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カイロジャーナル76号

  • 国センが報告書 「手技による医業類似行為の危害」 相談件数年々微増
  • 論壇 カイロに辛口? 危険な印象一人歩き 相談件数は少なめなのに
  • カイロのすばらしさ伝える映画「ドクタード」、DVD発売へ
  • ライフ大学創設者、シッド・ウイリアムズDC死去


国民生活センター手技による医業類似行為の危害まとめる

独立行政法人国民生活センター(消費者庁所管)は昨年8月、「手技による医業類似行為の危害―整体、カイロプラクティック、マッサージ等で重症事例もー」と題する報告書をまとめ発表した。同センターが手技療法の健康被害に関する報告書を発表したのは初めて。一般の人が読めるようにインターネット上で公開しているほか、厚生労働省、消費者庁への情報提供、関係団体へ要望提出も行った。

国民生活センターは手技による医業類似行為として、法的な資格制度があるあん摩マッサージ指圧、柔道整復と、法的な資格制度がない整体、カイロプラクティック等があると位置づけた。その上で、危害のあった相談内容を調査分析した。
手技療法による健康被害の相談件数は、2007年からの5年間で825件あり、これは健康被害の相談件数としては多い方だという。また、相談件数は年々増加傾向にある。

相談多いマッサージ治療

相談件数の多かった施術は、マッサージ281件(34%)、整体240件(29%)、接骨院での施術112件(14%)、カイロ110件(13%)の順だった。内容はすべて相談者が寄せた情報に含まれる語句で分類されたので、実際の施術内容を特定するのは難しく、マッサージの中には、有資格者、無資格者の施術が含まれるし、接骨院の施術には、マッサージ的なもの、カイロ的なものが含まれていると考えられる。

健康被害の程度は、8割の人が危害発生後に医療機関を受診しており、そのうち3割が治療に3週間以上かかっていた。危害部位は、腰と首が全体の4割で、次に多いのが、胸部、背部、下肢であった。

手技による健康被害の問題点を次の4つにまとめられた。

  1. 825件の相談のうち4割は整体、カイロなどの法的な資格制度がない施術の相談で、資格制度のある施術の相談に比べて多い。
  2. 消費者が施術者を選ぶ際に、施術者が国家資格を有しているかどうかを見分けることが困難である。
  3. 危害が発生した場合、因果関係を明らかにすることが困難なケースも多く、解決が難しい。
  4. 法律上問題があると思われる広告や消費者に誤認や過度な期待を与えるおそれがある広告が見られる。

事前に情報収集を

これに基づいた消費者へのアドバイスとして、

  1. 事前に情報収集を行い、症状や希望にあった施術を選択すること
  2. 疾病を持つ場合は事前に医師の診断やアドバイスを受けるとよい
  3. 重い身体症状が発生した場合、長期間改善されない場合は、医療機関を受診するとよい
  4. 危害トラブルが発生した場合は消費者センターに情報を提供する

の4つを挙げている。

関係機関への要望として、鍼灸、マッサージ、柔道整復などの有資格者団体に対しては、健康被害が発生しないように務め、発生したときは医療機関の受診などの適切な対応を取ること。また資格制度のない施術を行う場合でも一定以上の安全性が担保されるように指導することを求めた。

資格制度のない関係機関としては唯一、日本カイロプラクターズ協会(JAC)が選ばれ、安全確保のためのガイドライン等を作成することが要望として伝えられた。
また、行政への要望としては、消費者庁に対し、国家資格者に対する安全指導と、資格制度のない施術に対する判例に基づく指導、適正な広告、表示についての注意喚起、法的資格制度の有無を容易に見分けられるように対策を講じることを求めた。
報告書の原文はこちらで観閲することができる。


国民生活センター「医業類似行為の危害」報告 – カイロには辛口?

独立行政法人国民生活センターが初めて、手技療法を医業類似行為という法律用語でくくり、健康被害に関する報告書をまとめ発表した。手技療法の相談は、同センターに寄せられる健康被害相談の中で比較的多く、また増加傾向にあるので、今回の調査報告がまとめられたという。

■カイロはどれだけ危険?

カイロ側の立場で一読した感想は「実際よりカイロが危険に見えるのでは?」というものだった。まず、そのタイトルが「手技による医業類似行為の危害 ―整体、カイロプラクティック、マッサージ等で重症例もー」である。件数を見ると、マッサージ(34%)、整体(29%)、接骨院での施術(14%)、カイロ(13%)の順であり、どの施術で重傷度が高いという分析もないので、単純に考えれば副題は「マッサージ、整体、接骨院での施術等で重症例もー」となるのではないか。

危害相談の事例として、9例が挙げられているが、ここにもカイロの事例は1件のみ。他はマッサージ5件、整体2件、接骨院1件である。
実際に副題について同センターに質問してみたが、「副題と件数に特別な相関関係はない」「危害相談事例は様々な要素を含んだものをピックアップしたらそのような割合になった。実際の件数との相関はない」とのことだった。また、マッサージの項目には有資格者と無資格者のマッサージが混在し、接骨院での施術にも、いろいろな施術が含まれるために、単一の施術としては、単純相談件数が多いとは言えないとのことだった。

タイトルというものはとかく一人歩きするものだ。件数と副題に相関関係がないと普通思うだろうか。「整体、カイロ。やっぱりね」と一般の人がとらえてしまわないかと心配である。

