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痛み学NOTE <第36回>「嘘つき」の痛み (もどき病)2013.07.28

ジャーナル77号(2013年6月27日発行)より

ニューメキシコ州に筋・筋膜専門のリハビリテーション・センター・「MyoRehab」があり、そこのWebサイト(http://www.myorehab.net/)にはMPSに関する情報が満載されている。
その中で「偉大なる詐欺師:The Great Imposter」の筋肉のことが紹介されている。いわゆる「嘘つき」の筋肉のことで、類似の症状を出して、その病態に成り済ましている。あたかも「もどき病」を演出する。そこでは4つの代表的な詐欺師の筋肉に触れている(図)。


代表的な詐欺師の筋肉

図 代表的な詐欺師の筋肉(A=小殿筋、B=大胸筋、C=腹直筋下部、D=僧帽筋上部

ひとつは「小殿筋」である。これは坐骨神経痛症状を呈すが、実は小殿筋にあるTrPが坐骨神経痛に成り済ましている、というわけである。また、大胸筋にできたTrPは、心臓疾患を思わせる痛みを左胸部から腕につくる。それに腹直筋下部のTrPは虫垂炎を、僧帽筋上部のTrPは偏頭痛に成り済まして患者や医師、治療家をも困惑させる。

こうした嘘つきの痛みは、徒手治療の臨床現場でもよく見られ、関連痛と呼ばれている。痛み症状の部位が必ずしも原発部位ではなく、障害部位から離れていて、実際は健常な部位に関連して起こる痛みである。痛みは嘘をつくことがあるから厄介なことになる。

さて、先にも紹介したが、心臓疾患由来の関連痛であるかのように振る舞うが、実際は大胸筋TrPからの関連痛であった筋筋膜由来の病態であったということがよくみられる。同じような痛みがつくられるために、本当の病態は心臓にあるのか、それともTrPにあるのか、その見極めが肝要になる。

要するに、関連痛は身体深部組織である内臓あるいは筋肉や関節の障害などによって起こるとされているのだが、これらが同じメカニズムで起こっているというわけにはいかないようである。なぜなら、関連痛のマッピングはデルマトームなどのパターン通りではなく、痛みも皮膚表面痛であったり、より深部であったり、痛覚過敏が有ったり無かったり、様々であるからだ。

これらの機序は明らかなのだろうか。いや、必ずしもそうとは言えない。だからこそ紛らわしい痛みである。


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