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  国際スポーツカイロプラクティック連盟 伊佐和敏DCに聞く

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国際スポーツカイロプラクティック連盟 伊佐和敏DCに聞く

2020年の東京オリンピック開催が決定し、スポーツカイロプラクティックへの関心が高まっている。日本スポーツカイロプラクティック連盟(JFOCS)は、国際スポーツカイロプラクティック連盟(FICS)のスポーツカイロの認定資格プログラムであるICCSP講座を開講した。FICSのアジア代表で、JFOCSの副会長でもある伊佐和敏DCにスポーツカイロを巡る状況をお伺いした。

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スポーツ大会への派遣

――スポーツカイロプラクターとしてご活躍ですが、最近参加した大きなスポーツ大会は何ですか?

去年8月にコロンビアのカリで行われたワールドゲームズと台湾の高雄で行われたワールドダンス・スポーツゲームズに行ってきました。FICSとJFOCSの役員なので、FICSの世界会議に出席するのには出張費が出ますが、帯同のときは全くの自腹で、コロンビアまでの交通費など負担は大きかったです。また、FICSが国際ワールドゲームズ協会と契約を結んでカイロプラクターを派遣しており、各会場、全スポーツに対してカイロプラクターが配置されることになっているのですが、当日までホテルが決まってなかったり、高雄のときもホテルや会場に着いてチェックインしようとしたら自分の名前が名簿になかったりして、「あんた誰?」のような対応もこれまで何度かありました。それでも世界トップレベルの選手が競う大会でカイロ・ケアができたことは大きな喜びでした。

――基本ボランティアなんですね。自腹で行くのは大変ですが、カリのワールドゲームズにカイロプラクターとして参加したいという人はたくさんいたのでしょうか?

大きな大会にカイロプラクターとして参加したいと思っている人は結構いると思います。FICSには帯同委員会があって、参加申し込みをしたカイロプラクターの経験や実績をすべて点数化し、点数の高い人から順々に採用していきます。自分もその委員なので、採点も行いました。すべて匿名で進められるので誰の採点をしているのかはわかりませんし、自分が採用された中で何番目かということもわかりませんが、とてもレベルの高い実績を持った人が多かったです。実際に会場で会ってもみんなすごい人たちでした。アメリカのメディカルチームの一員として帯同した経験のある人もいました。

オリンピックの場合は…

――FICSで帯同カイロプラクターとして選ばれるにはかなりのハードルがあるのですね。ロンドン・オリンピックのとき、公認のカイロ・ケアは、イギリスのカイロプラクターが独占的に行ったと聞いています。これはワールドゲームズで行われているFICSによるカイロプラクターの採用とは違う選考方法だったということですか?

ロンドン・オリンピックではイギリス・カイロ協会所属のカイロプラクターが独占的にカイロ・ケアを提供して、FICSの選考はありませんでした。FICSは国際オリンピック委員会(IOC)とカイロプラクター派遣の契約を結んでいないのです。IOCや国際サッカー連盟(FIFA)など、最も大きなスポーツ競技大会の国際事務局と契約を結ぶことはFICSの大きな目標ですが、まだ達成できていません。現在までに契約を結んでいるのは、ワールドゲームズのほか、国際柔術連盟、国際綱引き連盟など約15団体です。

僕も詳しい経緯は知らないのですが、ロンドンでは、イギリス政府やイギリス・カイロ協会がIOCや自国のオリンピック委員会と話をつけて、公式に自国カイロプラクターがケアを提供することを実現しました。ここにFICSはほとんど絡んでいません。

またFICSが前回関わったパンアメリカン競技会の場合でも、来年カナダのトロントで開かれる大会では、自国のスポーツカイロプラクターのみがカイロ・ケアに入ることが決まっていて、FICSが世界から募集することはありません。開催国の運営組織の意向が優先されるからです。

――では東京オリンピックの場合も、IOCや日本オリンピック委員会(JOC)と合意の上で、日本のカイロプラクターによる公式のカイロ・ケアが実現するかもしれませんね!

理想ですよね。実際JFOCSはそれを視野に入れていると思います。しかしイギリスの場合は、法制化されているから実現しやすかったと思います。日本の現状は、医師、理学療法士、柔道整復師、日本体育協会のアスレチック・トレーナー資格などがそれぞれの立場からいろいろな主張をするでしょう。東京オリンピックの場合は、よっぽどの奇跡でも起こらない限り難しいんじゃないかと思います。

――2014年冬のソチのとき、そして2016年夏のブラジル・リオの開催のために、FICSはどのような具体的な動きをし、現在しているのでしょうか?

先ほども言った通り、IOCとはまだ契約関係にないので、ソチでは大会本部公認のカイロ・ケアはありませんでしたが、自国の競技チームに帯同して行ったカイロプラクターたちはもちろんいました。

リオ・オリンピックについては、南米代表のブラジル人の方は比較的希望があると予想しているようです。ロンドンのときにはFICS役員がIOCのメディカル委員と私的に親しいので上手くいった面があるので、今回も同様にいくように頑張ってくれています。また、この前行ってきたコロンビアで感じたことですが、医師とカイロプラクターがお互いに必要に応じて患者を紹介し合う、とても良い関係が保てていました。南米ではそういった傾向が強いようなので効を奏するかもしれません。

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スポーツカイロ発展に必要なこと

――東京オリンピックでカイロが活躍するために、今からできることとしてどんなことがあると考えますか?

