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Beyond Manipulation <第11回>アミノ酸とマニュピレーションを考える2014.08.30

カイロジャーナル80号 (2014.6.22発行)より

リジン欠乏で靱帯強度低下か? 患者の皮膚の状態もヒントに

タンパク質は、様々なアミノ酸で構成されている。人間の体を構成するアミノ酸は、20種類といわれている。このうち、9種類は必須アミノ酸といわれ体内では合成できないアミノ酸であり、食物からの摂取が不可欠なものである。これらは、バリン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン(スレオニン)、ヒスチジン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファンである。これらの中で、マニピュレーションに関わると考えられるものはリジンである

靭帯の組成は、水分64 %、残りの36%はⅠ型コラーゲン、III型コラーゲン、その他、工ラステン、プロテオグリカンである。水分以外での主な構成物質はⅠ型コラーゲンである。Ⅰ型コラーゲンのアミノ酸組成は、グリシン、プロリンとヒドロキシプロリン、アラニン、ヒドロキシリジンである。ヒドロキシプロリンとなり、コラーゲンの3本のペプチド鎖(トリプルヘリックス)の間の水素結合を形成し、コラーゲンの構造を安定化させる。また、リジンが水酸化されたヒドロキシリジンは分子間の架橋を形成して、コラーゲンの強い線維構造をつくる。このうち、プロリンは体内で合成できるアミノ酸であるが、リジンは必須アミノ酸に含まれる。このため、食物からの摂取が必要になる。

もしも、リジンの摂取量が低下した場合、これは必須アミノ酸をバランスよく摂取する必要があるが、コラーゲンの強い線維性構造は保持されるのであろうか?

仮説ではあるが、加齢により、消化機能が低下することは知られているが、タンパク質の消化機能も低下する可能性も否定できない。タンパク質消化機能が低下することで必須アミノ酸をバランスよく摂取することはさらに難しくなると考えられる。それでは靭帯の主な構成物質であるコラーゲン、そのコラーゲン線維の強度に関わるヒドロキシリジン、その前駆物質であるリジンは欠乏しないのであろうか? リジンが欠乏する場合、靭帯強度に影響し、その強度を低下させる可能性があるのではないだろうか? このような状態が起これば、関節構造の退行性変性である骨棘形成や関節炎などに発展する可能性も考えられる。

このため、臨床においてマニピュレーションを加える場合、タンパク質の消化吸収機能低下を持つ高齢患者、あるいは胃、膵臓、肝臓、小腸の機能の障害を持つ患者もまた関節へのマニピュレーションは過剰な力、けん引力、ストレッチを加えないように注意すべきではないだろうか? このように考えると、筋骨格系の問題であっても、患者の身体状態を把握することが重要になるのではないであろうか?

リジンは皮膚の保湿やハリを与えるといわれていることからも、皮膚の状態にも影響する。このため、患者の皮膚の状態を観察することも、1つのヒントになる。皮膚のしわが多い患者、乾燥している患者には、リジンの欠乏によるコラーゲン線維の脆弱化が存在する可能性も考慮するべきである(皮膚の乾燥は単なる脱水状態のケースもあることに注意)。これは単なる視診からの情報である。何を考えて視診を行うのか? それが重要だと自分自身でも痛感させられる。

靭帯脆弱化、フィクセーション、筋膜短縮、頭蓋障害、末梢神経障害、その他結合組織の硬化による栄養学的なアプローチは、9種類の必須アミノ酸をバランスよく摂取すること、さらにコラーゲン合成に必要なビタミンC、鉄分、水分の摂取と考えられる。

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