その症状 食生活に原因? 【中】 目崎勝一 | カイロジャーナル

  その症状 食生活に原因? 【中】 目崎勝一

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その症状 食生活に原因? 【中】 目崎勝一


カイロジャーナル83号 (2015.6.28発行)より


目崎カイロプラクティック治療室院長 目崎勝一

コーヒーの飲みすぎは骨を弱くするかもしれない
カフェインがカルシウム吸収を阻害

 

前号に引き続き、食生活が原因で骨のカルシウム分が減少し、それが原因で症状が出ている症例を紹介しようと思います。今回は私自身の体に起こった経験からです

股関節痛症状

普段あぐらをかかないため気がつくのが遅くなり、いつからそうなったか分らないのですが、あぐらをかくと右股関節部が痛く、その姿勢を続けることができないことに気がつきました。患部でカルシウム不足を示唆する骨棒によるTLが陽性になる以外に問題はみつかりませんでした。カルシウムを意識して摂っていたのに、なぜ陽性になるのか、原因をあれこれ探したのですが、これといった原因が見つかりませんでした。そうした折、妹が読んでいた綿貫 陽とマーク・ピーターセン共著『実践ロイヤル英文法』のmayの用法の例文にToo much coffee may weaken bones.という文章がありました。さっそくコーヒーを患部にTLして弱くなるか試してみました。1杯分では大丈夫、2杯分では陽性となりました。1杯分で検査していたため、コーヒーを飲み続けてしまいました。当時ブレンディーのドリップコーヒーに凝っていて、毎日3~4杯飲んでいました。その日からコーヒーを飲むのを止めていると、1週間、2週間するうちに症状が軽減し、あぐらをかけるようになってきました。カルシウムを多く摂っても、カフェインの利尿作用により排泄され、カルシウムを効率よく吸収できなかったようです。コーヒー好きなものですから、今は時々1日に一杯だけ飲むようにしています。

文献情報

英文法の本にあったToo much coffee may weaken bones.をYAHOOで検索すると、Prevent DiseaseというサイトにToo much caffeine may weaken bones.というタイトルが出てきました。そこには月刊のAmerican Journal of Clinical Nutrition(アメリカ臨床栄養学誌)の以下のような記事が掲載されていました。

「毎日300ミリグラム(6オンスカップ3杯のアメリカンコーヒー)以上のカフェインを消費する更年期の婦人は、少ししか消費していない婦人より骨のミネラル密度が非常に低かった」とありました。さらに、執筆者のDr.J.C.ギャラガーは「コーヒーについてだけ言っているのではなく、お茶、ソーダ、チョコレート等の全てのカフェインについて述べていることが重要である。全ての量がある限度を超えると、骨喪失のリスクが増大する。……我々は3年間にわたり500人の婦人を観察し、カフェインと骨喪失の間に客観性のある確かな関係があることをみつけた。……ビタミンDにはカルシウムの吸収を促し、腎臓にカルシウムの保持を指示する働きがあるが、特殊な腸のビタミンD受容体を有する婦人は、そうでない婦人に比べてカフェインを摂ると数倍骨喪失が起こる」とありました。

考察

M.F.ホリック/B.ドーソン・ヒューズ著『骨の健康と栄養科学大辞典』(西村書店)では、コーヒーの飲用と骨密度の関係について、「カフェインの摂取量が多く、カルシウムの摂取量が極めて少ない条件においてのみ、カフェインと骨密度との間に負の関連が示唆される」とありましたが、日々の臨床の中で、意識してカルシウムを摂取している患者さんでも同様な現象が起こりましたので、Dr.ギャラガーの調査結果に共感します。ただ、どちらの説明にもカフェインがカルシウムの吸収を妨げるメカニズムに関する記述はありませんでした。

骨喪失の原因には、喫煙、加齢、アルコール、カルシウム不足、甲状腺や副甲状腺の異常等があります。一般に加齢とともに、食欲が減退しカルシウムの摂取量が減り、腸内のビタミンD受容体の数も減っていくため、カルシウムを吸収しにくい体質になっていきます。そこに何らかの要因が加わることによって、病的な骨密度の低下が生じると考えられます。要するに、カルシウムとビタミンDが不足し血中のカルシウム量が低下すると、副甲状腺機能が高まり、骨吸収が亢進し、それが原因で関節痛を感じるようになり、骨折のリスクが増大するのです。

したがって、その治療としては、まずカルシウムを各々の患者さんに適応する食品または錠剤から十分に摂取してもらい、ビタミンDを日光浴とそれを豊富に含む魚類、卵、キクラゲ等の食品から日々補充してもらうことが必要条件です。その上で、カルシウムの吸収を妨げる可能性があるなら、前回紹介した大豆、今回のカフェインの摂取を制限してもらわなければなりません。今回の記事は閉経後の婦人に焦点を合わせたものになりましたが、女性ホルモンのエストロゲンだけでなく男性ホルモンのテストステロンもまた骨代謝の調節に係わっていることから、男性にも当てはまるはずです。

私は前回紹介した大豆で陽性になりますので、好物の豆腐、納豆を制限し、今回のコーヒー、お茶類も制限しています。サブラクセイションが見つからず、患部で骨棒TL陽性になる患者さんがいましたら、前回の大豆とともにコーヒーとお茶類を試してみてください。
(次回は骨と海藻に関係がある症例を紹介しようと思います。) 

目崎勝一 めさき・かついち
目崎カイロプラクティック治療室院長。著書『臨床カイロプラクティック』(科学新聞社刊)、訳書『頭蓋仙骨治療Ⅰ、Ⅱ』(ジョン・アプレジャー著、スカイイースト刊)他。1982 年に開業し、サブラクセイションの除去と食養を柱とした治療を行っている。
著者ホームページ http://www13.plala.or.jp/mezaki-chiro/ では、臨床に関連する生活習慣や食養に関する情報を掲載している。
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