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  カイロジャーナル69号

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カイロジャーナル69号

69号(10.11.3発行)
カイロ・セミナーに関するアンケートを実施
日本カイロプラクティック徒手医学会
論壇
CCEのアクレディテーション基準
「名誉毀損」訴え届かず
小倉毅DC、東北大の「医学博士」学位取得
BJスペシャル復刻版 米国パーマー大に贈呈

カイロ・セミナーに関するアンケートを実施
WFCの教育制限に意見23通
大半が自由な活動望む近年世界カイロプラクティック連合(WFC)は、積極的にカイロプラクティック教育を制限する政策を打ち出し、「関節アジャストメント(徒手、機械的手段、機器によるマニピュレーションとモービリゼーションおよび関連する検査法)を内容に含む教育コースを、正規カイロプラクターとその学生のみに限定すべきである」と訴えている。科学新聞社では、日本におけるセミナー活動への影響が大きいと考え、9月中旬から月末までウェブ上でアンケートを実施し、カイロプラクティックのセミナー実施者と受講者から様々な意見を得た。セミナー活動の自由を訴える意見が大半を占めた。問題となるWFCの政策は、2009年12月に策定したとされる「カイロプラクターによる非カイロプラクターへの関節アジャストメントのコースに関するWFC声明」で、次のような内容である。1.カイロプラクターは、関節アジャストメントを内容に含む教育を、正規カイロプラクターとその学生に限定して行うべきである。
2.カイロプラクティック専門職を統制する立場にあるWFCの加盟団体および他団体は、このポリシーに反する行為をカイロプラクターが行うことを阻止するためにできるだけの行動をすべきである。
3.このポリシーの目的としての関節アジャストメントの定義は、徒手、機械的手段、機器によるマニピュレーション、モービリゼーションおよび関連する検査法である。
4.正規カイロプラクターとその学生とは、正規のカイロプラクティック・アクレディテーションのあるカイロ大学か、または当該国のWFC加盟団体がコースやセミナーの提供を承認したカイロ大学の卒業生か在学生、と定義される。2010年8月、WFCはこの声明を根拠に、当社が予定していた「アジャストメント・セミナー」の講師に強い申し入れを行なったため、セミナーは中止・変更を余儀なくされた。当社はWFCに対して、今後このような行為を行わないことを要望する手紙を送付したが、未だ回答は得られていない。当社は、カイロプラクティックのセミナー実施者と受講者が、この状況に対しどのように考えているかを知るため、ウェブ上で広く意見を求めた。また、これまで本紙に寄稿したり、意見を寄せてくれた熱心な読者の方々にメールでアンケートを送付し、意見を募った。はい/いいえで答えるのではなく、自由に意見を述べる形式のアンケートだったため、それほど多くの回答は期待できなかったが、10月初旬までに23通の意見を得ることができた。回答は概ね、カイロプラクティックのセミナーを継続することへの賛成意見で占められた。セミナー受講に国内の事情に適する何らかの条件を課すべきとして、その具体案を述べた回答者も少なくなかった。アンケートの全回答は、カイロジャーナルコム(http://www.chiro-journal.com/column/ronten/seminar/about.html)に掲載している。

日本カイロプラクティック徒手医学会
「活気あふれて」九州初開催日本カイロプラクティック徒手医学会(JSCC、会長=中川貴雄)の第12回学術大会(大会長=荒木寛志)が9月4、5日、福岡・博多で開催された。初の九州開催で、九州、中国地方の会員を中心に33人の大所帯の実行委員会による活気あふれる運営となった。参加人数は約160人と例年より多く、九州の会員の熱意が実った大会となった。初日は鈴木喜博DC、小倉毅DCによるワークショップが行われ、大会テーマ「痛みを考えるー最新の感覚受容器研究に基づいてー」に関する基調講演、特別講演は第二日目に行われた。基調講演を行った熊本保健科学大学の吉村惠(よしむら めぐむ)教授は、痛みの神経学の歴史的発展から最新知識までまとめてわかりやすく述べてくれた。東京大学医学部付属病院の住谷昌彦(すみたに まさひこ)助教授は、特別講演で複合性局所疼痛症候群の概念とそのリハビリの効果から、痛みの神経生理学の最新知見を説明した。

