痛み学NOTE<第10回>「ポリモーダル受容器の活動は変幻自在、神出鬼没する」 | カイロプラクティックジャーナル

  <第10回>「ポリモーダル受容器の活動は変幻自在、神出鬼没する」

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痛み学NOTE <第10回>「ポリモーダル受容器の活動は変幻自在、神出鬼没する」2010.02.24

カイロジャーナル67号 (2010.2.24発行)より

さて、もう一つの侵害受容器であるポリモーダル受容器は、その名が示す通り多様な様式(polymodal)を持っている。そもそも感覚受容器とは、身体組織に対する物理的あるは化学的刺激を神経の電気信号に変換する器官である。その上、機械的、化学的、熱刺激に対して特異的に反応する。つまり分化されている。しかも、単なるセンサーとして機能しているわけでもない。受容器が刺激に対して反応するか否かは、それぞれの「閾」によって比較されるのである。

ところが、ポリモーダル受容器は未分化で原始的な受容器である。つまり、機械的、化学的、熱刺激のいずれにも反応する多様性を持っている。分化の程度が低いのである。

更に、分布範囲も皮膚、内臓、筋・筋膜の運動器など全身に及んでいる。また、炎症などの組織の変化による修飾作用を受けて、更に興奮性を増す受容器である。痛みはポリモーダル受容器を抜きにしては語れないし、遠心性には効果器としての役割も見逃せない。

その特徴を要約すると、第一に3つの「wideness」を挙げることができる。

  1. 多様性(wide‐variety)
  2. 広作動域(wide dynamic range)
  3. 広域分布(wide distribution)

の3つである。

第二に、反復刺激に対する再現性が極めて悪いことである。これは他の受容器との大きな違いのひとつでもある。ポリモーダル受容器は、刺激に関する情報を忠実に伝えるということはしないのだ。むしろ、刺激によって生じた組織の変化に強い修飾を受けて、その組織の現状を伝えるために働いているのかもしれない。これは生体内の環境をリアルタイムで伝える重要な情報網そのものとも言えるわけで、特に注目すべき特徴だと思われる。

第三に、神経ペプチドを放出することである。主に、サブスタンスP(P物質)、CGRP(カルシトニン遺伝子関連蛋白)などで、一つのニューロンに共存することが多いとされている。中でも、サブスタンスPは後根神経節(DRG)細胞体で合成産出される。受容器が侵害されて興奮すると、一方は脊髄へ、もう一方は皮膚受容器末端へ、と双方向に運ばれる。その95%は末梢の受容器に下行性に運ばれ、5%が脊髄内に放出されて痛覚情報の伝達として上行性に働く。中枢性には痛覚の伝達物質として、末梢性には効果器として、対極にある作用を双方向性にもたらしている。この比率をみると、末梢側での「感覚器」のみならず、いかに「効果器」としての重要な作用を担っているかを窺い知ることができる。


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