッセンス 臼田純子


カイロジャーナル83号 (2015.6.28発行)より

多いのは筋骨格系以外の相談
健康増進こそ私たちの目的

みなさん、こんにちは。小児カイロプラクターの臼田です。日頃小児カイロプラクティックについて一番よく聞かれる質問。それは、「どのようなお子さんを施術するのですか?」という質問です。

この質問の背景には、色々な意味が込められていると察します。「小さい子に肩こり腰痛はないだろう」「子供にカイロケアは必要なのだろうか」「赤ちゃん、子供は健康ではないか」。みなさんは、小児、特に乳幼児への施術についてどのようにお考えでしょうか。

実のところ、子供は元気だというフレーズはいつでも誰にでも当てはまる訳ではありません。言葉を話さない乳幼児は痛みや不調について言葉を用いて訴えられないけれども、だからといって痛みや不調がないということにはなりません。免疫システムを獲得中である子供は感染症にもかかりやすいですし、アレルギー、喘息、皮膚炎、花粉症などに苦しむ子供は少なくありません。病院には健康問題を抱えた子供たちが多数います。医学的に診断名のつく“病気”はないけれども、身体の不調に悩まされている子供も少なくないでしょう。

海外の調査によると、小児がカイロを受ける理由として最も多い主訴は筋骨格系の問題ですが、成人のカイロケアと比較すると、小児では筋骨格系以外の訴えの占める割合が高いそうです。また、親はウェルネスケアに対する意識が高いという報告があります。筆者の日々の臨床においては、筋骨格系以外の問題を相談されることが多いです。小児は痛みや不調を訴えられないこともありますが、他の子供との比較や普段の様子との違いから親御さんが問題を訴えることが多いでしょう。発達の遅れ、コリック、向きぐせや頭蓋の変形、自閉傾向、発達障害、学習障害、虚弱体質、繰り返す耳の炎症、便秘、夜尿などを訴えて来院される方、先天性疾患や障害を抱えた方などがいらっしゃいます。そのような健康問題や不調(禁忌症を除く)を抱える子供達に対してカイロが果たす役割は決して小さなものではないと日々の臨床で実感しています。

しかしながら、どのような健康問題でも解決できる訳ではありません。果たしてカイロは小児のヘルスケアにおいてどのように対応できるのでしょうか。筆者はカイロは素晴らしい療法であると思っていますが、何でも治す完全な施術だとは思っていません。カイロは健康に影響を与え得る手段の一つですが、現代医療に取って代わるものではありません。それぞれに役割が異なります。それに加えて、環境、栄養、人間関係、遺伝や体質など多くの要因が健康に影響するからです。

近年ヨーロッパではカイロプラクターが小児の筋骨格系以外の問題を施術することに関して議論されていますが、筆者は小児カイロは筋骨格系以外の医学的な疾患や病気を治すことではなく、健康増進を目的としているという点を強調したいと思います。私たちカイロプラクターは、病気に立ち向かうことではなく、脳や神経の機能を妨げているサブラクセーションを取り除くことによって、クライアントさんの内にある治癒力、発育する力を最大限に引き出し、健康増進させることがミッションです。その結果、抱えている健康問題が改善する可能性があるのです。

小児の場合には保護者が施術を受けるかどうかの判断をしますから、カイロに対する家族の理解と協力も不可欠です。親御さんとのコミュニケーションは重要な鍵となります。問題を判別するために保護者から情報を引き出すとともに、過剰な期待を抱いていないか、真の目的は何かを察した上で、相互共通のゴールを設定することが望ましいでしょう。

日本においては、カイロの認知度が発展途上にあり、ウェルネスケアのためにカイロを受けるというアイデアがまだまだ浸透していないかもしれません。サブラクセーションは症状の有無とイコールではありませんので、サブラクセーションがあれば本来の最適な発達を妨げたり将来何らかの身体の不調や痛みを招くかもしれません。つまり、カイロはサブラクセーションを取り除くことによって将来的な身体の不調を予防する可能性をも大いに秘めているでしょう。このことはカイロの醍醐味ではないかと思います。

カイロのアイデンティティを理解し実践することは、特に小児カイロを行う上で重要な土台であると考えています。誰もが内に秘めている治る力を敬い、常に謙虚にカイロケアに向き合いたいと思っています。

臼田純子(うすだ・じゅんこ)
2006年、RMIT大学日本校(現・TCC)卒業(B.App.Sc/B.C.Sc.)。在学時の授業がきっかけで小児カイロプラクティックへの好奇心が芽生え修学を継続した。
オーストラリアのカイロプラクターで小児カイロプラクティックのパイオニアであるニール・デイビスに師事し、KiroKids 小児カイロプラクティックコースを修了。
2014年12月にイギリスのマックティモニー・カレッジ・オブ・カイロプラクティックの小児カイロプラクティック修士課程修了(MSc.Chiropractic(Paediatrics))。
地元静岡市でヘルシーライフセントラルを開業するほか、RMIT/TCC卒業生で運営するクリニックのリガーレ横浜と新宿で臨床を行っている。
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