<第9回>「痛みに特異的な受容器がみつかった」カイロプラクティックジャーナル

  <第9回>「痛みに特異的な受容器がみつかった」

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痛み学NOTE <第9回>「痛みに特異的な受容器がみつかった」2010.02.24

カイロジャーナル67号 (2010.02.24発行)より

痛覚の入力部である受容器の存在について考えてみたい。

19世紀末から20世紀にかけて神経組織医学の研究が著しく進み、いろいろな感覚受容器が発見されている。それまでは痛みの概念も時代とともに変遷してきた。

例えば、アリストテレスは「痛みは感覚ではなく不快な情動」であるとして「心臓説」を唱えたし、プラトンは痛みを感覚だとした。感覚を生み出す部位を、ダ・ヴィンチは「脳室説」を主張した。デカルトが痛覚系の本質的な発想を行ったのは、17世紀のことだった。痛みは、足先に飛び散った火の粉のエネルギーが、体内の管を通って頭の中の鐘(松果体)を揺らした結果生じる、というものである。

今日、「痛みを感じるところはどこか?」と問えば、それは痛覚受容器であるとなる。その受容器は、皮膚や他の組織などに枝分かれした神経の終末部にある。

痛み刺激によって終末の受容器に興奮が起こると、その痛点から伝導経路に乗って脳へ伝えられる。そして脳で「痛み」として認知される。侵害を受けた痛覚受容器が痛みの「第一現場」で、痛みを認知する脳が「第二現場」だ、という話である。ここは重要な押さえどころである。

もう一つの争点は、痛みの「特異的な受容器」の存在である。19世紀末からは「非特異説」が形を変えて度々提唱されていく。

受容器の特異性とは無関係に、どんな受容器でも過度の刺激を感知すれば痛み感覚になるとする「強度説」、あらゆる種類の感覚は神経インパルスの時間的・空間的な興奮パターンにより生じる「パターン説」へと展開された。

「非特異説」が覆された背景には、20世紀後半に2種類の受容器の発見があった。一つは「機械的受容器」で、もう一つが「ポリモーダル受容器」である。

例えば、熊澤孝朗教授の論文「痛覚受容器の機能特性について」には、こんな実験報告が述べられている。刺激素子を鈍磨と鋭利な素子に分けて、圧迫による反応で比較すると、「機械受容器」の遅順応性タイプでは優位な差はなかった。一方、高閾値タイプでは、鋭利な刺激素子を用いると微弱な力による刺激でも放電反応がみられた。この実験から、「高閾値機械受容器」は痛覚専任の特異的な受容器であることわかった。

これは一次痛を伝える速い痛みの受容器であるが、痛覚受容器の存在が明らかになったからといって、病態時の痛みが解明されたというわけではないのである。


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