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  Nervi Nervorum(神経の神経)は、どんな役割を演じるのだろう?

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痛み学NOTE <第27回>Nervi Nervorum(神経の神経)は、どんな役割を演じるのだろう?2012.03.29

カイロジャーナル73号 (2012.2.29発行)より

 

神経因性疼痛や神経の圧迫説などの根拠に「Nervi Nervorum」が持ち出されることがある。「Nervi Nervorum」は「神経幹神経」あるいは「神経の神経」と訳されているが、一般的な解剖書にその名を見ることはまずない。しかし、論文や参考図書には散見することがある。例えば、『臨床痛み学テキスト』(熊澤孝朗監訳)、徒手医学関連では『末梢神経マニピュレーション』、『グリーブの最新徒手医学・下巻』、『バトラー・神経系モビライゼーション』などの図書にも登場する。下の図は、科学新聞社刊『末梢神経マニピュレーション』(J.P.バレル、A.クロアビエ著)から引用した。


【図】神経上膜および神経終膜の神経
【図】神経上膜および神経終膜の神経

神経幹は神経線維が神経周膜で覆われ、さらに神経上膜が包み込んでいる。この周膜と上膜に神経線維から分枝しているのが「Nervi Nervorum=神経の神経」である。その分枝した末端には受容器があるとされている。また、神経幹外からは血管と血管周囲神経叢が、神経幹の周膜と上膜に入り込んでいる。こうした「Nervi Nervorum」に関わるシステム構造が、神経幹を圧迫すると神経因性疼痛が起こることの根拠として論じられることがある。

しかし、「Nervi Nervorum」の役割は未だよく分かっていない。それでも、この神経の末端受容器が神経幹を圧迫あるいは絞扼するような間接的な機械刺激で、簡単に異所性発火が起るとは考えにくい。その証拠もない。したがって、「Nervi Nervorum」の受容器が通常の機械的刺激で作動するという見解には疑問が残る。

『臨床痛み学テキスト』(391頁)では、「神経幹の圧迫では痛みを伴わない場合がある」としながらも、痛みが発症するためには力学的な異常の前に神経の炎症が必要だとしている。その炎症が起こる可能性の1つとして、「Nervi Nervorum」の存在とその役割を挙げている。

そう考えるとうなずける。神経上膜や周膜が損傷すると、神経の結合組織に入り込んでいる血管周囲神経叢の損傷が起こる。この炎症反応は、当然、「Nervi Nervorum」の侵害受容器を異常に興奮させることになるだろう。神経生理学者・Howard L. Fields博士(カリフォルニア大学UCSF教授)は、“Multiple Mechanisms of Neuropathic Pain”のレクチャーの中で、この「Nervi Nervorum」についても触れている。Howard博士によれば、このような「Nervi Nervorum」における過敏な侵害受容体が神経因性疼痛の可能性となり得る1つのメカニズムだとしている。それも損傷された神経に起こった炎症が前提になっている。


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