論壇
日本の多数派を切り捨て
WFC声明に沿うのは難しいカイロプラクティック教育やセミナー開催に何らかの規制が必要かーーということを考える上で、国際機関の取り決めを参照するとすれば、WHOガイドラインとWFCの声明、憲章が最も関連する文書だろう。WHOガイドラインでは、カイロ教育を、法令のある国=Ⅰと、ない国=Ⅱに分け、区分Ⅱの教育は、区分Ⅰへの移行措置として暫定的に行うべきとしている。元々、区分Ⅱ教育のアイディアは、イギリスと香港で法制化を成し遂げたときの移行措置の方法を参考にしている。この2カ国以外に区分Ⅱにより移行措置を遂げた国はたぶんないだろう。その後、世界の法制度のない国でのカイロ教育は、区分Ⅱ重視ではなく、カイロ学科を既存の大学内に設置するという方向で発展して来た。大学という教育の質を保つための伝統や様々な規制のある機関でカイロ教育を行うことで「教育の質問題」は大筋で解決されている。日本では、区分Ⅱ教育として、JAC主導のカイロ標準化コース(CSC)教育が行われてきたが、法制化の目処がないので教育目的があいまいだとも言える。WHOガイドラインは、法制化への移行政策としては参考になるが、その目処が立たない段階では、教育時間と内容の例という以上の意味はないだろう。一方、WFCには、教育憲章と声明がある。教育憲章には「カイロ教育の水準は、すでに法制度が確立されている国と同等の高い基準で統一されなければならない」と述べられている。また、法制化が進んでいない国でのWFC代表団体の特別な権限が明記されており、カイロ教育プログラムの設定は、その国のWFC加盟団体の承認を必要とするとされる。「カイロプラクターによる非カイロプラクターへの関節アジャストメント・コースについて」という声明では、アジャストメントは正規のカイロプラクターと学生のみに教えるべきであり、違反行為には、代表団体および関係者が全力で立ち向かうべきであるとしている。ここでいう正規カイロプラクターとは、正規大学の卒業者とWFC加盟団体が承認したカイロ教育を受けた者となっている。WFC声明は、正規のカイロ教育を受けた者にとっては何の問題も伴わない。だから、正規のカイロ教育を受けた者しかいないWFC会議の場では何の疑問もなく受け入れらただろう。しかし正規教育を受けなかった者には、大きな重荷となる。好きな仕事としてカイロを選び、その技術を研鑽することが禁止される。果たして、これが日本の現状に即しているのだろうか。複雑な事情の中で発展してきた日本のカイロにとっては、現状を大きく否定するこの声明に沿うことは難しい。また、正規教育がWFC加盟団体によって承認できるとするWFCの取り決めも、ことを複雑にする。この取り決めを活用しているのは、世界の中でほとんど日本だけなのだ。正規教育とは何なのか。カイロプラクターの集まりである一団体による承認が、業界内外に通用する説得力を持つかどうかは常に検証を求められるだろう。WFC、WHOの公式文書はともに、日本の多数派を切り捨てるだけで、改善策の提示はない。やはり日本の問題は当事者一人ひとりが一から考え、納得する方法を取るしかないのであろうか。(本紙編集部=櫻井京)

CCEのアクレディテーション基準
パーマーウェスト大学長が医学色鮮明な改定案に異議米国カイロプラクティック教育評議会(CCE)は、2012年から施行予定の改訂版「CCEアクレディテーション基準案」を発表し、9月24日を締め切りとして改訂案への意見を広く募集していた。この改訂案は2007年に策定されたアクレディテーション基準からの変更で、文章表記が一新されるなど大幅な書き換えとなっている。昨年すでに一回目の意見募集により修正を行っており、今回は二回目の意見募集である。すべての意見は、CCE事務局と「アクレディテーション改善タスクフォース」により検討され、改訂版の修正に生かされる。パーマーウェスト大学学長のジェラルド・クラムDCは「この改訂版には多くの改善点があるが、重大事項が削除、変更されている」としてCCEへ意見書を提出した。クラム学長の異議の要旨は次の通り。1.「CCEがDCプログラムのアクレディテーションをする」から「DCプログラムおよびそれと同等なプログラム」に変更され、カイロプラクティックではなくカイロ医学に傾いている。
2.サブラクセーションという用語を使うことを避け、全文から削除している。
3.カイロが薬と手術の使用をしないという文言を削除し、薬不使用原則から遠ざかっている。
4.カイロのユニークさを説明するカイロ一次医療の定義がなくなり、一般的な一次医療提供者の定義に変更されている。クラム学長は大学のウェブサイトから、改定案に対して積極的に行動するため、締め切りまでにCCEに意見を送ろうと呼びかけた。

