<第12回>「防御反応としての炎症を演出するポリモーダル受容器」カイロプラクティックジャーナル

  <第12回>「防御反応としての炎症を演出するポリモーダル受容器」

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痛み学NOTE <第12回>「防御反応としての炎症を演出するポリモーダル受容器」2010.06.24

カイロジャーナル68号 (2010.6.24発行)より

炎症には四徴候があるとしたのはギリシャ時代とされている。「発赤、熱感、腫脹、痛み」の4つの徴候のことで、ポリモーダル受容器はそのすべてに係わっている。ポリモーダル受容器は炎症と切っても切れない関係というわけだ。

皮膚を引っ掻くと、傷んだその部位が赤く腫れる。これをフレア(flare)形成という。神経性の炎症症状とされる末梢神経の軸索反射による現象である。この現象に関与する物質として、ヒスタミンやサブスタンスPなどがあげられている。

サブスタンスPは、ポリモーダル受容器が侵害刺激を受け取ると放出する神経ペプチドで、神経情報の伝達に関与してきた。神経系の発達と共に存続してきた原始的な神経伝達物質である。神経ペプチドは後根神経節で生成され、そのほとんどは末梢側に運ばれ、ポリモーダル受容器が興奮することで放出される。

すると、この神経ペプチドは神経終末の近くにある肥満細胞に作用する。肥満細胞はヒスタミンを放出し、血管を拡張して血管の透過性も増す。この作用には、ヒスタミンだけでなく神経ペプチドも加わる。血管が広がり、血流が増大することで、炎症徴候である発赤がみられ、熱も出る。

また血管の透過性が増すことで、血管から水分が放出される。そのために腫脹が起こる。こうしてポリモーダル受容器は、炎症に深く関与して炎症を増大させている。これは一見するに悪化させている現象でもある。ところが、本来こうした炎症症状は身体の防御反応のひとつでもある。つまりは治癒力につながっている。

神経ペプチドは免疫や傷の治癒、内臓平滑筋の活動調節など、痛覚受容器であるポリモーダル受容器の効果器としての特性も見逃せない側面である。掲載の図はポリモーダル受容器研究の第一人者である熊沢孝朗教授がまとめたものである。

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その熊沢教授が、ポリモーダル受容器は「村役場」とイメージせよと書いていた。一人で何役もこなすからだろう。

こんなイメージもできそうだ。総合病院の専門分科された医師というよりは、町の診療所の家庭医。そんなポリモーダル受容器などを構成子とする情報ネットワークのプログラムが、神経系のシステムには存在しているように思える。


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