小児カイロプラクティックの臨床 第1回 小児カイロプラクティックの安全性 臼田純子 | カイロジャーナル

  小児カイロプラクティックの臨床 第1回 小児カイロプラクティックの安全性 臼田純子

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小児カイロプラクティックの臨床 第1回 小児カイロプラクティックの安全性 臼田純子

 カイロジャーナル82号 (2015.2.23発行)より

小児カイロプラクティックに特化した臨床を続け、昨年末にはイギリスのカイロプラクティック大学の小児カイロプラクティックの修士課程を修了した臼田純子氏による新連載「小児カイロプラクティックの臨床」をスタートします。

ローフォースがが望ましい
正しいケアは良い人生の一助

小児カイロプラクティックの普及

修士課程修了式にて

代替補完医療への注目が高まり、海外の調査では小児カイロプラクティックの利用者数は増加傾向が見られています。1998年にアメリカでカイロプラクターを対象に行われた調査では、クライアント数の11%は小児でした。2010年の調査では、全体の17%を小児が占め、そのうち5歳以下のクライアントは7・7%でした。

小児カイロプラクティックの利用者数が増加する一方で、小児がカイロプラクティックを受けることについて警鐘が鳴らされました。2006年にAAP(American Academy of Pediatrics)は、過去に脊椎マニピュレーションに起因すると思われる副反応が18 歳以下の子供に起きた症例が14例(重篤な副反応9例、中度から軽度の副反応5例)あると報告しました。脊椎マニピュレーションが重篤な副反応をもたらす可能性があることを指摘し、小児が脊椎マニピュレーションを受けることへの懸念を示しました。

しかしながら、その内容を紐解いていくと、報告されている事例の施術者にはカイロプラクターでない者も含まれていました。ICPA(International Pediatric Chiropractic Association)による再調査では、AAPが指摘した14例中10例がカイロプラクティックと関わりのある副反応と考えられましたが、重篤な副反応が起きた例では重篤な基礎疾患や外傷の既往歴がありました。また、これらの文献は1900~2004年までの間に発表された文献であり、かなり古い事例も含まれていました。それまでに報告された脊椎マニピュレーションによる重篤な副反応が、カイロプラクターでない者が行った事例を含めて110年間で10例に満たないということは、小児カイロプラクティックが危険であるということへの根拠として十分ではないでしょう。小児にカイロプラクティックケアを施して重篤な副反応が起こることはまれであり、中度の副反応が起こる可能性は0・53~1%であるとする報告もあります。

小児のクライアントさんの安全を守るためにも、過誤を予防するためにも、施術者があらゆる問題を考慮した上でカイロプラクティックケアが適応かどうかを見極める能力が不可欠です。健康そうに見えても筋骨格系の痛みを訴えていても、小児の場合には小児特有の疾患や健康問題が潜んでいることもあるからです。実際に海外では、未診断の良性腫瘍がある子供にアジャストメントしたことで麻痺が残り、高額な慰謝料を請求される裁判に至った例もあります。症状の原因を判別するためにすべきことがされていなかったのではないか、もっと早く小児科医に紹介すべきだったのではないか、保護者への説明の不足などについて責任を問われているのです。

副反応が報告された例の多くでは、高速低振幅で回旋を加えたテクニックが多く用いられていました。小児の関節は成長過程にあります。体のサイズも大人と違いますので、大人と同様にアジャストすべきではありません。小児へのアジャストメントは強い回旋を伴わないローフォーステクニックが望ましいでしょう。どのテクニックを選択するかということも重要です。

十分な訓練を

カイロプラクティックは薬物のように誰が処方しても同じ質を提供できるアプローチではありません。同じテクニックを用いたとしても、施術者のコンタクト、力加減、施術のスピード、角度などは施術者の技量によって変動し得るので、小児にカイロプラクティックアジャストメントを施すには十分な訓練を受けるべきでしょう。

カイロプラクティックの施術を行ってもよいかどうかの判断は常に怠ってはなりませんが、何歳から何歳までしかカイロプラクティックを受けてはいけない、という制限はありません。日本においては大人になって初めてカイロプラクティックを受ける方が多いと思いますが、様々な症状の原因はそれまでの人生、ライフスタイルの積み重ねを含むでしょう。胎内での環境、出産のプロセス、体質や気質、転倒や外傷、食物、家族関係、友達関係、天候、住環境など。生命を授かった瞬間から実に多くのストレスに私たちは常にさらされています。子供はみんな元気だとは限りません。子供は心も体も発展途上にあり、また入園、入学、進級など環境も変わりやすいものです。普段の臨床では、サブラクセーションがないお子さんはほとんどいません。子供にもサブラクセーションがあるのです。

正しくカイロプラクティックが行われる限り、人生の早い時期にカイロプラクティックを受けサブラクセーションを除去することは健康問題の改善にとどまらず、将来の症状を予防し、より良い人生を送るための一助になるのではないかと私は考えています。

プロフィール
臼田純子(うすだ・じゅんこ)
2006年、RMIT大学日本校(現・TCC)卒業(B.App.Sc/B.C.Sc.)。在学時の授業がきっかけで小児カイロプラクティックへの好奇心が芽生え修学を継続した。
オーストラリアのカイロプラクターで小児カイロプラクティックのパイオニアであるニール・デイビスに師事し、KiroKids 小児カイロプラクティックコースを修了。
2014年12月にイギリスのマックティモニー・カレッジ・オブ・カイロプラクティックの小児カイロプラクティック修士課程修了(MSc.Chiropractic(Paediatrics))。
地元静岡市でヘルシーライフセントラルを開業するほか、RMIT/TCC卒業生で運営するクリニックのリガーレ横浜と新宿で臨床を行っている。

参考文献

  1. Vohra,S et al: Adverse Events Associated With Pediatric Spinal Manipulation: A Systematic Review, PEDIATRICS. 119(1), 2007
  2. Anrig, C.: Chiropractic Is It Safe for Children?. http://www.dynamicchiropractic.com/mpacms/dc/article.php?id=37423
  3. ICPA. Sdverse Effects Associated With Paediatric Spinal Manipulation:A Systematic Review. What Does the Data Really Show?.2007 http://icpa4kids.org/Chiropractic-Research/adverse-events-associated-with-pediatric-spinal-manipulation-a-systematic-review-what-does-the-data-really-show.html
  4. Hewitt, EG: Is Chiropractic Care Safe And Effective For Children? New Studies Suggest Yes. 2013 http://www.acatoday.org/content_css.cfm?CID=5246
  5. Shaw G.: Safety and Effectiveness of Pediatric Chiropractic. http://www.acatoday.org/content_css.cfm?CID=5553
  6. Alcantara, J Ohm, J. et al: The Safety and Effectiveness of Pediatric Chiropractic: A Survey of Chiropractors and Parents in a Practice-based Research Network. http://icpa4kids.com/Safety.pdf
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