体の理を生かすカイロプラクティック
- 著者
- 藤原 邦康D.C.
- 判型
- A5判/136頁
- 発行者
- 科学新聞社
- 発行年
- 2010年
- 本書の特徴
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- 誰でも同じ結果が出せる「再現性」の重視
- 写真や図解、比喩で分かりやすい解説
- 体の理にかなった矯正法の詳細な説明
- 小柄な人や非力な女性でも無理なくできる矯正法
- 患者が受けても楽で負担の少ない矯正法
- <主な目次>
- 序 章 矯正法についての考え方
- 第1章 合気道の稽古を利用した鍛練法
- 第2章 ボディドロップ
- 第3章 セットアップの基本 AS腸骨
- 第4章 AS腸骨の矯正
- 第5章 ボディドロップ応用編
- 第6章 PI腸骨のセットアップと矯正
- 第7章 腰椎のセットアップと矯正
- 第8章 接触について第9章 仙骨矯正
上梓にあたって
留学生活は勉強、勉強、テスト、テストと大変な日々でしたが、実技練習が唯一の息抜きでもありました。私には「卒業までの3年間で、技術をマスターしなければいけない」という意識が強く、練習にはかなりの時間と努力を傾けました。放課後の自主練習や学生有志のクラブでのパートナー練習、週末の各種セミナー参加などで基本的な技術を学びましたが、これらの練習に足りないのは「良き指導者」と常々感じていました。
そんなとき先輩たちに誘われ、大学近くで開業する岡井D.C.の練習会に参加させてもらう機会を得ました。練習会では岡井先生から直々にテクニックを見させてもらうことができました。岡井先生のテクニックは何より正確で、スピードと力強さにあふれていました。独自の矯正理論に裏打ちされた技術に私は感銘を受けました。その後、私は岡井先生のもとで3年間にわたって矯正の基本である頚椎、胸椎、側臥位のテクニックを練習させてもらいました。
初めはなかなか思うような矯正ができなかったのですが、先生のアドバイスに従って練習するうちに、次第に納得のいく矯正が決まるようになっていきました。インターンになる頃にはひと通りの矯正が不自由なくできるようになっていて、患者からの評判も上々でした。これも練習会のお陰ですし、このとき学んだテクニックは今も私の矯正法の基本となっています。
岡井先生と出会えたことは大きな財産です。一緒に練習した先輩たちとは今でも親しくお付き合いさせてもらっており、岡井先生が帰国した折などに集まって親交を深めています。師と呼べるメンターや、同じ志と向上心を持った仲間の大切さを今もって実感します。
帰国後、私は学校やセミナーなどで、学生たちを指導する側に立つことになりました。アメリカで学んだ様々な技術を、今度は学生たちにつないでいく番です。メンターと呼ばれるには私はまだまだ未熟ですが、帰国後5年間で得た指導法のノウハウを、このたび科学新聞社さんから上梓させていただく運びとなりました。
カイロプラクターとしての私の修行は、まだまだ道半ばですし、鍛練は終わることはありません。このテクニックブックやセミナーを通じて、鍛練の場を私と共有することで「治療家としての高みを目指したい」と願う志を持った治療家や学生が成長していってくれるのであれば、それは私にとってこの上ない喜びです。
藤原 邦康
推薦のことば
藤原D.C.は、学生時代から熱心に私のクリニックで開かれる練習会に顔を出し、一生懸命テクニックの練習をしていました。そして卒業後、日本に帰国してからは学校で生徒たちに熱心に指導していました。まさにテクニックを学ぶ苦しみ、教える苦労を十分に味わってきた人です。
そのような経験から培われたノウハウが詰まった著書ということで、私も非常に楽しみにひもといてみました。彼は非常に斬新でクリエイティブな頭脳を持った人ですので、本の構成や表現力にも彼の良さが発揮されていることを期待しました。読んでみて驚いたことは、内容が私の予想をはるかに上回る出来だったことです。
カイロプラクティックのアジャストメントは特殊技能であって、その習得は並大抵のことではありません。テクニックを学ぶ上で、体格や身体能力に見合っていないことをいくら練習してもなかなかうまくいきません。人それぞれに合ったやり方があるのです。
藤原D.C.はこの著書の中で、そのことを大変簡潔に無駄なく伝えていると思います。間違った努力をせずに無駄なく必要な努力をすれば、当然技術習得も早くなります。
ユニークで適切な練習法の解説は、テクニック習得に苦しむ方々にはまさしく「目からウロコ」です。この本によって救われるカイロプラクターがたくさんいるでしょう。業界の技術レベルの底上げの立役者となる一冊です。ぜひ、参考にしてみてください。
岡井 健D.C.