マイナー競技のチームに入ってカイロ・ケアを提供していくことだと思います。これは実際にオリンピックに帯同した医師から経験したことを聞いたのですが、スポーツによっては決勝戦が行われる前に医師が帰ってきたというんですよ。また、どうでもいいようなことですが、競技によっては、帯同した人たちもバックやその他いろいろな公式グッズをもらえるんですけど、マイナーな競技になるとTシャツしかもらえなかったとか(笑)。マイナー競技は財政面で苦しくて、選手にも十分なサービスが行き届いていない面がいろいろあると思います。

だから資金が潤沢で既にスポーツ障害のケアがいろいろ行われている競技ではなくて、マイナー競技のローカルチーム、ローカル試合からサポートしていくことではないかと思います。そうすれば、段々と上のレベルの試合に呼んでもらえるようになって、道が開けてくるのではないかと思います。

――スポーツカイロプラクターとしての実績を積んでいくことが何よりも大事なんですね!
JFOCSが、スポーツカイロの国際資格であるICCSP(国際スポーツカイロ・プロフェッショナル認定)の講座を今年から開始しています。ICCSPの取得が、国際的にスポーツカイロプラクターとして活躍するためのパスポートなんでしょうか?

そうですね、まさにパスポートであってチケットではありません。FICSが募集して派遣する大会では、間違ってケガでもさせてしまったら世界のカイロの評判に大きく関わるので選考があります。最低2年間臨床活動していることと、どんな国内、国際レベルの大会でボランティアを行ってきたか、教育・研究活動、学位などを点数化し、それに英語力も加味して選考されます。だからICCSPを取ったからすぐに国際的な場に行けるということではありません。

スポーツカイロプラクターとしての実績

――伊佐さんのカイロプラクターとしてのこれまでの活動を教えてください。

2007年秋に帰国して、マードック大学日本校で1年半ぐらい非常勤講師として教え、学校付属のクリニックで働きました。その後マードックが移転したときに退職し、自分で臨床を始めました。

僕のスポーツカイロの定義は「現場で選手を診る」です。自分のオフィスだけでなく、多くの場合ボランティアになるけれどもチームに帯同して競技会に行く人です。実際の状況を考えても、ある日オフィスにスポーツ選手が来て「治療してください」というのはまれで、自分から行かないことには始まりません。

スポーツチームでのケアもボランティアで行いました。自分がかつて水泳をやっていた縁で、東京都の水泳協会の先生から都の国体水泳競泳チームをケアしてくれないかと声をかけていただき、今年で5年目になります。そのほかには、早稲田の相撲部をケアしている山地梨映子DCの紹介で、トレーナー的な仕事をしています。

つい最近まではゴルフの練習場でカイロの施術とトレーニングを組み合わせたケアをしていましたが、現在はたたんで自宅の一室をカイロオフィスとしています。今後はもっとスポーツ施設の中でやりたいという希望があって、そのような環境を探したいと思っています。

――治療では主にどんなテクニックを使っていますか。

アジャストはディバーシファイドで行っています。軟部組織テクニックとしてグラストン・テクニック等を使っています。アスリートはその場での変化を求められるので、軟部組織を直接治療する方法はとても大事だと思っています。

FICSアジア代表として

――FICSのアジア代表にはどのような経緯で決まったのですか?

2012年にシンガポールのロバート・ワッサーマンDCが任期途中で辞任することになり、その後任に、WFC事務局長のチャップマンスミス氏とFICS役員のブライアン・ヌック氏が、日本から選びたいということで僕を推薦しました。NATA公認アスレチック・トレーナー、米国公認スポーツカイロプラクターなどの一通りの資格を持っていたことと、自分が業界団体のどこにも所属しておらず、しがらみがないというのも理由かもしれません。一応の任期は2016年までです。

――アジア代表を日本から選びたいという意向があったのですか?

他のアジア諸国では、法制化されていないだけではなく、カイロ業を行うと捕まるなどの理由でカイロの発展が阻害されているところもあります。JFOCSにはメンバーが当時でも20人ぐらいいて、アジアで一番大きかったのです。というか、アジアで今FICS加盟団体があるのは、台湾と日本だけです。以前はマレーシア、シンガポール、フィリピンに加盟団体がありましたけど。

――そうなんですか。法制化されている香港はどうですか?

最近興味を持ち始めていて、今後加入すると思います。FICSのアジア代表役員として期待されていることは主に二つで、一つがアジアの加盟国を増やすことです。もう一つはICCSPの有資格者を増やして、質の高いスポーツカイロを普及していくことです。FICS加盟団体のメンバーは基本、ICCSP有資格者なので、それがFICS加盟国を増やすことにもつながります。

――ICCSPコースが今年から日本で開講していますし、今後の発展が楽しみですね。

FICSのポリシーとしてよく言われるのが「FICSは上から、各国団体は下から」ということです。FICSはIOCなどの国際スポーツ団体に対して上から働きかけ、JFOCSなどの国の団体は、地域のスポーツ団体などへの応援で下から働きかけていこう、というものです。日本ではまだこの「下から」が弱いと思います。

――日本のカイロ界では今後スポーツカイロへの関心が高まっていくと思います。伊佐さんにはFICSアジア代表としてのご活躍を期待するとともに、海外動向もお知らせいただけたらと思います。今後ともよろしくお願いいたします。
伊佐和敏DC
プロフィール
イサ・スポーツ・カイロプラクティック(I.S.C.)(千葉県)院長。FICSアジア代表。JFOCS副会長。
千葉商科大学高等学校卒業後渡米。カリフォルニア州立大学ノースリッジ校アスレチック・トレーニング学科卒業。クリーブランド・カイロプラクティック大学LA校卒業。
資格:カリフォルニア州開業免許、NATA公認アスレチック・トレーナー、米国公認スポーツカイロプラクター、・国際カイロプラクティックスポーツ科学課程終了。
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