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痛み学NOTE <第33回>頻発する「こむら返り」2013.02.20

カイロジャーナル76号 (2013.02.20発行)より

通称「こむら返り」と称される痛みは、「有痛性痙攣:cramp」の病態である。痙攣とともに強烈な痛みが起こり、ほとんどは一過性に終わる。「こむらがえり」とは方言由来の言葉である。多くは腓(こむら=腓腹筋)に起こることから通称されるようなったようだ。要するに、骨格筋に起こる筋痙攣である。局所の筋線維が膨隆して強烈に痛み、しばし動けなくなる。何らかの機械的刺激が筋線維の一部を強く収縮させた結果であり、大抵は一側性に発症する。

一般的には運動や過酷な労働によって、関節部や筋肉が酷使された時などによく起こる。睡眠中に起こることもあるが、これも原因は神経ではなく筋肉由来のものとされている。下位運動ニューロンの終末部における自発性興奮が引き金となって、痙攣痛が起こるのである。大量に汗をかいた後、下痢症状後や利尿剤の服用あるいは透析などによる脱水、体液の急激な喪出によっても誘発されることがあり、これはカルシウムとMマグネシウムの電解質代謝異常に起因するとも言われている。

それでも健常な人にも起こるので、明確には原因を特定できない痛みを伴った筋痙攣である。一過性で深刻なものではないのだが、それが頻発するようになると重篤な問題が潜んでいることもあり、鑑別による除外が肝要とされる。頻発する場合には心しておかなければならない痛みでもある。

例えば下位運動ニューロンの障害としては、筋委縮性脊索硬化症、多発性ニューロパシー、陳旧性ポリオ、ラジクロパシーなどが挙げられる。これらは大きな筋肉の線維束攣縮(fasciculation)で、運動に関連した中間の痙攣である筋性防御によるものとみられている。代謝障害によるものでは、妊娠、尿毒症、甲状腺機能低下症、副腎機能低下症腎不全、下肢静脈瘤などが挙げられている。

こんな患者さんがみえたことがある。数年前からの慢性的な腰痛があって、椎間板ヘルニアと診断されている。牽引と鎮痛薬、湿布剤を処方されていたが、今度は首の具合が悪くなった。いつもの整形外科医院で診察を受け、レントゲンで頚椎の老化を指摘された。いつもの処方に加えて筋緩和剤が処方された。2年前からは、内科医に尿酸値を抑える処方も受けている。老後のゴルフを何よりの楽しみにしていて、多少の腰痛があってもゴルフを楽しんでいた。ところが、頸の痛みが出た2カ月前から、ゴルフもできなくなって悪化する一方だった。

両腕と両大腿前部の痛みで動作痛がある。寛解因子は安静位である。運動の始動が増悪因子で、立ち上がり動作、 寝返り動作、歩行など、どうしても緩慢な動きがみられる。動き始めると、どうにか動けるが、痛みが無くなるわけではない。特に、両腕、両大腿前部と両側性 に対称性の痛みを訴えている。

この患者さんは最初の治療直後の結果でも2度目の来院でも、思ったような改善は見られなかった。そこで「こむら返りは起きない?」と聞くと、「たびたび起こる」と言うので生化学検査を勧めることにした。紹介した神経内科で50項目の生化学検査を行ったところ、19項目に陽性所見があった。特に重要な検査所見はCRP値で、正常値の10倍高かった。神経内科医の診断は「リウマチ性筋炎」である。

さて、この患者さんの頻発する「こむら返り」は何だろう。おそらく、筋炎や代謝障害による線維束攣縮(fasciculation)に関連した中間の痙攣で、筋性防御が働いていたものではないかと推測できる。こうした「こむら返り」の所見から、病態を推測できることもあるのだ。


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