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カイロジャーナル74号

74号(12.6.26発行)
徒手医学会学術大会 仙台開催 準備急ピッチ
米医療保険の決定、カイロ界は歓迎
「ウィキカイロ」開設
ダンブロジオ・インスティチュート始動

徒手医学会学術大会
仙台開催 準備急ピッチ
魅力の講師陣に期待集まる震災後の、復興に向けた躍動する仙台を見て欲しい、いや、まだまだ深く傷跡を残す被災地の現状を直に感じて欲しい、そんな複雑な思いを胸に、仙台に活動拠点を置く小倉毅氏が、日本カイロプラクティック徒手医学会(JSCC、会長・中川貴雄)学術大会の仙台開催に名乗りを上げた。それから早1年、小倉氏のオフィスのスタッフを中心に組織されている実行委員会で、その準備が着々と進められている。被災県からの参加は費用配慮「徒手医学の可能性」をテーマに、9月22・23日、仙台駅前AER(アエル)5階で開催されるのは、本紙でこれまで紹介してきた通りだが、基調講演、特別講演、ワークショップなど、会員による研究発表を彩る魅力的な講師陣が次々と決定し、現在そのプログラムづくりが急ピッチで進められている。まず初日、基調講演には小倉氏が大学院在学中、担当教官だった田代学教授(東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター サイクロトロン核医学研究部)、ワークショップには昨年の木更津大会に続き榊原直樹DC(東北大学大学院医学系研究科 運動学分野在学中)、2日目の午後には公開講座が設けられ、その中で大隅典子教授(東北大学大学院医学系研究科 発生発達神経科学分野)による特別講演と、中川会長によるワークショップが組まれている。また今大会には「震災後の東北を支援する」という願いも込められており、参加費にもかなりの配慮がなされている。会員の1万8千円、学生会員の1万2千円、一般の3万2千円は、これまでとほぼ同様の設定だが、被災した東北6県および茨城からの参加に対しては、一般2万円、学生2万2千円と、非常に参加しやすい金額となっている。公開講座、地域限定の参加費など、「学会ってどんな活動をしてるの?」という問いに対する答えが、今大会にはあるような気もするが、そんなこととは関係なく、関係者一同、一人でも多くの人に仙台に足を運び、来場してもらいたいと心から祈っている。

米医療保険の決定、カイロ界は歓迎
腰痛治療で指針
まず保存療法を
即手術は禁止へピッツバーグ大学メディカルセンター(UPMC)医療保険は、慢性腰痛の手術は、カイロプラクティックなどの保存療法を3カ月以上続けても効果が出ない場合に限られると明記した、新たな慢性腰痛マネージメントのためのガイドラインを策定した。アメリカの医療保険会社がこのようなガイドラインを採択したのは初めてで、カイロ界からは、適切な医療を促す動きとして歓迎されている。UPMCは、ペンシルベニア州の約150万人が加入する医療保険で、20の病院と400のクリニックを保有し、研究面ではピッツバーグ大学と連携し、質が高く合理的な医療の提供に定評がある。ガイドライン採択により、今年の1月からは、この医療保険に加入する脊椎手術の候補患者は、手術を選択する前にカイロ、理学療法、服薬などの保存療法を3カ月行ってみなくてはならなくなった。また、腰痛のためのコーチング・プログラムも受講しなくてはならなくなった。このプログラムで、手術とハイテク放射線医学の利益、不利益を学べる仕組みになっている。これらを行わずに、手術をした場合には、その費用は保険で支払われない。このガイドラインについて、ライフウェスト・カイロ大学の前会長のジェラルド・クラムDCは「最も非侵襲的で、最も成功すると考えられる方針をポリシーとして確立したのはすばらしいことだ。手術より先にカイロを含む保存療法を試す期間を設けることは、臨床的にも経済的にも有益だ。カイロ・ケアの価値が認識されたという点でも重要だ」と述べ、このガイドラインを評価している。UPMCの慢性腰痛の保存療法によるマネージメント戦略は次の通り。・かかりつけ医と、安静、冷却、圧迫、挙上を含むセルフケアの方法について話し合うこと。
・心理社会的な要因を洗い出し、適切な行動療法を他の治療と合わせて取り入れる。
・日常生活のおよび職場復帰のための自己管理テクニックの教育をする。
・UPMCの腰痛コーチプログラムに参加(義務)するほか、減量、禁煙、ストレス管理、運動などのプログラムに参加する。
・初期段階でカイロプラクターか理学療法士に紹介する。
・カイロ/理学療法を含めた保存療法の効果の詳細をUPMCに文書で報告する。

