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岡井健DCのI Love Chiropractic ! <第9回>アジャストメントにかける思い2008.02.29

熱い志持つ仲間とともに上手な先生を見て練習を
カイロジャーナル61号(2008.2.29発行)より

うまくなりたい一心で

昨今の世界のカイロプラクティック界を見回して私が感じる杞憂は、満足なアジャストメント(以下、アジャスト)ができるカイロプラクターが、あまりにも少なすぎるということだ。私が暮らすカリフォルニアはアメリカでも最も多くカイロプラクティック大学が存在する州で、ゆえにカイロプラクターの数も半端ではない。私のクリニックの一つがあるサンマテオ市は、人口約9万で日本では北海道千歳市と同じくらいの大きさのようだ。決して大きいとは言えない街でも、カイロプラクターの数は確認できるだけでも60名を有に超える。因みに、千歳市の電話帳でカイロプラクティックを検索したら3件であった。それだけカイロプラクターが多く密集すると競争も激しくなる。そして、他のクリニックに差をつけるために色々と努力をすることになる。自分のクリニックならではの特色を打ち出すわけだ。その特色でアジャストを売りにしているところは極めて稀である。実際に手でアジャストをしない、またはできないカイロプラクターの数は年々増加の一途をたどるばかりだ。

カイロのアジャストは簡単ではない。ゆえに特殊技能なのだ。アートなのだ。私がカイロの大学に通っていた頃、クラスには120人ほどのクラスメートがいた。その当時でも真剣にアジャストの練習をしている学生など、ほんの一握りだった。私のように暇さえあればテクニック・ルームに入り浸って練習したり、大学近くで開業する先生のクリニックを訪問して、指導を受けたりしている者はほとんどいなかった。私は優秀な先輩を見つけては一緒に練習したり、自宅まで押しかけて教えを請うたりした。数少ない熱心な友人たちとセミナーに足繁く通い、身体がボロボロになるまでお互いの身体を使って練習した。とにかくアジャストが上手くなりたい一心だった。そして、私のアジャストや理論などに大きな影響を与えたのが当時、LACCでテクニックを教えていたフランス人のドクター・フォアクレイという先生だった。私の大先輩にあたる中川貴雄先生とも親しい先生だった。私は自分のテクニックの授業だけでは飽き足らず、フォアクレイが教えるクラス全部のスケジュールを把握し、サボれる授業のときは、もっぱら他のクラスに混じってフォアクレイの授業に潜り込んでいた。フォアクレイは私の顔を見ると、ニヤリと笑うだけで咎められたことは一度もなかった。家に帰っても背骨の模型を使って、ああでもない、こうでもないと、理論とバイオメカニクスを照らし合わせながら悩んだり、そこからいいヒントを得たりした。そうやってカイロプラクティックのこと、テクニックのことばかりに没頭する大学時代を過ごすことができて、本当に幸運だったと思う。

1人の先生では限界

カイロプラクティックのアジャストが上達するための重要な要素の一つが、上手なアジャストを見るということだ。ところが日本でカイロプラクティックを学ぶ人たちには、その機会が極端に少ないというのもまた私の杞憂だ。まず、アメリカに比べて上手いアジャストができるカイロプラクターの絶対数が少ない。いいアジャストを見ずにカイロプラクターになった人が、どうしていいアジャストができるだろうか。

それと、日本では一人の先生につくと、その先生以外については学びにくい環境があることだ。これほどナンセンスな話はない。例え、その先生がどんなに素晴らしい先生でも、所詮人間なのだから良いところも悪いところもある。そして一人の人間ができることなど限界があるということだ。一人の先生だけにしか学ばなければ、その先生を超えることは決してできないだろう。その先生が、常に他の先生から新しいものを学び続ける人ならまだいいが、もう人から学ぶことができなくなっている偉い先生に、自分を仕立て上げてしまっている場合は、本当にもうどうしようもない。それでいて、その先生の実力が実際のところ全く大したことなかったりしたら、そこでしか学べない人は本当に可哀想なことになる。実力のない人ほど自分の生徒に、他の姿を見せたがらないし、根拠もなく他をこき下ろし、生徒の視野を奪い、囲い込みを図るからだ。

繰り返し招待・訪問

これからの日本で、アジャストがないカイロプラクティックという意味不明なものが主流にならないためにも、本当にアジャストが上手な先生を見つけて、とことん練習してもらいたい。そのためにはどうすれば良いか、私なりの提案をさせていただきたい。まず、アジャストが上手くなりたいと心から願う熱い志を持つ仲間と練習会を行うことだ。人数は10人ほどが理想だろう。下手くそが集まっていくら練習しても、大した進歩は得られない。

何をすればいいかというと、評判のいい先生を招くのだ。2時間でいいから来てもらい、テクニックのワークショップをしてもらうのだ。その先生の治療院にお邪魔して、やってもらう方が現実的かもしれない。そこで一生懸命、その先生の理論、哲学、技術を吸収して欲しい。自分に合う合わないは、後で判断すればいい。そこで学んだものを持ち帰り、自分たちでまた一生懸命練習するのだ。そして次は別の先生を招く、または訪問するのだ。そのようにして一人の先生に弟子入りするのではなく、自分たちが先生を招いて学ぶことだ。そうすれば先生を見る眼も肥えてくる。気に入った先生は繰り返し招待し、または訪問し学ぶのだ。そのようなことができる仲間をつくって欲しい。

そして、そのうちに「この先生はいいな、この先生のアジャストをもっと学びたいな」と感じさせてくれる人に出会うはずである。そのときこそ、その先生にしばらく張り付いて学べばいいのである。10人ほどのグループなら一人数千円も出し合えば、2時間の講義を引き受けてもらえるだけの金額が集まるだろう。安いものだ。注意して欲しいのは、自分たちの気持ちを正直に先生方に説明し、学ぶ者の、または人としての礼儀を、しっかりとわきまえて交渉し、真摯な態度で学ぶことが大切だ。少なくとも、わざわざ忙しい時間を割いてくれた先生に、不愉快な思いなどさせないようにしていただきたい。

自ら出会いを求めよう

そのような新しい学びのスタイルを実践している仲間が九州にいる。私は彼らのような真剣な人たちのために力になりたいと思っている。自分もそんな仲間をつくりたいという方は、自分からどんどん出会いを求めて欲しい。そのための場所がソウルナイトでもある。昨年末に大盛況に終わったフィロソフィーナイトをソウルナイトと進化させ、より幅広く色々な人が参加しやすいようにと頑張っている。ソウルナイトには、色々な学校や団体から人が集まる。色々な先生方も集まる。そこで積極的に人に話しかけ、ネットワークを広げて欲しい。素晴らしい仲間や師となる先生方に出会って欲しい。私たちがソウルナイトを開く意味がそこにあるのだ。そこで知り合いになれた先生なら、きっと真剣に学ぼうとする人たちの熱い思いに応えてくれるはずである。

私がアジャストの際に指先や手のひらから感じる、患者の身体の言葉を同じように感じることができるカイロプラクターが一人でも多く増えてくれることを心から願っている。

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