「ガーデンホース・セオリーで根性痛を説明できるか」カイロプラクティックジャーナル

  「ガーデンホース・セオリーで根性痛を説明できるか」

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痛み学NOTE <第19回>「ガーデンホース・セオリーで根性痛を説明できるか」2011.02.25

カイロジャーナル70号 (2011.02.25発行)より

カイロプラクティックでは、「ガーデンホース・セオリー」や「ナーブピンチング・セオリー」として神経圧迫理論が構築されてきた。庭に水を撒くときのホースを神経とみなし、その中を流れる水を電気信号に例えている。椎骨の位置異状によって椎間孔の狭小化が起こると、神経が圧迫されるとするものである。

この理論は、長い間カイロプラクターの治療の根拠にされてきた。この根拠が否定されるようになったのは、米国ナショナル・カイロ大学でのある実験結果だったようだ。実験動物の犬を使い、椎間孔が狭窄されるまで椎骨を動かしても、終には椎骨が脱臼するまで動かしても、神経の伝達速度は著名に変化しなかった、という結果の報告である。

それもあってか、今ではサブラクセーションなどによる神経圧迫説は脈管系の循環障害によるものと変化している。椎間孔を占める組織は、神経、動脈、静脈、リンパなどで、そのうち神経の占める割合は3分の1ほどである。そう易々と椎間孔自体の狭窄が起りうるものでもない。ところで、圧力に対しての感受性は静脈において顕著であるとされている。静脈に変形をもたらす圧力は、5~15mmHg(A4のコピー用紙を2mの高さから地面に落下したときの圧力)だという。これはロサンゼルス・カイロ大学で解剖学教授を務めた経歴を持つDr.トランの報告である(『疾患別治療大百科 シリーズ3頚肩腕痛』P176-177)。

サブラクセーションが長期化し、この椎間孔での可動性が減少すると、圧力に対する感受性の強い静脈は変形する。結果的に、静脈内の血漿は更に血管外に滲出することになる。この現象がリンパや動脈への圧力を高めることになり、最終的に神経根が圧迫されるのだとする。こうしてカイロプラクティックの神経圧迫説は、その仕組みを変えてきている。

しかし、どんなに神経圧迫の実態を変えてみようとも、神経根が圧迫されたことで根症状が発症するとみる説に変わりはない。問題にすべきことは、なぜ神経や神経根の圧迫が下行性に痛みとして認知されるのか、という生理学的機序なのである。結局、カイロプラクティックが説いたガーデンホース・セオリーでは、根性痛などの神経圧迫による痛み症状を裏付ける理論的根拠には成り得ていない。


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