<第2回>「痛い!」と言われれば痛いのであるカイロプラクティックジャーナル

  <第2回>「痛い!」と言われれば痛いのである

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痛み学NOTE <第2回>「痛い!」と言われれば痛いのである2009.06.29

カイロジャーナル65号 (2009.6.29発行)より

国際疼痛学会(IASP)の「痛みの定義」によれば、「痛みとは、組織の損傷を引き起こす、あるいは損傷を引き起こす可能性のある時に生じる不快な感覚や不快な情動を伴う体験、あるいはそのような損傷が生じているように表現される感覚や情動的体験である。“An unpleasant sensory and emotional experience associated with actual or potential tissue damage, or described in terms of such damage.”」としている。

この定義によれば、痛みとは生体に実在する障害あるいは潜在的な組織障害に伴って起こる知覚的、情動的な不快体験ということである。からだのどこかに神経を刺激する有害なものがあるとする知覚と、不快感を示す心の表現をさしているのである。つまり、痛みは二面性を持っていることになる。

これは実にやっかいな問題でもある。痛みが知覚的かつ情動的なものであるとすれば、まったく個人的な体験と言う以外ないのだ。

痛みを愁訴とする患者の症状が良くなったと言われても、良くなった痛みが本当はどの程度の痛みで、それは多くの人に共通の強度なのか、あるいは疾患によって同じものなのかを計り知ることはできない。痛いと言われれば、それまでのことなのである。

痛みが必須のバイタルチェックになった

痛みの尺度を、QOL評価尺度に置き換えて評価する動きがではじめた。代表的なものがRDQ(Roland-Morris Disability Questionnarie)で、これは腰痛の特異的なQOL尺度である。

開発したのはRoland博士とMorris博士で、多くの国で活用されている。日本でも今年2004年3月に日本版マニュアルが発表された。背景には、やはりアメリカの動向がある。

2004年に刊行された腰痛に関するRDQマニュアルは24項目の質問にイエス・ノーで答えるものである。痛みの個人差にかかわりなく、腰痛による生活の質(QOL)を評価することで個々の患者の活動状況を知り、その腰痛の程度が割り出されるアンケート様式である。

こうしてアメリカの「痛み10年宣言」は、痛みを確かな治療対象として俎上に乗せ、医療の現場にも変化をもたらした。医療に義務づけられたバイタルチェックが現行の4項目(体温、血圧、心拍、呼吸数)から、痛みを加えた5項目チェック(Fifth Vital Sign)が義務づけられることになったのである(アメリカ医療施設評価合同委員会:JCAHO)。

今やアメリカでは「痛み」に対する治療基準が設けられ、痛みの治療が重要な医療行為であるというコンセンサスが得られた。それが21世紀に入って決められたことにあらためて驚くと同時に、鎮痛に対する医療の役割を再認識しなければならない時代になったことに気づかされる。

痛みの定量化は、今や避けては通れない評価尺度でもある。RDQもそのひとつとして汎用されているのであろう。



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