「ウィキカイロ」開設
カイロプラクターによる情報発信で正しい知識の普及目指すインターネット上のカイロプラクティックのフリー百科事典、ウィキカイロが開設された。アドレスはhttp://www.wikichiro.org/カイロ業界は長い間、ウェブ上でのカイロ批判に悩まされてきた。フリー百科事典のウィキペディア上に、カイロを中傷する書き込みが何度もなされてきた。多くの信頼度の高い研究で、カイロのマニピュレーションは他の治療法より優れていることが示されているにもかかわらず、ウィキペディアは全体的にカイロに否定的な論調で記事がまとめられている。これは一般の人のカイロに対する悪いイメージにつながってしまうだろう。私たちはどうすべきなのだろうか?ウィキカイロ創設者は、次の3つを挙げる。
(1)科学研究に対して人々を教育する前に自分たちを教育しなくてはならない。ウィキカイロでは、科学研究を誰もがわかりやすいように解説していく
(2)カイロ界の中で、それらの研究をどう評価するか、何を導き出すかの合意形成を図る
(3)サーチエンジン最適化(インターネットの検索サイトで“カイロプラクティック”をキーワードとして検索したときに、検索結果でウィキカイロがより上位に現れるようにすること)。その方法として、個々のカイロプラクターがウィキカイロにリンクすることを提案している。ウィキカイロを創設したのは、ドクター・ステファン・プレスとその息子のロバート・プレスDC。ステファン・プレスは、オリンピックにカイロ・ケアを導入することに貢献したことで有名で、国際スポーツカイロ連合(FICS)の発足に大きく寄与した。サイトの運営はボランティアで行われており、役員に、元ロサンゼルス・カイロ大学学長のリード・フィリップDC、数々の論文を発表しているステファン・ペルレアDCなどが名を連ねている。科学諮問委員会には、ニューヨーク・カイロ大学のリサ・ブルームDC、パーマー大学研究所のクリスティン・ゲルツDCなどが参加している。ウィキカイロは、百科事典として、コミュニティーフォーラムとしての機能を持ち、すべてのカイロプラクターと学生が参加できる。サイト内の説明に異議がある場合は、ディスカッションのサイトで議論ができる。開発者たちは、教義にはまるのではなく合意形成の場として、ウィキカイロを発展させたいと考えている。ウィキカイロ開発者が特に期待することが、カイロプラクターたちがウィキカイロにリンクを張ってくれることである。多くのリンクが張られれば、検索画面の最初の方にウィキカイロが出現し、一般の人がカイロを誹謗中傷するサイトではなく、ウィキカイロで適切なカイロ情報を手にすることができるからである。現在ウィキカイロは、英語だけの情報発信だが、フランス語、イタリア語、日本語、ロシア語、ドイツ語、スペイン語など、多言語での発信を目指しており、英語情報を翻訳してくれるカイロプラクターを募集している。まだ発足間もないサイトだが、これからカイロプラクターの協力で大きく発展していく可能性を秘めたプロジェクトである。

