正しいものって何だろう?カイロプラクティックジャーナル

  正しいものって何だろう?

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岡井健DCのI Love Chiropractic ! <第18回>正しいものって何だろう?2011.02.25

変わりゆく人間を認める心持とう
カイロジャーナル70号(2011.2.25発行)より

新しい年を迎えカイロ界の皆さんも気持ちを新たに頑張っていることでしょう。私も今年は更なる飛躍をと張り切っています。日本でもカイロプラクティック統一試験や、統合医療を見据えたDCジャパンなどの活動も始まり、期待を持って見守っています。私はアメリカから日本を見ていますので、当事者の方たちとは違う客観的な立場でそれぞれの動きを見ることができます。日本のカイロ界の方々とお付き合いするようになって、やっと数年が経過したところですが、それ以前の出来事や歴史は人から伝え聞いた範囲でしか知りません。どこの世界でも同じなのかもしれませんが、考えや目的が少し違うだけでなかなか理解し合えず対立し、大事が成せないことが多いようです。

マイプラクティスはカイロプラクターだけでなく、あらゆる治療家やアシスタントに聞いていただいても、非常に有意義なものであると自負しています。倫理的に多くの方に成功していただきたいという願いから、私が普段営むクリニック経営を基に構成した内容になっています。参加していただいた皆さん、それぞれいろいろな気づきや課題を得たことでしょう。それを実際にどうやっていくかが大きな差となるのです。どうか頑張っていただきたいと思います。

多様化こそが自然

人は人それぞれです。家庭にも各家庭のカラー、家風があります。また地方色という言葉があるように、地域によっても習慣、考え方の特色があります。国によってもそうです。ある国では当たり前のことが違う国ではタブーということもよくある話です。それが世界というものなのでしょう。自分が正しい、当たり前だと思っていることでも、ある人にとっては理解しがたいことであることも当然起こり得るのです。

私は日本のテレビ番組が大好きで、よく家族と一緒に観て楽しんでいます。ここ2年ほどのお気に入りは「秘密のケンミンSHOW」という番組で、ご存知の方も多いと思います。この番組ではその地域にしかない独特の習慣や食べ物を紹介します。地元の方へのインタビューのお決まりは「こんなことしてるの、この地域の人だけですよ」「こんな食べ物あるの、日本ではここだけですよ」で、これを言われると県民が「エーッ、ウソー」となるわけです。

誰もが自分が世の中のスタンダードだと思い、他の人も同じだと思い込んでいるのです。国が違えばこのようなことはもっと顕著に現れます。日本が鯨を食べるのを世界の多くの国が理解してくれないのも当然なのです。私はアメリカでの生活のほうが長くなってしまったので、日本で車の運転をするとき法律や規則の違いで戸惑います。一番は踏み切りです。アメリカでは踏み切りで一旦停止することはありません。それはエンストや追突事故の原因となるので、かえって危険な行為になるからです。だから日本でよほど注意していないと何気に踏み切りを走り抜けてしまうことがあります。そうすると母からまるでとんでもない無法者を見るような目で叱られます。同じようなことが実はわれわれの人生のいろいろな局面で起こり得るのです。

カイロの世界も狭い世界とはいえ、様々な考えや立場の人が混在しています。理解し合えないことが多いのかもしれません。ましてやフィロソフィーやテクニックのスタンダードが明確ではないので、それぞれが自分の考えが正しいと一点張りになってしまうと、もうどうしようもなくなってしまいます。BJを神のように崇めている人にはガンステッドのやり方が気に入らないだろうし、ガンステッドを愛する人にはAKが気に入らない、ディバーシファイドの人はアクティベーターが気に入らない、アクティベーターの人はSOTが気に入らないなどと言っていたのでは、永遠に違うテクニックの人たちが協力していくことはできなくなってしまいます。

世の中のほとんどのものが時と共に変化していきます。たとえ永遠に変わらないと思われるものでも実は少しずつ変わっているものです。カイロが115年もの歴史を経れば、現在のように多様化するのは当然のことです。正しいかどうかは別として、非常に自然なことだということです。それを受け入れられない人は現実に目を向けていないということになります。