「名誉毀損」訴え届かず
英カイロ協会が敗訴イギリス・カイロプラクティック協会(BCA)はサイエンス・ライターのサイモン・シン氏に対し、「BCAがインチキ治療を推進していると事実誤認の中傷をした」として名誉毀損の訴訟を起こした。一度は訴えが認められたものの、今年4月にシン氏の主張が認められ、事実上BCAの敗訴となった。施術者から失望の声
治療効果の証明が壁イギリス・カイロプラクティック協会(BCA)は2008年7月、『代替医療のトリック』(日本語版=新潮社)の著者であるサイモン・シン氏に対し、名誉毀損の訴訟を起こした。シン氏がイギリスの新聞『ガーディアン』のコラムで「BCAがインチキ治療を推進している」と断定したためで、「事実誤認の中傷であり、BCAの評判を落とす」として主張の撤回を求めた。2009年5月、裁判所の予備判決でBCAの主張は認められた。判決を不服として、シン氏は翌6月に上級裁判所に控訴、2010年4月1日の裁判によりシン氏の訴えが全面的に認められた。4月15日には、BCAはシン氏への名誉毀損の訴えを取り下げた。シン氏がガーディアン紙で述べた問題箇所は「BCAは、子供の疳の虫、夜泣き、頻繁に起こる耳感染症、喘息などをカイロプラクターが助けることができると主張するが、これには全く証拠がない。この協会はカイロプラクティック専門職の立派な顔であるにもかかわらず、喜んでインチキ治療を推進するのである」という部分だった。BCAでは、これらの障害・疾患に対するカイロの効果がいくつかの研究で示唆されているために、カイロは有用であると主張していたのだが、シン氏は、証拠に基づく医療(EBM)の柱となりつつある系統的レビューやメタ・アナリシスなどの高度な統計手法によって証明されていないことを「インチキ」の根拠とした。この名誉毀損訴訟は、イギリスのメディアで大きく取り上げられた。ガーディアン紙は率先してシン氏擁護の記事を載せただけでなく、「BCAは科学的議論を政治に利用している」と糾弾的な記事を連発した。他のメディアの論調も概ねBCAに厳しかった。名誉毀損に対抗するために、被告側のシン氏が莫大な訴訟費用を負担しなくてはならなかったことも世論の同情を集め、「イギリスの名誉毀損法は科学の発展と言論の自由を阻害している」として法改正の議論にも発展していった。特に、シン氏が役員も務める慈善団体の「センス・オブ・サイエンス(科学の良識)」は、「科学的議論に法律の入り込む余地なし」と題する一大キャンペーンをウェブ上で展開、2009年11月までに2万人以上の賛同を得た。このような中、イギリスのカイロプラクターは、証明されていない疾患にカイロが有用というウソの宣伝をしているという非難を様々な方面から受けるようになった。厳しい世論の反応に、ウェブサイトの内容書き換えや、クリニックのパンフレットの配布中止を余儀なくされたカイロプラクターも多かった。イギリスのカイロ法に基づく団体、カイロプラクティック総会議(GCC)は、世論の非難に応え、カイロの立場をはっきりさせるために、『徒手療法の効果:イギリスのエビデンスレポート』を北米のカイロ大学と協力してまとめ、2010年2月に発表した。これは、過去10年以内のランダム化臨床試験(RCT)のうち、質が高いと判断されるものだけを選び、それらの試験結果から総合的に有効性を判断した系統的レビューである。このレポートによると現在までの研究では、子供の中耳炎、おねしょに対してマニピュレーションの効果は不明、子供の喘息、夜泣きに対しては効果はないという中程度の証拠があるという結果であった。GCCのレポートは、BCAの主張である「事実誤認の中傷」をサポートをする結果にはならず、2010年4月の判決となった。シン氏側は、裁判の勝利は「科学的論議の自由を抑制する名誉毀損法の乱用の阻止につながった」とその意義を強調している。イギリスや北米のカイロプラクターからは、「カイロ非難を助長する事例となった」「カイロを筋骨格系治療の枠に押し込める好材料をつくってしまった」など失望の声が挙がっている。系統的レビューで証明されていないことは「効果がない」と同じではない、ということを世間に理解してもらうのが難しい時代になってきた。カイロの特性を理解してもらうために、患者への丁寧な説明がより必要な時代になったと言えよう。