ダンブロジオ・インスティチュート始動
セミナー教材、より充実したものに『PRT ポジショナル・リリース・セラピー』の著者、Drケリー・ダンブロジオが、セミナー活動を充実させるため、ダンブロジオ・インスティチュート(DAI)を立ち上げた。ウェブサイトも創設し、Drケリーの教える様々な徒手医学を系統立って学べるフォローアップ手段も充実させる計画である。科学新聞社もフォローアップ教材の製作に協力しており、Drケリーの世界的な教育活動を支援するとともに、日本語教材の製作にも力を入れている。Drケリーは、アスレチック・トレーナー、理学療法士、オステオパス、東洋医学ドクター(鍼師、漢方医)の資格を持ち、フロリダ州で理学療法士としてクリニックを運営し、臨床に携わっている。セミナー活動は、週末を中心に全米で行っているほか、ヨーロッパやアジアの国々でも多くのセミナーを開催してきた。日本では、科学新聞が2008年に日本語版『PRT ポジショナル・リリース・セラピー』を出版し、出版記念セミナーを開催して以来、継続してセミナーを開催してきた。DVDが完成Drケリーのセミナーは内容量が多く、毎回充実したセミナーノートも配られるが、一度で受講したことすべてを習得することは難しい。そのために何度も受講する治療家も多いが、セミナーの種類が多いので、同じセミナーをもう一度取るためには何年も待たなければならないことも多い。そんな中で「教育内容をビデオ化してほしい」との要望が、米国内や海外の受講生から出ていた。その要望に応える最初のビデオ教材『PRT ポジショナル・リリース・セラピー』のDVDは、当社が協力して日本で撮影、編集し、この夏発売の運びとなった。PRTは、Drケリーの教える徒手テクニックの中で、唯一本が出版されているので、セミナー受講後に独学しやすいとも言える。しかしポジションの数が膨大なことと、本には載っていない細かいコツや別法があるので、セミナーで習ったことを復習するには、本だけでは不十分だった。新たにつくられたDVDには、本の出版から現在に至るまで、Drケリーの10年以上の臨床経験が生かされ、より効果的で使いやすい新しいポジションもすべて紹介されている。他の協会ともタイアップDAIは、アプレジャー・インスティチュート(UI)、チッカリー・インスティチュート(CI)、バラル・インスティチュート(BI)とタイアップしている。これら4つの団体のセミナーを取ると、主な徒手療法のテクニックを一通り学ぶことができる。そのため、将来的にはこれらのセミナーを系統的に取ることで、ディブロマが取得できるようにしようと計画が進んでいる。現在、4団体はすべて健康教育者国際同盟(IAHE)に所属している。IAHEは健康教育に携わる団体が所属し、その教育内容を紹介したり、セミナー情報を一括して公開したりすることで、教育の受講者と提供者の橋渡しをしている。DAIのセミナーの特徴DAIのセミナーは他の3つの団体との関係で言えば、それらの団体の教えるテクニックを統合し補完する役割を持っている。つまり、どのような場面でどのようなテクニックを使うのが適切なのか、ということを見極める技術を習得することに最も重点を置いている。
●直感と原因特定見極める技術とは、評価法である。まず、評価に直感を使う方法を紹介する。自分の直感に従い、その結果を確かめることで、直感を養っていく。また、耳、目、手を最大限に生かして、情報をインプットする力を養っていく。評価は症状ではなく原因を特定することを重視する。原因には力学的なことと非力学的な問題がある。力学的問題の中には後天的と先天的なものがある。非力学的な原因には、天気、感情、メンタルヘルス、生活環境、食事なども含まれる。多くの場合、力学的と非力学的な要素が組み合わさって症状の原因となっている。
●ARTS体性機能障害(SD)の評価方法として、ARTSという手法を用いる。「A:Asymmetry」は、姿勢の非対称性のことで、これがSDの場所を示す。「R:Range」は、可動域で、可動域の質と量によりSDの性質を見極めることができる。「T:Tension, Texture, Tender」は、緊張、質感、圧痛で、SDの性質を示す。「S:Special Test」は、様々な整形外科検査で、問題を特定する。このARTSの手法で、問題にアプローチする。
●教えているテクニック現在、DAIで教えているのは、ポジショナル・リリース・セラピー(PRT)、筋エネルギー(MET)、膜リリース(FRT)、トータルボディ・バランシング(TBB)である。すべてオステオパスによって発見・発案されたもので、それにDrケリーの臨床経験を加味し、治療術だけでなく、評価、再評価の方法を統合したテクニックとなっている。

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