■脊椎の捻挫は「神経・脊髄損傷」

危害内容の種類は、「神経・脊髄の損傷」が最も多く22%。次いで骨折10%、擦過傷・捻挫・打撲傷10%である。「神経・脊髄の損傷がこれほど多いとは何と重症が多いことか」との印象を受けるが、この中には頸椎、胸椎、腰椎の骨折と捻挫が含まれる。同センターでは、40年来、背骨の捻挫を神経・脊髄の損傷に分類しており、今後もこの集計方法を採用するそうである。

カイロの治療事故の可能性として多いのは脊椎の捻挫、挫傷である。それらが脊髄損傷と同じカテゴリーに分類されてしまうと、カイロの治療事故は重症度が高いとの印象が持たれてしまうだろう。

■求められるガイドライン作成

この報告書は、手技療法に関する数少ない公的文書である。そこに書かれた一般の人へのアドバイスや関係機関への要望は、治療家も真摯にとらえて今後の課題とすべきであろう。

今回、法的資格制度がない手技の関係機関への要望として、安全のためのガイドライン等を作成すべきと提言された。「関係機関」として要望申し入れの対象となったのは、日本カイロプラクターズ協会(JAC)の一団体のみ。問題として扱われているのに、整体やその他の資格制度のない施術団体は、申し入れ対象にさえならなかった。

申し入れ団体への所属の有無にかかわらず、カイロ施術者としては「日本のカイロ・ガイドライン」策定のよい機会ととらえたらどうだろうか。柔道整復師などの有資格者が、資格の範疇ではないカイロを行っているという一般人にはわかりにくい状況も含め、資格制度のないカイロの実施基準を明確にしていくことがカイロの発展へとつながるであろう。

(本紙編集部=櫻井京)


Chiropractic in the World

カイロのすばらしさ伝える映画「ドクタード」、DVD発売へ

カイロプラクティックの置かれた現状と治療の成果を紹介する新しい映画が昨年9月に公開された。映画のタイトルは『Doctored』。ドクタードには「不正に細工された」「改ざんされた」などの意味があり、カイロが置かれてきた立場を象徴する言葉として使われている。

映画はまず、アメリカのカイロ史に残る米国医師会(AMA)の横暴に対してカイロ側が反トラスト法違反を訴えた、通称「ウィルク訴訟」から始まる。当時の医師会長のカイロ蔑視の演説のニュース映像や、裁判にかかわった人々のインタビューなどが次々に紹介されインパクトがある。
この出来事こそ“ドクタード”の極みである。映画は、行き過ぎた医師の権力や製薬会社の巨額の資金が医療に“ドクタード”を許してきたことを告発するドキュメンタリー構成である。

カイロの有用性は、どこに行ってもよくならなかった症状がカイロでよくなり、普通の生活が取りもどせた人々へのインタビューを通じて紹介される。米国のプロスポーツ選手がカイロで選手生命を維持できたこと、多発性硬化症という難病の中、カイロのお陰で活動的に生活できていることなどを、当事者とその家族、治療したカイロプラクターたちが語る。

映画は昨年9月にニューヨークで初公開され、ニューヨークタイムズに映画評が掲載された。その後アメリカの主要都市でも上映された。一般の人に普通の映画として、カイロのプロモーションにつながる映画を見てもらえたことは大きな意味があるだろう。製作者のジェフ・ヘイズは、昨年のダイナミック・カイロプラクティック紙「パーソン・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた。

この映画は現在DVDが発売されている。長年カイロの普及活動を行い、映画にも登場しているルイス・スポテリDCは、できるだけ多くの人々に映画を見てもらって、カイロへの理解を広げたいと話している。

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『ドクタード』DVDジャケット。「AMAがあなたに見てほしくない映画」と書かれている。


ライフ大学創設者、シッド・ウイリアムズDC死去

ライフ大学の創設者で、カイロプラクティックの教育と普及に多大な貢献をしたシッド・ウイリアムズDCが昨年12月28日、肺炎のため亡くなった。84歳だった。

ウイリアムズDCは、1928年にジョージア州で生まれた。若い頃はスポーツに熱中し、フットボール選手として奨学金をもらって州立大学に進学した。カイロとの出会いは、フットボールの怪我でカイロ治療を受けたことだったという。大学卒業後にパーマー大学に進学、56年に卒業した。在学中に結婚し、妻と2人でジョージア州を中心に開業、19ものクリニックを運営するに至った。

臨床以外にも、カイロのモチベーション・セミナーなどで成功し、74年にはライフ大学の前身である「ライフ・カイロプラクティック」を設立した。最初はほとんど夫婦だけで、20人程度の学生を教えるところから始まった。その後の発展はめざましく、ライフ・カレッジ、ライフ・ユニバーシティとなり、1990年代には3500人以上の学生が在籍する世界一規模の大きいカイロ大学に成長させた。

しかし2000年代に入り、ライフ大学の教育プログラムがCCE基準を満たしていないとされ、一時期アクレディテーションが剥奪された。この問題の責任もあり、ウイリアムズDCは03年に学長の座を退いた。

ライフ大学を去った後も、ウィリアムズDCはカイロの普及と発展のために活動を続けた。「話に感動してカイロプラクターになった」「カイロプラクターとしての誇りを教えてもらった」など、ウイリアムズDCに触発されたカイロプラクターは数多い。「カイロは疾病予防、長生き、すべての人の健康増進の主なツールとして世界で利用されるべきだ」と語り、生涯その普及に力を尽くした。

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シッド・ウイリアムズDC

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