小倉毅DC、東北大の「医学博士」学位取得
学位論文紹介「画像解析用いてカイロ療法の有用性を科学的に検討」9月4日、5日に福岡で行われた日本カイロプラクティック徒手医学会の学術大会で、ワークショップと一般研究発表を行った日本カイロプラクティックドクター専門学院(JCDC)学長の小倉毅DCは、9月8日に東北大学大学院医学系研究科を卒業、医学博士の学位を取得した。研究テーマは「用手療法の有用性に関する画像解析を用いた科学的検討-頸部痛患者におけるカイロプラクティック施術後の局所脳活動の変化:18F-FDG-PET研究-」で、卒業を前に小倉氏は、8月初旬にシンガポールで行われたWorld Congress of Biomechanicsと東北大学グローバルCOE国際シンポジウムとの合同シンポジウム、および前述の学術大会において同研究内容の発表を行った。本紙では学位を取得したその論文要旨を紹介する。1.はじめに代替医療には様々なものが存在するが、腰痛、頸部痛などを対象とする用手療法の代表的なものとして、米国発祥のカイロプラクティックが挙げられる。カイロプラクティックは、WHOにより代替医療の一つとして加えられており、米国をはじめ20カ国以上の諸外国で大学教育制度および免許制度が確立されている。しかし、日本では約8千人のカイロプラクティック施術者が臨床に従事しているにもかかわらず、法的整備が未だ行われていない。カイロプラクティックの有用性に関する研究は欧米諸国において多数行われているが、日本における研究は少なく医学的評価を受けるに至っていない。旧厚生省が実施したカイロプラクティックに関する調査においても、国内におけるその科学的データの不足について述べられている。従って、本研究はカイロプラクティック療法の有用性に関し、中枢神経系への影響をPET画像解析を用いて科学的検討を行う。2.方法12人の実験時に頸部痛を持つ男性被験者に対し、安静後とカイロプラクティック施術後、それぞれFDG-PET撮影を実施し、画像比較を行った。また、被験者のストレスレベルを評価するために、主観的評価としてのアンケートおよび疼痛スケールを実施した。施術による末梢構造への影響を評価するために、筋硬度計を使用し頸部筋緊張度の計測、自律神経機能の評価として唾液アミラーゼの計測が実施された。加えて、PET画像-疼痛スケール値間における相関解析が行われた。3.結果PET画像比較では、施術後に糖代謝亢進が下前頭前野、前帯状回、中側頭回に検出され、小脳虫部、視覚連合野に糖代謝低下が検出された。被験者による主観的評価では、アンケート、疼痛スケール共に施術後のスコア減少がみられた。頸部筋硬度計測および唾液アミラーゼ計測においても施術後の数値減少が検出された。また、相関解析においては、眼窩前頭皮質、尾状核の局所糖代謝と疼痛スケールスコアとの間に正の相関がみられた。4.考察小脳虫部は、疼痛、自律神経機能に関与する部位である。先行研究により、疼痛刺激時の小脳の賦活(※1、2、3)、嫌悪状態における自律神経機能と小脳との関連が報告されている(※4、5)。本研究において、小脳虫部は施術後に糖代謝低下を示しており、疼痛スケール値施術後の減少からも、小脳虫部の代謝低下は、施術による疼痛軽減に関与することが推察できる。また、ストレススケール値、唾液アミラーゼ値の施術後の低下により、小脳虫部の代謝低下と施術によるリラクゼーション効果との関連が考えられる。施術後賦活部位である前部帯状回、下前頭前野は、いずれも認知、情動に関与し、リラックス状態での賦活が報告されている(※6、7、8)。従って、両部位の賦活は施術によるリラクゼーション効果に起因する可能性が考えられる。5.結論本研究において、疼痛軽減、リラクゼーション効果および自律神経機能変化に関連する脳内局所糖代謝に対するカイロプラクティック施術の影響が示唆された。従って、カイロプラクティック施術による中枢神経系への二次的影響の可能性が示唆されたといってもよいであろう。


BJスペシャル復刻版 米国パーマー大に贈呈
本場に日本人の足跡松下順彦8月12~14日、パーマー大学ホームカミングが催されました。その初日に日本から村田英昭先生(村田接骨院院長)、レイアンドカンパニーの見片三郎社長と阿部剛代志課長の3人が大学を訪問し、BJスペシャル復刻版を1台、大学のカイロプラクティック歴史財団に寄贈しました。財団責任者のカレンダー博士が主催する贈呈式には、パーマー大学本校の学長であるDrカーンの臨席の下、寄贈する日本人3名に加えて、仲介・交渉・調整を担当した大学顧問の私、松下も参列し寄贈しました。大学からは、われわれ日本人4名全員に学長からの認定証と感謝状が、副賞のBJマンション・マグカップとともに授与さられました。寄贈したテーブルは大学のカイロプラクティック歴史博物館において、寄贈者の名を刻んだプレートとともに展示されるとのことです。また一つ、日本人の貢献が本場米国のカイロプラクティック界に足跡を残しました。
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