先人たちも試行錯誤

DDもBJもガンステッドもディジャネットもグッドハートも皆、今はもうこの世にはいません。彼らが残してくれた素晴らしいギフトをわれわれは引き継いでいかなければなりません。同時にその素晴らしい贈り物を発展させていく義務もあるのではないかと思うのです。ある意味ありのままをそのまま変えずに守り続けることは大変です。なぜなら私たちはDDでもBJでもガンステッドでもない別の個性だからです。彼らが本当に考えていたことや感じていた心の中や手の感触を100%同じように理解することなど不可能なのです。そして私たちも、自分で考え感じることができる素晴らしい能力を持っているのです。果たして彼らがわれわれに伝え残してくれたことはすべてだったのでしょうか、彼らでさえ一生模索していたのではないでしょうか、日々新しい発見や気づきの中で生きていたのではないでしょうか? 彼らも私たちと同じ人間です。多くの試行錯誤や失敗の中でいろいろな発見をしたはずです。

彼らがもし今も生きていたとしたら、彼らが旅立ったときと変わらず同じことをそのまま続けているでしょうか、私はそうは思いません。それはとても不自然だからです。彼らほどの想像力と実行力、そしてリーダーシップを持つ人たちが、何十年も新しい発見や試みをせずに過ごすとは到底考えられないからです。きっとまたワクワクするような鳥肌が立つようなものを私たちに見せてくれているはずです、聞かせてくれているはずです。残念ながら現実には不可能なことですが、そんなことを想像するだけで私はソワソワ、ワクワクしてきます。彼らが知り得ることのできなかった様々なことが科学的に証明されたり発見されているのです。その新しい知識を基に、彼らはまた凄いことを考えてくれたのではないかなと思わずにはいられません。もしかしたら当時彼らが正しいと思っていたことを、いとも簡単に訂正するかもしれません。

この世には過去に勘違い、思い違い、間違いを起こしたことのない人などただの一人も存在しません。常に新しいことが科学によって証明され新しい知識を与えてくれるからです。私たちにとってはアンタッチャブルな存在の人たちでも、彼ら自身は素直に何の気取りもなく「あのときはそう思っていたけど新しい発見をした」と嬉しそうに話してくれるかもしれません。私たちが、BJが言ったのだから絶対に正しいと必死になって信じていたことを、彼は笑いながら「いや、そうじゃなかったな。実際はこうかな」などとあっさり否定して、われわれの困惑振りを楽しむのではないでしょうか。真実は誰にもわからないので議論をしても無駄ですが、私はいつもそのような想像をして楽しんでいるのです。

何が正しいかなんて場所や時代で変わっていく生き物のようなものです。自信満々で主張していたことと全く違うことを、ほんの数年後に平気で言っているのが人間なのです。ですから、自分と違う考えを簡単に否定したり拒絶することは非常に危険なことでもあるのです。あなたが正しいと思うのと同じように相手も自分自身のことを正しいと思っているのです。

きっと皆さん、そんなことはわかっているよ、と言われるかもしれません。だけど人間は何かを信じていなければ生きていけません。だから自分の信じる道をひた走るのです。時にその愚鈍なまでの一途さが世の中を変えたり、大きなことを成すので一概に悪いこととは言えないのも確かです。相手の考えや気持ちを理解するという柔軟性と、自分の信じることをやり通すという一途さがバランスよく噛み合えば最高でしょう。

未来を明るくする

私の大好きな坂本龍馬は、日本を変えるという誰よりも熱い一途な気持ちを柔軟な考えと行動力で、理解し合えない人たちを結びつけることによって成した人です。そんな龍馬でさえ、彼の行動を正しいと思えない人たちによって暗殺されるのが人の世です。今年はカイロ界の仲間がそれぞれの思いや信念を大切に持ちながらも、いろいろな考えの人を理解し認める気持ちを持って、カイロの未来を明るく変えるという大きな目標のために手を取り合って欲しいものです。

血を流さなければ世の中は変わらないのでしょうか? 皆さん一人ひとりが龍馬になって、争いをせずに相手の立場を考えて仲良く世の中を変えていく、そんな努力を惜しまない人になってくれるように期待しています。そのためには自分には厳しく人には優しくという、人間として最も基本的なことが大切になってくるのではないでしょうか。それが実は結果的に自分を幸せにするツールでもあるのです。「明るい未来」、いい言葉です。それを可能にするのは皆さん自身なのです。自分の「正しい」を主張するだけでなく、相手の立場をお互いが考えられるカイロ界にしていきましょう。

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