今後のカイロ業界への期待 | カイロプラクティックジャーナル

  今後のカイロ業界への期待

カイロプラクティック、オステオパシー、手技療法の最新情報、セミナー案内、関連書籍・DVDの販売

カイロジャーナル TEL.03-3434-4236 〒105-0013 東京都港区浜松町1-2-13江口ビル別館

岡井健DCのI Love Chiropractic ! <第17回>今後のカイロ業界への期待2010.11.03

無資格者を尊重した教育課程必要
カイロジャーナル69号(2010.11.3発行)より

皆さん暑い暑い日本の夏をやっと乗り越え、ようやくやって来た涼しい秋に、ホッとしている方も多いのではないでしょうか。9月の終わりには、東京で『マイプラクティス2』というマネジメント・セミナーとソウルナイトを久しぶりに開催し、とても楽しい一日を過ごしました。

マイプラクティスはカイロプラクターだけでなく、あらゆる治療家やアシスタントに聞いていただいても、非常に有意義なものであると自負しています。倫理的に多くの方に成功していただきたいという願いから、私が普段営むクリニック経営を基に構成した内容になっています。参加していただいた皆さん、それぞれいろいろな気づきや課題を得たことでしょう。それを実際にどうやっていくかが大きな差となるのです。どうか頑張っていただきたいと思います。

無資格でも立派な人

ソウルナイトは業界内の学派、協会、テクニック、学位などの壁を取り払って、時には一緒にカイロの素晴らしさを語り合おうという目的で行われています。実際に、ソウルナイトでの出会いでアメリカ留学を決心したり、よりレベルの高いカイロの勉強をしたいと思う人も増えています。業界内の倫理観やレベルアップにもつながれば嬉しいことです。

しかし、業界内を見回しますと、溝がなくなるどころか益々深くなっているような部分もあるので複雑な気持ちです。いろいろな人がいろいろな主張をするのは、どの世界でも同じなのかもしれませんが、ある一点どこかでみんなが結びついているかどうかが、その業界の地力の差になってくるように思えます。

最近、JACによる無資格者に対するテクニック・セミナーの取り締まりが厳しくなりました。JACの主張ももっともなことで、無資格の者がカイロプラクターを名乗るのは将来的にはやはり問題があると思います。しかし、この国のカイロを支えてきたのは、無資格のカイロプラクターたちだということも否定できない事実です。DCを取得した先生方の多くが無資格カイロプラクターのご子息でもあります。

私がLACCに入学する際に推薦状を書いてくださった方も、日本の無資格のカイロプラクターの先生です。とても人格者で知識や技術が優れていた上に、アメリカのDCたちとのつながりも強い方でした。残念ながら既に亡くなられましたが、その先生のことは今も尊敬していますし、とても感謝しています。

昔から日本へ帰国したDCの方々が、私塾のようにして学校をつくり、人々にカイロを伝え生計を立ててきました。そこからさらに多くの無資格のカイロプラクターが排出されたわけですが、そのことさえ私は責める気持ちにはなれません。日本ではカイロが法制化されていないんですから、本当は国際基準の学位を持っていようがDCを持っていようが、全員無資格なのです。少なくともそれが世間一般が見るカイロプラクティックです。

そのような社会でカイロを根づかせようとしたら、伝える相手が無資格者と呼ばれることなど、当たり前過ぎて気にすること自体ナンセンスな時代だったと思います。アメリカでは、DCという学位だけでは患者をアジャストすることもできないし、カイロプラクターの名刺さえつくってはいけません。NBCEの国家試験、そして州の開業試験に合格して、初めてライセンスを取得し公にカイロプラクターだと名乗れるのです。ライセンスがなければ無資格者なのです。

私は日本のカイロプラクター全員が、国際基準を満たした教育を受けるべきだという考えには大賛成です。ただ日本のカイロプラクティックの特殊な歴史や環境も考慮し、既に無資格のカイロプラクターとして何年も生計を立てている人に、現実的な教育プログラムを提供できないものかと思うのです。もちろん一生懸命頑張って取得できるレベルの内容でなければなりません。

難し過ぎは考えもの

また一方で、いたずらに難しくし過ぎることも考えものです。アメリカでさえ初期のDCの教育は日本の短期のカイロ学校より劣るものだったと思いますし、何十年もかけてようやく現在のレベルに至ったのです。NBCEのテストに合格するのはとても大変なことです。テストに合格するための特別な集中講座などがあるくらいですから。今のNBCEのテストを、50年前にアメリカのカイロ大学を卒業した方が受験したら、合格する人はほとんどいないでしょう。

JACの会員の中でも、NBCEのテストに合格している人はそんなに多くないと思います。将来的には他のカイロ先進国と同じように、NBCEを取らなければ無資格というところを目指しているのでしょうが、学校を卒業して何年も経った人が簡単に受かるような試験ではありません。ましてや仕事や家庭がある方には大きな犠牲が必要になってしまいます。

