第20回 大腿脛骨関節 | カイロジャーナル

  第20回 大腿脛骨関節

カイロプラクティック、オステオパシー、手技療法の最新情報、セミナー案内、関連書籍・DVDの販売

カイロジャーナル TEL.03-3434-4236 〒105-0013 東京都港区浜松町1-2-13江口ビル別館

スポーツ・カイロプラクティック 第20回 大腿脛骨関節2015.08.10

sakakibara22

大腿脛骨関節
カイロジャーナル77号(2013.6.27発行)より

膝関節は大腿骨、脛骨、膝蓋骨の3つの骨によって構成されています。これら3つの骨によって、大腿脛骨関節と膝蓋大腿関節が形成されます。大腿脛骨関節は大腿骨遠位部と脛骨近位部によって、また膝蓋大腿関節は膝蓋骨後面と大腿骨遠位部前面によって形成されています。

大腿脛骨関節では、主に屈曲と伸展の運動が生じます。また、屈曲/伸展に伴い、回旋(内旋/外旋)と内反/外反(内転/外転)の関節副運動も生じています。回旋運動が生じる際、脛骨の内果または外果では、前後方向の滑り運動も発生しており、内反または外反運動が生じる際は、内外方向への滑り運動が生じています(図1)。これらの関節副運動は非常に小さな動きですが、正常な関節にとって非常に重要な運動となります。

図1 大腿脛骨関節の運動

屈曲/伸展

脛骨が固定された状態で大腿骨が屈曲する場合(閉鎖性運動連鎖)、脛骨顆上を大腿骨顆部が後方に回転します。しかし、大腿骨顆部の後方回転のみが生じた場合、膝関節後部においてインピンジメントが発生するか、もしくは大腿骨の後方脱臼が起こってしまいます。大腿骨の後方脱臼が起こることなく膝関節が屈曲するためには、大腿骨顆の前方への滑り運動が不可欠となります(図2a)。屈曲の初動時には、大腿骨顆ではほぼ後方回転のみが発生していますが、その後、前方滑りの運動比率が高まっていくことで、大腿骨顆の前方への動きはほとんどなくなり、その場でスピンをしている状態になります。伸展では全く逆の運動が起こります(図2b)。伸展の初動時には、主に大腿骨顆の前方回転が発生しますが、伸展がさらに進むと後方滑りが起こり始めます。その後、大腿骨顆の後方への動きはなくなり、屈曲と同様、スピンをしている状態になります。以上は脛骨が固定された状態での関節の運動ですが、逆に大腿骨が固定され脛骨側が運動を起こす場合(開放性運動連鎖)、以下のようになります。大腿脛骨関節の屈曲に伴い、脛骨は大腿骨顆上を後方回転、後方滑りしています(図3a)。伸展では、脛骨は大腿骨顆上を前方回転、前方滑りしています(図3b)。

図2a 膝関節屈曲(脛骨固定)に伴う大腿骨顆の運動

図2b 膝関節伸展(脛骨固定)に伴う大腿骨顆の運動

図3a 膝関節屈曲(大腿骨固定)に伴う脛骨顆の運動

図3b 膝関節伸展(大腿骨固定)に伴う脛骨顆の運動

内旋/外旋

膝関節では屈曲/伸展に伴い、軸回旋運動も生じています。この時の運動軸は、脛骨の内側顆間結節近辺であると考えられています。1従って、脛骨内側顆を中心にして脛骨外側顆が大腿骨顆上で弧を描くように運動することになります(図4)。膝関節が屈曲する時、脛骨内側顆ではわずかな前方滑りが生じています。それと同時に、脛骨外側顆では、前方への回旋が生じています。また、膝関節が伸展する時は、脛骨では全く反対方向への運動が生じます(表1)。

このように脛骨内側顆が運動軸となるのは、脛骨内側顆は外側顆に比べ、関節面の隆起領域の面積が大きいことに起因しています。そのため、脛骨内側顆を中心に弧を描くように脛骨外側顆が運動する。

図4 膝関節の屈曲/伸展に伴う脛骨の回旋(外旋/内旋)運動(右脛骨の断面図)
表1 膝関節屈曲/伸展に伴う脛骨の運動
脛骨 脛骨内側顆 脛骨外側顆
屈曲 内旋 後方滑り 前方回旋
伸展 外旋 前方滑り 後方回旋

内反/外反

膝関節が完全伸展位の時、脛骨には約8°の内反/外反の可動域があります。また、膝関節が20°の時、この値は約13°になります。2この可動域の制限要素は、十字靭帯と側副靱帯です。また膝関節を交差している筋肉も内反/外反の制限要素になります(図5)。3

図5 内反/外反の制限要素

スクリューホームメカニズム

膝関節の伸展に伴い、脛骨では外旋が発生します。この脛骨の外旋運動は、伸展の最後の30°で発生するため終末強制回旋運動とも呼ばれています。伸展の最終30°において、脛骨外側顆が後方へと回旋していきます。ある程度まで後方回旋すると、止まりますが、これは脛骨内側顆よりも先に起こります。脛骨外側顆が止まった後、内側顆の前方滑りが起こり始め、完全伸展位においてこの運動も止まります(図6)。以上は膝関節が非荷重位(開放性運動連鎖)の時のメカニズムですが、荷重位の時は大腿骨の内旋が起こります。

図6 膝関節伸展の最終30°における脛骨顆の運動

膝関節完全伸展位から屈曲が起こる時、脛骨の内旋が自動的に発生します。この時、脛骨内側顆では後方滑りが生じています。後方滑りが終了直後、脛骨外側顆の前方回旋が開始され、さらに脛骨の内旋が継続します。

参考文献
  1. Iwaki H, Pinskerova V, Freeman MA: Tibiofemoral movement 1: The shapes and relative movements of the femur and tibia in the unloaded cadaver knee.. J Bone and joint Surg Br 82:1189-1195,2000
  2. Markolf KL, Bargar WL, Shoemaker SC, et al.: The role of joint load in knee stability.. J Bone Joint Surg Am 63:570-585,1981
  3. Zhang LQ, Xu D, Wang G, et al.: Muscle strengh in knee varus and valgus.. Med Sci Sports Exerc 33:1194-1199,2001

榊原直樹, DC, DACBSP®, ICSSD, CSCS
Cleveland Chiropractic College卒

スポーツ医学&カイロプラクティック研究所

ブログ:スポーツドクターSのざっくばらん
スポーツ・カイロプラクティック学位(DACBSP)
facebook公式ページへのリンク

長期連載中の記事

過去の連載記事