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岡井健DCのI Love Chiropractic ! <第3回>カイロプラクティックのこころ2006.03.09

逆風受け原点に返る業界内の争い捨て歩み寄る時
カイロジャーナル55号(2006.3.9発行)より

信じられない光景

どこの国のカイロプラクティック界も多少の違いはあるが、様々な問題を抱えて葛藤している。人が集まれば、そこには社会ができ、それぞれの意見や個性がぶつかり合い分裂を起こすのは自然ななりゆきなのだろう。人間というものは面白い。争っているそれぞれが、自分こそが正しいと心から信じている。それを否定されるものだから余計に依怙地になる。

しかし、カイロプラクティックという業界を発展させるためには歩み寄りが必要だ。一番簡単に歩み寄れるときは皆にとって共通の敵が現れたときだ。そんなときは実に見事に結束するものだ。

パーカー・セミナーに行くと信じられない光景を目にする。あれほど犬猿の仲だと言われていた、ACAとICAというアメリカのビッグ2の団体の代表が仲良くしているのだ。さらに信じられないことに、ICAの会長が「ICAに入会しないならACAに入会してください。とにかくどこかに入会してカイロプラクティックのために力になってください」とスピーチするのである。かつて自分たちの最大の敵だったACAにでもいいから入ってください、と言っているのだ。私は自分の耳を疑った。

70年代、80年代とアメリカではカイロプラクティックが急速に人気を高め、保険のカバー率もよくなり、大勢の患者を獲得した。そして、多くのカイロプラクターの自信が慢心へと変わり、謙虚さの代わりに強いエゴが生まれた。そこで、様々な主義や主張の違いから争いが起こり、団体間や学校間のライバル意識も高まり、業界内での分裂がより顕著になった。

ところが90年代に入りアメリカ経済が不況に陥るとともに、各企業が社員の福利厚生をカットし始め、社員の健康保険も安くて質の悪いプランへ変わり、医者なら誰でも儲かった時代からサバイバルの時代へと移行していった。努力の足りないカイロプラクターは廃業していき、他の様々な医療業界でもサバイバルできない人が続出した。景気が悪いのは保険会社も一緒で支払いをどんどんカットし、アメリカの医療は医者主導型から保険会社主導型のマネージド・ケア時代へと突入していったのであった。

一点で結びつく仲間

今まで安易に生計を立てていたのに、その術が奪われた途端にパニック状態を引き起こした。業界内でのパワーゲームに興じている場合ではなくなったのだ。サバイバルを賭けた業界同士への戦いへ目標は変わったのだった。限られた国家医療予算からの割り当てを、自分たちの業界がどれだけ取ることができるか、年々知恵を絞って支払いを渋る保険会社の新しい作戦をどう規制するかに労力が費やされる。

国会のロビイストにお願いして国会議員を味方にするにはお金がかかる。保険会社を訴えて、彼らの思い通りにいかないような判決を引き出すのも膨大なお金と労力、そして時間がかかる。しかし、こういった努力をしないと国家予算の割り当てもどんどん減らされるし、保険会社に都合のいい法律ばかりができ上がってしまう。まさしく業界の存続を賭けた戦いをしているのだ。

まるで悪いことばかりのような時代になったが、追い風の中では気づくことのなかった大切なことに気づくことができた。その一つは、われわれは哲学やテクニック、そして考え方に相容れない部分はあるものの、同じカイロプラクティックを愛する仲間だということだ。

そして、患者に本当のカイロプラクティックの価値を伝え、保険がなくても治療を受けることの大切さを理解させようと努力し始めたことだ。すなわち原点に返ることができたということだ。そして業界内の違う考え方や違うテクニックを認め合い、カイロプラクティックを愛するという大きな一点で結びつくことの大切さを理解したのだった。

高い志を持つ人たち

ここまで来るには、時代の流れだけではなく、業界内の争いを嘆き人々を協力させ、カイロプラクティックを盛り上げていこうとする、高い志を持ったカイロプラクターたちの並々ならぬ努力があったのだ。自分の主張ばかり強く、大きなビジョンが見えない石頭たちを辛抱強く説得し、ときには挫折感や無力感に苛まれながらも、カイロプラクティックを愛するという大きな心とビジョンを見失わずに頑張ったのだった。ドクター・パーカーや彼の意思を若くして引き継いだドクター・マンシーニなどは、その代表であろう。

私は日本のカイロプラクティック界の歴史をほとんど知らない。多くの方々の苦労や悲しみも知らない。過去は変えることはできないが、未来は自分たちの手で変えていくことができる。われわれは今回、「カイロプラクティックのこころ」という本を翻訳出版させていただいた。ドクター・マンシーニが著者の一人に名を連ねている本である。

翻訳に協力した24人全員が無償で頑張った理由は、日本の人たちにカイロプラクティックのことをもっと知って欲しいという願いと、業界全体がカイロプラクティックを愛する大きな気持ちで協力して、発展して欲しいという思いがあったからである。われわれは新参者であり、アメリカに暮らす私などはよそ者かもしれない。でも日本の渦中で苦しんでいる方たちも、カイロプラクティックのこころをもう一度思い出していただき、歩み寄っていただければと願うのである。

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