日本の社会で、まだ法制化もされていない現時点でそんな努力ができる人は一体どれだけいるのでしょう。難しい問題です。だからといって諦めて知識、技術、倫理観のない方を野放しにしていては、真面目に努力している人が迷惑しますので、日本なりの基準で資格を定め、緩やかにWFCの国際レベルへと追いつくように発展していけばいいと思います。

この国にカイロプラクティックを広めたのは、無資格のカイロプラクターだったということを尊重しなければならないと思うのです。彼らの努力に敬意を持ちつつ業界を新たなレベルへと導いて欲しいものです。その道は険しいことでしょうし、多くの壁にぶつかるでしょう。自分たちのレベルに見合わない人たちを切り捨てたり排除するのではなく、そういった人の中でも真剣にやる気のある方を導いてあげられることを願っています。

なぜならいくらJACが彼らを認めないと頑張ったところで、彼らは決して消えていなくなるわけでもなく、日本が法制化されていない以上、カイロプラクターを今まで通り名乗っていくのですから、どうせなら彼らに立派なカイロプラクターになってもらったほうが、業界発展のためにプラスになると思うからです。

異国から願うこと

今までこのような議論は幾度となく行われては消えていったのでしょう。異国で暮らす私には、全く関係のないことと言ってしまえばそれまでなのですが、私が敬愛する多くの仲間が生きていく日本の業界が、少しでも幸せな業界になって欲しいと願うのです。自分だけ良ければ、幸せなら、それでいいとはとても思えません。同時に、私には守らなければならない家族やスタッフ、そして患者たちがいるので、今以上に日本の皆さんのお役に立つことは、現実的には無理だという葛藤の中で苦しむこともあります。

しかし私にできる範囲で、日本の業界のお役に立つことができないかと考えたとき、マイプラクティスやソウルナイトで皆さんの意識レベルやモチベーションを高め、倫理的で正しいカイロプラクティックを目指していくようにメッセージを伝えたいのです。正しいカイロとは狭い意味ではなく、アメリカのように大きな許容範囲を持ってWFCで認められているあらゆるテクニックを含みます。

日本のカイロ業界が強く力を持った団体にならないと、やがて他の医療につぶされてしまうと思います。医師以外による一切のカイロプラクティック治療が違法だと禁止されるかもしれません。そんな危うい状況の中で、今まで日本のカイロは先人たちの努力のお陰で、どうにか生き延びてきたのです。カイロプラクティックを愛する者同士で喧嘩するのではなく、仲良く力を合わせ未熟な者や資格のない者がいたら、みんなで手を差し伸べて頑張って資格を取れるような制度をつくらなきゃいけないと思うのです。

資格がない人を排除するのではなく、その人たちがどのようにすれば、資格を取れるかを考えてくれる業界になって欲しいと思います。そのためにも日本を代表するJACの責任は非常に重く大変なものになってくるのです。でもそれを成し遂げたら、どこの国のどの団体よりパワフルで優しく温かい魅力的な団体になるでしょう。そして業界の一人ひとりが自分のことだけを考えるのではなく、業界の未来と発展のために必死に頑張って、自分をより高いレベルへ成長させていく強い意志と努力が必要なのではないでしょうか。少数のエリートだけの団体では日本の業界を変えていくパワーはないと思います。もっとたくさんの仲間の力が必要なのです。

排除せずに温かく

日本の業界の歴史を部分的にしか知らない、日本で仕事をしていないのに、JACの皆さんが今までどれだけ努力してきたか知らないとお叱りを受けるかもしれませんが、私が今の日本の業界を見て思うところを素直にお伝えしました。そして、私がJACや日本の業界に寄せる大きな期待もご理解願いたいと思います。

もっと国際基準を満たすカイロプラクターを増やすためには、既存の無資格者が国際基準を満たす教育を受けられる極めて現実的なプログラムの構築が絶対に必要になると思います。国際基準があまりにエクスクルーシブな資格とならないように、誰もが努力すれば取得できるようになって欲しいのです。

そして既存の短期学校を拒絶するのではなく、温かく温かく温かく指導し、国際基準の学校へと成長させて欲しいです。それまでは短期の学校を卒業した者が、始めからやり直しではなく、厳し過ぎず上手く編入できる資格取得プログラムができることを願っています。日本のような特殊な歴史を持つカイロ社会では、それに見合った資格制度と発展の仕方があって然るべきだと私は思うのです。そしてそれをWFCに認めさせることも大切な仕事だと思います。それが私が期待する今後の日本のカイロ業界なのです。

facebook公式ページへのリンク

長期連載中の記事

過去の連載記事